入門者向け時代伝奇小説百選

 約十年前に公開した「入門向け時代伝奇小説五十選」を増補改訂し、倍の「百選」として公開いたします。間口が広いようでいて、どこから手をつけて良いのかなかなかわかりにくい時代伝奇小説について、サブジャンルを道標におすすめの百作品を紹介いたします。

 百作品選定の基準は、
(1)入門者の方でも楽しめる作品であること
(2)絶版となっていないこと、あるいは電子書籍で入手可能なこと
(3)「原則として」シリーズの巻数が十冊以内であること
(4)同じ作家の作品は最大3作まで
(5)何よりも読んで楽しい作品であること の5つであります

 百作品は以下のサブジャンルに分けていますが、これらはあくまでも目安であり、当然ながら複数のサブジャンルに該当する場合がほとんどです(また、「五十選」の際のサブジャンルから変更した作品もあります)。
 そのため、関連のあるサブジャンルについては、以下のリストからリンクしている個々の作品の紹介に追記いたします。

【古典】 10作品
1.『神州纐纈城』(国枝史郎)
2.『鳴門秘帖』(吉川英治)
3.『青蛙堂鬼談』(岡本綺堂)
4.『丹下左膳』(林不忘)
5.『砂絵呪縛』(土師清二)
6.『ごろつき船』(大佛次郎)
7.『美男狩』(野村胡堂)
8.『髑髏銭』(角田喜久雄)
9.『髑髏検校』(横溝正史)
10.『眠狂四郎無頼控』(柴田錬三郎)

【剣豪】 5作品
11.『柳生非情剣』(隆慶一郎)
12.『駿河城御前試合』(南條範夫)
13.『魔界転生』(山田風太郎)
14.『幽剣抄』(菊地秀行)
15.『織江緋之介見参 悲恋の太刀』(上田秀人)

【忍者】 10作品
16.『甲賀忍法帖』(山田風太郎)
17.『赤い影法師』(柴田錬三郎)
18.『風神の門』(司馬遼太郎)
19.『真田十勇士』(笹沢佐保)
20.『妻は、くノ一』シリーズ(風野真知雄)
21.『風魔』(宮本昌孝)
22.『忍びの森』(武内涼)
23.『塞の巫女 甲州忍び秘伝』(乾緑郎)
24.『悪忍 加藤段蔵無頼伝』(海道 龍一朗)
25.『嶽神』(長谷川卓)

【怪奇・妖怪】 10作品
26.『おそろし』(宮部みゆき)
27.『しゃばけ』(畠中恵)
28.『巷説百物語』(京極夏彦)
29.『一鬼夜行』(小松エメル)
30.『のっぺら』(霜島ケイ)
31.『素浪人半四郎百鬼夜行』シリーズ(芝村涼也)
32.『妖草師』シリーズ(武内涼)
33.『古道具屋皆塵堂』シリーズ(輪渡颯介)
34.『人魚ノ肉』(木下昌輝)
35.『柳うら屋奇々怪々譚』(篠原景)

【SF】 5作品
36.『寛永無明剣』(光瀬龍)
37.『産霊山秘録』(半村良)
38.『TERA小屋探偵団 未来S高校航時部レポート』(辻真先)
39.『大帝の剣』(夢枕獏)
40.『押川春浪回想譚』(横田順彌)

【ミステリ】 5作品
41.『千年の黙 異本源氏物語』(森谷明子)
42.『義元謀殺』(鈴木英治)
43.『柳生十兵衛秘剣考』(高井忍)
44.『ギヤマン壺の謎』『徳利長屋の怪』(はやみねかおる)
45.『股旅探偵 上州呪い村』(幡大介)

【古代-平安】 10作品
46.『諸葛孔明対卑弥呼』(町井登志夫)
47.『いまはむかし』(安澄加奈)
48.『玉藻の前』(岡本綺堂)
49.『夢源氏剣祭文』(小池一夫)
50.『陰陽師 生成り姫』(夢枕獏)
51.『安倍晴明あやかし鬼譚』(六道慧)
52.『かがやく月の宮』(宇月原晴明)
53.『ばけもの好む中将』シリーズ(瀬川貴次)
54.『風神秘抄』(荻原規子)
55.『花月秘拳行』(火坂雅志)

【鎌倉-室町】 5作品
56.『幻の神器 藤原定家謎合秘帖』(篠綾子)
57.『彷徨える帝』(安部龍太郎)
58.『南都あやかし帖 君よ知るや、ファールスの地』(仲町六絵)
59.『妖怪』(司馬遼太郎)
60.『ぬばたま一休』(朝松健)

【戦国】 10作品
61.『魔海風雲録』(都筑道夫)
62.『剣豪将軍義輝』(宮本昌孝)
63.『信長の棺』(加藤廣)
64.『黎明に叛くもの』(宇月原晴明)
65.『太閤暗殺』(岡田秀文)
66.『桃山ビート・トライブ』(天野純希)
67.『秀吉の暗号 太閤の復活祭』(中見利男)
68.『覇王の贄』(矢野隆)
69.『三人孫市』(谷津矢車)
70.『真田十勇士』シリーズ(松尾清貴)

【江戸】 10作品
71.『螢丸伝奇』(えとう乱星)
72.『吉原御免状』(隆慶一郎)
73.『かげろう絵図』(松本清張)
74.『竜門の衛 将軍家見聞役元八郎』(上田秀人)
75.『魔岩伝説』(荒山徹)
76.『退屈姫君伝』(米村圭伍)
77.『未来記の番人』(築山桂)
78.『燦』シリーズ(あさのあつこ)
79.『荒神』(宮部みゆき)
80.『鬼船の城塞』(鳴神響一)

【幕末-明治】 10作品
81.『でんでら国』(平谷美樹)
82.『ヤマユリワラシ 遠野供養絵異聞』(澤見彰)
83.『慶応水滸伝』(柳蒼二郎)
84.『完四郎広目手控』(高橋克彦)
85.『カムイの剣』(矢野徹)
86.『箱館売ります 土方歳三蝦夷血風録』(富樫倫太郎)
87.『旋風伝 レラ=シウ』(朝松健)
88.『警視庁草紙』(山田風太郎)
89.『西郷盗撮 剣豪写真師・志村悠之介』(風野真知雄)
90.『明治剣狼伝 西郷暗殺指令』(新美健)

【児童文学】 5作品
91.『天狗童子』(佐藤さとる)
92.『白狐魔記』シリーズ(斉藤洋)
93.『鬼の橋』(伊藤遊)
94.『忍剣花百姫伝』(越水利江子)
95.『送り人の娘』(廣嶋玲子)

【中国もの】 5作品
96.『僕僕先生』(仁木英之)
97.『双子幻綺行 洛陽城推理譚』(森福都)
98.『琅邪の鬼』(丸山天寿)
99.『もろこし銀侠伝』(秋梨惟喬)
100.『文学少年と書を喰う少女』(渡辺仙州)



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2021.07.23

出口真人『前田慶次かぶき旅』第7巻 いくさ人ども、薩摩へ渡る!

 その後の前田慶次の大暴れ諸国漫遊、肥後編はこの巻で終わり、薩摩編に突入することになります。関ヶ原で敗北しようとも独自の気風を持ち続ける修羅の国・薩摩に乗り込んだ慶次が引き起こす次なる騒動は……

 海底の黄金百万石を用い、キリシタン勢力を糾合せんとするガルシア神父らと、いくさ人&兵法者連合軍の決戦は言うまでもなく後者の勝利に終わり、残った黄金も風流に始末をつけた慶次。騒動が一段落したかと思いきや、まだ残っていたのは清正を仇と狙う天草衆であります。
 かつて清正に父親を討たれた大力無双の巨人・横手五郎を清正主催の相撲大会に送り込み、それに乗じて清正暗殺をしてのけようという天草衆。そして圧倒的な強さで勝ち進む五郎の前に敵がいなくなった時、やおら立ち上がったのは、もちろん慶次で……

 という展開から始まるこの巻。既に作中では神様のような扱いとなっている慶次だけに、相撲勝負の行方は言うまでもありませんが、大事なのはその後――五郎が、清正への恨みを捨てられるか、であります。
 五郎が清正の命を狙ったことは、実際に伝説となって残っています。しかしここではその伝説の結末を踏まえつつも、いかにも本作らしい男泣きの展開に昇華することによって、肥後編のエピローグに相応しい結末となっているのが何とも爽やかな後味を残すのです。


 そして肥後を離れることになった慶次は、後を慕ってきた兵庫・左近・宗茂とともに(と、死んだことになっている左近はともかく、宗茂が出歩くのはさすがにマズいのでは……)薩摩に渡ることになります。
 前巻にも登場した面白外国人枠のエンリケがここでも可哀想なことになりつつも、薩摩に到着早々に慶次一行が出会ったのは、無法の島で一人肩で風切って歩く女性剣士・夕月。使う剣は、大の男も一刀両断の天真正自顕流流――いや示現流、早速起こした揉め事をきっかけに、彼女の師・東郷重位と対面した慶次は、ある試しを求められることに……

 と、いきなり期待通りの展開が来たと思えば、予想外のとんでもない結果を引き起こす慶次。もちろん豪傑は豪傑を知る、という結果となるのですが、しかし豪傑ときたらまだまだ底が知れないのが薩摩であります。
 お次に登場したのは、最近一部で有名になった中馬大蔵。これまた豪傑を絵に描いたような大蔵に対し、慶次も胸を貸して……


 というわけで、肥後でも薩摩でも変わらぬ大暴れを見せる慶次。これまでも要所要所は締めていたものの、先に述べたようにあまりに強くなりすぎて、ちょっと出番は控えめとなっていた印象があった慶次ですが、この巻ではほとんど自分が前に出て、気持ち良さそうにいくさ人っぷりを見せております。
 この辺りは以前にも申し上げましたが、本作は言ってみれば現代の講談、いかに慶次が豪快な大暴れを見せるかが眼目といったところ。この巻はまさにそれで、そんなまさかというツッコミも野暮な展開は、実に痛快・爽快であります。

 もちろんそんな暴れっぷりは慶次一人でなく、他のいくさ人たちも同様。この巻では遠く江戸の家康(なるほど、今描くとこういう姿になるか、というビジュアルも興味深い)と本多正信がチラリと登場するのですが――そんな連中の存在に薩摩に頭を悩ます姿には、本作においては「敵方」ながら、思わず同情するほかありません。
 何しろこれだけ豪傑たちが集まった上に、薩摩の鬼島津・島津義弘がこれから登場しようというのですから……

 はたして薩摩で慶次と豪傑たちが何を引き起こすのか、この先も理屈抜きの物語を楽しみにしているところです。


 一方、本作では珍しい女性キャラである夕月のこの先の扱いが気になるところですが――肥後編での立花誾千代の描写はなかなか良かっただけに、こちらも期待したいところです。(が、いきなり妙な描写があってちょっと不安に……)


『前田慶次かぶき旅』第7巻(出口真人&原哲夫・堀江信彦 徳間書店ゼノンコミックス) Amazon

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2021.07.22

恵広史『カンギバンカ』第3巻 初陣! 九兵衛と元就と経久と

 今村翔吾の『じんかん』を大きくアレンジして描く漫画版『カンギバンカ』、いよいよ佳境の第3巻であります。ようやく出会った仲間たちのほとんど失い、それでも残った夢を叶えるため、弟の甚助らとともに堺に向かった九兵衛。そこでの出会いが、ついに九兵衛たちを戦場に立たせることに……

 厳しく辛い流浪の果てに、ようやく見つけた仲間たちを思わぬ裏切りから失い、甚助と日夏とともに山寺に流れ着いた九兵衛。その住職・宗慶和尚がある人物と結びついていることを知った九兵衛は、今は亡き多聞丸が遺した「奪い奪われることのない場所(くに)をつくる」という夢を叶えるため、甚助、そして曲直瀬一渓とともに、その人物――三好元長と会うために、堺を訪れることになります。

 ところが堺で手荒い歓迎を受け、元長の橋渡しである武野新五郎からも一度は拒絶されてしまった九兵衛。しかし彼の情熱が元長その人を動かし、九兵衛と甚助、一渓は、元長の命で安芸に向かうことになります。
 そこでこれから始まろうとしていたのは、三好の協力者である尼子経久と、大内氏配下の蔵田房信と直信が守る鏡山城を巡る戦い。そこで多治比元就の隊に加えられた九兵衛と甚助は、初めて合戦というものを経験することに……


 というわけで、この巻の後半から展開するのは、鏡山城の戦い。正直にいって、知っている方はそれほど多くはない合戦だと思いますが――まだ多治比の姓を名乗っていた(そしてこの直後に毛利の家督を継ぐ)元就がその才を見せた戦いであり、また後に因縁の間柄となる尼子経久の下について戦ったという点でも興味深い戦いではあります。

 そして彼らと戦ったのが蔵田房信と直信――史実では甥と叔父だったようですが、本作では兄弟という設定。傲岸ながら知恵の巡る房信と、猛将ながら兄にコンプレックスを持つ直信は、九兵衛と甚助のネガともいうべき存在として、描かれているといってよいでしょう。
 そしてその直信と九兵衛・甚助が戦場で相対した時、まさにその点が大きく作用し、戦況を大きく動かすことになるのですが――そこにある人物の深謀遠慮があったというのもまた、なかなか面白い趣向でしょう。


 ただ――実をいえばこの鏡山城の戦いのくだりは、原作には全く登場しないエピソード。前巻で描かれた、九兵衛と甚助が和尚を治療できる一渓を呼びに行くエピソードもオリジナルでしたが、あちらが一挿話であったのに対して、こちらは九兵衛たちの初陣を描くという点で、大きくウェイトが異なることになります。
 正直なところ、上で述べたようにあまり有名ではない、そして後に九兵衛と歴史上で大きく関わるわけでもない元就と経久がメインとなる合戦をここに持ってくる意図は、いかにも不思議に感じられます。これも上で述べた、九兵衛・甚助と房信・直信、二つの兄弟の対比もありますが、それも史実をわざわざアレンジしているわけで……

 考えられるのは、共に謀将であり、下剋上を成し遂げた元就と経久が轡を並べたこの合戦に九兵衛が参加したことが、後世の彼に影響を与えたという展開ですが――その予想が当たっているか否かは、この巻のラストで描かれる、経久の非情の策に対して九兵衛が献じた策の内容と結果を見れば、わかるような気がいたします。


 というわけで次巻は鏡山城の合戦のクライマックスですが、これは同時に本作そのもののクライマックスでもあるようです。
 実は本作はこの第3巻の発売とほぼ同時に連載終了。この想像以上に早い完結には、さすがに驚き、落胆したところではありますが――しかし本作がいかなる結末を迎えるのか、まずは見届けたいと思います。


『カンギバンカ』第3巻(恵広史&今村翔吾 週刊少年マガジンコミックス) Amazon

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今村翔吾『じんかん』 「大悪人」松永久秀の戦う理由は

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2021.07.21

「コミック乱ツインズ」2021年8月号(その二)

 「乱ツインズ」8月号の紹介、その二であります。

『殺っちゃえ!! 宇喜多さん』(重野なおき)
 阿部善定の下で、捲土重来を期して精進していた直家。しかし、その矢先、別のベクトルで精進していた興家が急逝、全く頼りにならないとはいえ一応当主だった興家を欠いたことで、宇喜多家の復興は水の泡、直家はちょっと頭がアレしてしまい……

 と、古今東西、こういう展開で本当にアレするわけはないわけで、これはもちろん周囲の眼を欺くための直家の芝居であります。その間、母は敵地ともいえる浦上家で奉公し、ついに直家が仕官する道が開けるのでした。
 そしてこれまで自分を馬鹿にしてきた連中にきっちりお返しした(でもヌッコロしたりしない辺りまだ優しい……)直家。冒頭から臥薪嘗胆の連続だった本作ですが、いよいよ次回から逆襲に転じる――のか?


『侠客』(落合裕介&池波正太郎)
 三年ぶりに再会した水野十郎左衛門から伊太郎が見せられたもの――それは酒漬け(腐敗防止)にされた男の死体だった、というある意味ショッキングな滑り出しの今回。伊太郎にとっては見知らぬこの男は、しかし彼の運命を大きく変える原因を作った一人――寺沢兵庫頭の家来であり、父をはじめとする人々の殺害を差配し、そして伊太郎自身を配下の剣客・笹又高之助に襲わせた辻十郎だったのです。

 その辻が、何故か笹又に襲われ、瀕死の状態で十郎左衛門に拾われた次第は前回描かれましたが、今回語られるのは、死の間際に辻が十郎左衛門に語った、討手を差し向けられるに至った理由であります。異常に好色かつ嗜虐癖のある兵庫頭の乱行の後始末役として重用されていた辻――しかし彼がお役目で遠出した間に、兵庫頭は辻の妻にまで魔の手を伸ばし、それをきっかけに刺客を送られたのです。
 残念ながら、本題である伊太郎とその父が狙われる理由を語る直前に息絶えた辻。しかし辻が最後の最後に近江の国の茂平次という男の名を残したことから、伊太郎は、そして十郎左衛門はそこに向かうことを決意して……

 と、異常に頼もしい男二人ががっちり手を組むことになって次回に続く本作(後のことを考えると、二人の揃い踏みには複雑な印象を受けますが……)。しかし、辻を斬った笹又の複雑な心中も前回描かれ、これで今のところ完全な悪人は兵庫頭だけですが――ド外道としか言いようのない存在だけに、おそらくそのままなのでしょう。


『小平太の刃』(山口正人)
 信頼していた親分に愛娘を殺され、その仇を討って旅に出た凄腕の侠客・小平太。それから一年、元盗賊の三次を供に旅を続けて――と、毎度おなじみのシリーズ連載の本作。各地を巡る小平太と三次のコンビが、その土地で無辜の人々を苦しめる悪党と出会い叩きのめす――というのが毎回のスタイルですが、今回はいささか異なる展開となります。

 運悪く腹の具合を悪くして弱った状態のところに薬を盛られ、何者かに捕らえられてしまった小平太(と今回全く役に立たない三次)。彼を捕らえたのは、賞金首の兇状持ちばかりを狙う万蔵親分――賞金首を捕らえて山中の処刑場に連行し、彼らに恨みのある人間に殺させて、自分は賞金をいただくという、一石二鳥というかえげつないというか、いずれにせよ外道の所業を嬉々として行う手合であります。
 そしてかつて叩きのめした相手であり、その恨みから自分に百両の賞金をかけてきた上州の蛇狩一家の前に引きずり出された小平太。後ろ手に縄をかけられた圧倒的に不利な状態で、三人を相手にすることになった彼の運命は……

 と、兇状持ちと外道しか登場しないという珍しいパターンの今回。といっても他の兇状持ちもそこまで悪人に見えないし、そもそもこれだけ捕える腕と才覚があれば、万蔵ももっと別の稼ぎようがあったのではないかと思いますが……(まあ、そこまで腕利きは捕らえられないのでこの顔ぶれだったのかもしれませんが)
 なにはともあれ、小平太はきっちり自分の因縁にケリをつけたものの、他の人間たちはこれでよかったのかどうかわからない――という結末は、ちょっと往年のバイオレンス時代劇を思わせるものがあって印象に残りました。


 次号は久々に『そば屋 幻庵』が登場。代わりに『勘定吟味役異聞』はお休みとなります。


「コミック乱ツインズ」2021年8月号(リイド社) Amazon

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2021.07.20

「コミック乱ツインズ」2021年8月号(その一)

 今月の「コミック乱ツインズ」は、単行本第3巻発売の『暁の犬』が表紙&巻頭カラー。シリーズ連載の『軍鶏侍』『小平太の刃』も登場であります。今回も印象に残った作品を一つずつ取り上げたいと思います。

『暁の犬』(高瀬理恵&鳥羽亮)
 久々登場の気がする本作、前回は三人目のターゲットを待ち伏せしたはずが、自分たちが待ち伏せされて命からがら逃げ延びた佐内が、家でこっそり傷の手当をしていたところに満枝が入ってきてしまい――というドッキリシーンで終わりました。当然、いきなり母親にドアを開けられた思春期の男の子のように逆ギレした佐内は、さらに「俺は人の皮を被った鬼だ!!」と、さらに思春期っぽいことを言い出しますが、満枝さんは見ちゃいられず手当を始めるのでした。
 殺されかけた上に秘密を知られ(勝手に白状っぽいことをして)頭に血が上った佐内、満枝さんが手当でで密着してきたものだからまた色々上がってしまい、ここでついに犬ならぬケダモノに……。もちろん、普段は草食系っぽい佐内の豹変に最初は驚いた満枝ですが、しかしすぐに覚悟が決まったか決然とした瞳の色に変わり、一方、それを見た佐内の方が狼狽えたような表情にもみえるのが、おかしいというか、らしいというか――この辺りの描写はさすがと言うべきでしょう。

 さて、そんなこんなで満枝さんが帰った後、敵に居場所も知られているかもしれないと、根岸ともども益子屋に呼ばれた佐内(そしてここでも平然とメシを食う)。ターゲットを片付けるまでは船宿に避難――ということですが、さて佐内と根岸がここにいるのに誰が? と思えば新たな刺客・立木野伝蔵が登場! これまでとグッと異なるタイプのイケオジの登場に相良のリアクションが気になる――というのはともかく、犬使いの瓢三のフォローを受けてその秘技が炸裂したと思いきや、そこに現れたのは……

 と、前半と後半でそれぞれ急展開の今回。佐内と満枝の今後、そしてまだまだ得体の知れぬ敵の正体もさることながら、立木野さんの安否も気になるところです。


『ビジャの女王』(森秀樹)
 連載が始まって三回に渡り追い詰められまくり、内憂外患のストレスに、主人公たるオッド姫も、見ているこちらも辛くなってきた本作。しかしつい救い主が現れました。そう、インド墨者たちが……!
 覆面姿でいまだその実力は未知数ながら、凧を上げて何事かを計測し、それを見てやって来たモンゴルの十人隊を、マキビシやインド古武術カラリパヤットで倒すという満点のスタート。そして城にやって来たその一人・ダルマダが、常人離れした長身というのも、前作(前作?)の墨者が短躯だったのと好対照で面白いところです。……というか最初イメージ画かと思うほど巨大なバッタを連れていて、「墨蝗ですな」とか言い出すあたり、やっぱり作者の作品という印象です。
(しかも何故インドに墨家が? と問われた時の答えのすっとぼけっぷりがスゴい)

 しかし墨者の定番(?)とはいえビジャにやってきたのはダルマダ一人。残る十人はといえば――さて、何やらとんでもないことを考えているようですが、それが果たして実るのか。それでもまずは、次回から大反撃が期待できそうです。


『勘定吟味役異聞』(かどたひろし&上田秀人)
 原作続編の『御広敷用人 大奥記録』の漫画版もスタートした本作、前回は聡四郎と紅が互いの気持ちを確かめあったと思えば、聡四郎のことを主たる吉宗が重要人物としてチェックしていることに、紀州玉込め役の川村仁右衛門が嫉妬の炎をメラメラ。かくて、吉宗から聡四郎の警護を命じられたにもかかわらず、川村は正反対に聡四郎に真剣勝負を挑むことに……

 と、理不尽に敵視されることには慣れてしまった聡四郎、川村のよくわからん理由による挑戦を受けるのですが――いざ戦ってみれば、川村は尋常でない速さに加えて重さまでもある、とんでもない難剣。しかも言葉による煽りまで加えてくる相手に、直情径行の聡四郎はいかにも不利であります。
 が、彼は一人ではありません。玄馬の助言で己を取り戻した聡四郎は、新たな剣を披露! さらに玄馬をうまく使って真の技を見せた川村のそれ以上の攻撃を封じるなど、なかなかどうして曲者ぶりを見せるのでした。

 というわけで、前回以上に迫力満点の剣戟が存分に描かれた今回。細かな描写を重ねつつ、大ゴマで大迫力の剣閃を描く、本作一流の描写を今回も大いに堪能させていただきました。そしてラストには、傷ついた愛刀の代わりに、意外な人物が新たな力を――とこれまた燃える展開で、次回に続きます。


 長くなりましたので、残りは次回に。


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かどたひろし『御広敷用人 大奥記録』漫画版連載スタート!

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2021.07.19

『しゃばけ』20周年記念スペシャルアニメ化!?

 今年20周年を迎えた畠中恵の『しゃばけ』シリーズがアニメ化され、本日から配信開始されました。といっても3分強のスペシャルアニメという形ですが、これがシリーズファンにとってはたまらない、必見の内容となっております。

 妖の存在を見聞きし、言葉を交わすことができる薬種問屋兼廻船問屋・長崎屋の若だんな・一太郎と、実はそれぞれ妖の手代・仁吉と佐助をはじめとする妖たちが、様々な謎や騒動に挑む妖怪時代小説『しゃばけ』シリーズ。
 このサイトでもこれまでほぼ全作品を紹介してきましたが、その第一作『しゃばけ』が2001年に第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、シリーズがスタートしてから、今年で20周年となります。

 今年はそのメモリアルイヤーとして様々な企画が用意されているようですが(歌舞伎役者の朗読によるオーディオブックなども!)、その最大の目玉は、この20周年記念スペシャルアニメなのではないかと思います。

 このアニメ、監督は伊藤秀樹、キャストは若だんなを榎木淳弥、仁吉を内山昂輝、佐助は阿座上洋平という顔ぶれ。これだけでもなかなか期待できそうな布陣ですが――しかしわずか3分とはどのような内容なのだろうと思いきや、これがファンにとっては実に楽しい名場面集なのです。

 このアニメ、ちょうど前半部分はシリーズ第一作『しゃばけ』からシーンが選ばれていますが、後半は第二作から第六作――初期の作品集からの名場面で構成されています。
 以下、野暮を承知で採り上げられた作品タイトルを挙げれば――
 第二作『ぬしさまへ』から、「ぬしさまへ」と「空のビードロ」
 第三作『ねこのばば』から、「産土」と「たまやたまや」
 第四作『おまけのこ』から、「おまけのこ」
 第五作『うそうそ』(長編)
 第六作『ちんぷんかん』から、「鬼と小鬼」と「はるがいくよ」
といったところがチョイスされています。

 もちろんさすがに作品名を見ただけではすぐに内容が浮かばないかもしれませんが、例えば松之助の切なく辛い心情を描いた「空のビードロ」、佐吉が追い詰められていく様を描くシリーズ一のトラウマ作「産土」、そして若だんなと桜の精・小紅の儚い交流を描く「はるがいくよ」――と説明すれば、あれか! と思う方も多い初期の名作揃い。
 特に実質ラストを、セリフだけで泣かされる「はるがいくよ」で締めるというのは、これは心憎いチョイスと言うほかありません。

 そしてキャストの方もさすがに違和感なし(ただ、個人的には屏風のぞきはもう少しお調子者な感じでよかったようにも思いますが)。特に若だんな役の榎木淳弥氏は、実は先にアニメ化された『つくもがみ貸します』の清次に続く二度目の畠山作品の主役ですが、穏やかで若々しい声がはまり役といえるでしょう。
 また、ドラマ版や漫画版では妙に可愛らしくなってしまった鳴家が、この映像ではギリギリおっさん顔なのにきちんと可愛いという、デザインアレンジの妙も、印象に残るところであります。


 ……もちろん、どれほどのクオリティ、どれほどのチョイスの妙であってもあくまでも3分強の名場面集であります。
 これだけ見ても未読の方には何が何やらかもしれませんが――しかし、どれか一つの場面でも、心そそられるものがあればこれは成功でしょう。そしてファンにとっては、何より嬉しいプレゼントであることは、先に述べた通りであります。

 それこそ、もう二クールのアニメをそのまま作っていただいてもいい、いや是非作ってほしい――そんな気持ちになる映像であります。


関連サイト
 畠中恵「しゃばけ」新潮社公式サイト

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2021.07.18

『長安二十四時』 第5話「午の刻 人脈を持つ男」

 龍波の馴染みの妓女を探し、平康坊に向かう小敬。その途中、自分に恨みを持つ熊火幇の襲撃を受けた彼は、辛くも躱し、姚汝能とともに知り合いの妓女・李香香に会う。彼女から葛の旦那に遭うように促され、二人は平康坊の地下に向かう。一方、王宋汜将軍の娘・韞秀は罠にはまり、狼衛の手中に……

 毎回お馴染み(?)のアバンでの悪役サイド、今回は龍波の登場であります。彼の潜伏場所に、前回登場したのとは別人のように艶やかな衣装で現れ、親しげにしなだれかかる魚腸。トゥガルから地図を回収したと告げる魚腸ですが、龍波は余計なことをしたと言わんばかりにすげなく振り払います(あっ、これ女性の内面を読めずに滅びるタイプだ)。それはともかく、右刹と組んでいるらしい二人ですが、「延州の物の受け取り」が最重要任務と言っているのを見ると、まだ別の企てがあるのでしょうか。

 さて、前回ラストで龍波の家から「思恩客」「平康坊」と裏表に書かれた札を手に入れた靖安司ですが、これは妓楼で妓女が馴染み客に渡す常連の証のようなもの。えっ、そんな足が付きそうなところに通って、しかもそれをわざわざ残してきたの? と思ってみれば、無数にいる妓女の誰が渡したかは、簡単にはわからないとのこと(そして後者については、どうもそんなところに通っている龍波への嫌がらせに魚腸が残した様子――ほら、早速破綻が)。
 いずれにせよ、そんなところに役人が行き、法に則って捜査しても相手が口を割るはずがない。それならばここは小敬の出番――「無法が俺の法だ」と格好良いことを言い、馬で平康坊に向かう小敬ですが、しかしその彼を窺う男たちがおります。彼らこそは熊火幇――小敬の罪状を語る際に言及される三十四人殺しの相手であります。小敬が出獄したと知り、その時のお返しをすべく、小敬を追いかけ始めたのを見ると、やはり幇を相手にするのは怖いと思います。

 一方、狼衛の件とは別に右相の汚職の証人殺しの行方を追う檀棋は、被害者が使っていた香を作っているのが聞染という娘であることを突き止めます。この聞染、今は上客である王宋汜将軍の娘(!)王韞秀と行動を共にしていたのですが――じゃじゃ馬らしい王韞秀は、聞染の父の仇である熊火幇を捕えるため、わずかな手勢を率いてお忍びで行動中。これは猛烈に悪い予感が……

 そしてわりと芸もなく、街中で徒党を組んで小敬に襲いかかる熊火幇ですが、今は捜査が最優先の小敬は戦いを避けて逃げるばかり。そんな彼の元に兵を差し向けて助けたのは姚汝能――登場時は高慢なヘタレかと思いきや、その後の行動は今回も含めてなかなか有能に感じられます。この姚汝能、平康坊に向かう道すがら、小敬の過去のことを聞き出そうとしますが、それも自作の小説の題材にするため――といけしゃあしゃあと語る辺り、何とも憎めない人物であります。

 さて、その一方で聞染とともに、熊火幇のアジトに乗り込んだ王韞秀ですが、予想通りというべきか、不意を突かれて配下は皆殺し、そこに現れたのは、曹破延であります。やはりここは狼衛のアジト、そして曹破延が聞染にニヤリと笑ってみせたところを見れば、やはりこれが前回右刹が語ってた手はずだったのでしょう。しかし聞染が狼衛と組んでいるとすれば、右相の証人殺しの件も狼衛は繋がっているのか――?

 そんなことが起きているとは露知らず、平康坊で妓女の李香香の部屋に上がり込んだ小敬と姚汝能。何やらワケアリらしい小敬と李香香ですが、小敬は相手にせず、単刀直入に用件を切り出します(一方、李香香にいいようにこき使われている姚汝能が可笑しい)。しかし相手も海千山千の妓女、小敬の問いをはぐらかしたりそらしたり、まともに答えないのですが――これはどうやら、平康坊に屋敷がある右相の間者があちこちにいるためもある模様であります。
 何はともあれ、葛の旦那なる人物に会えばと李香香に言われた小敬と姚汝能は、平康坊の地下に広がる街に向かうことになります。見るからに曰くありげな、もう一つの街へ……

 そしてその頃、ただ一人で右相のもとを訪れる李必。何執正が隠居させられたことで太子や側近に責められた李必は、何執正を灯籠の宴に出席させてみせると、心中期するところがあるようですが――しかし右相の側は、彼を靖安司の代表として審問するつもりだった様子。こちらはこちらで面倒な事態になりそうで――というところで次回に続きます。


 今回は比較的アクション少なめ(小敬と熊火幇の追いかけっこと、王韞秀の配下たちが殺されたシーンくらい?)でしたが、靖安司の権限剥奪は相変わらずカウントダウン中という緊迫した状況。その一方で敵の側もそれぞれに計画を進めていて、まだまだ先が読めない展開が続きます。


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『長安二十四時』 第4話「午の刻 窮地の靖安司」

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