入門者向け時代伝奇小説百選

 約十年前に公開した「入門向け時代伝奇小説五十選」を増補改訂し、倍の「百選」として公開いたします。間口が広いようでいて、どこから手をつけて良いのかなかなかわかりにくい時代伝奇小説について、サブジャンルを道標におすすめの百作品を紹介いたします。

 百作品選定の基準は、
(1)入門者の方でも楽しめる作品であること
(2)絶版となっていないこと、あるいは電子書籍で入手可能なこと
(3)「原則として」シリーズの巻数が十冊以内であること
(4)同じ作家の作品は最大3作まで
(5)何よりも読んで楽しい作品であること の5つであります

 百作品は以下のサブジャンルに分けていますが、これらはあくまでも目安であり、当然ながら複数のサブジャンルに該当する場合がほとんどです(また、「五十選」の際のサブジャンルから変更した作品もあります)。
 そのため、関連のあるサブジャンルについては、以下のリストからリンクしている個々の作品の紹介に追記いたします。

【古典】 10作品
1.『神州纐纈城』(国枝史郎)
2.『鳴門秘帖』(吉川英治)
3.『青蛙堂鬼談』(岡本綺堂)
4.『丹下左膳』(林不忘)
5.『砂絵呪縛』(土師清二)
6.『ごろつき船』(大佛次郎)
7.『美男狩』(野村胡堂)
8.『髑髏銭』(角田喜久雄)
9.『髑髏検校』(横溝正史)
10.『眠狂四郎無頼控』(柴田錬三郎)

【剣豪】 5作品
11.『柳生非情剣』(隆慶一郎)
12.『駿河城御前試合』(南條範夫)
13.『魔界転生』(山田風太郎)
14.『幽剣抄』(菊地秀行)
15.『織江緋之介見参 悲恋の太刀』(上田秀人)

【忍者】 10作品
16.『甲賀忍法帖』(山田風太郎)
17.『赤い影法師』(柴田錬三郎)
18.『風神の門』(司馬遼太郎)
19.『真田十勇士』(笹沢佐保)
20.『妻は、くノ一』シリーズ(風野真知雄)
21.『風魔』(宮本昌孝)
22.『忍びの森』(武内涼)
23.『塞の巫女 甲州忍び秘伝』(乾緑郎)
24.『悪忍 加藤段蔵無頼伝』(海道 龍一朗)
25.『嶽神』(長谷川卓)

【怪奇・妖怪】 10作品
26.『おそろし』(宮部みゆき)
27.『しゃばけ』(畠中恵)
28.『巷説百物語』(京極夏彦)
29.『一鬼夜行』(小松エメル)
30.『のっぺら』(霜島ケイ)
31.『素浪人半四郎百鬼夜行』シリーズ(芝村涼也)
32.『妖草師』シリーズ(武内涼)
33.『古道具屋皆塵堂』シリーズ(輪渡颯介)
34.『人魚ノ肉』(木下昌輝)
35.『柳うら屋奇々怪々譚』(篠原景)

【SF】 5作品
36.『寛永無明剣』(光瀬龍)
37.『産霊山秘録』(半村良)
38.『TERA小屋探偵団 未来S高校航時部レポート』(辻真先)
39.『大帝の剣』(夢枕獏)
40.『押川春浪回想譚』(横田順彌)

【ミステリ】 5作品
41.『千年の黙 異本源氏物語』(森谷明子)
42.『義元謀殺』(鈴木英治)
43.『柳生十兵衛秘剣考』(高井忍)
44.『ギヤマン壺の謎』『徳利長屋の怪』(はやみねかおる)
45.『股旅探偵 上州呪い村』(幡大介)

【古代-平安】 10作品
46.『諸葛孔明対卑弥呼』(町井登志夫)
47.『いまはむかし』(安澄加奈)
48.『玉藻の前』(岡本綺堂)
49.『夢源氏剣祭文』(小池一夫)
50.『陰陽師 生成り姫』(夢枕獏)
51.『安倍晴明あやかし鬼譚』(六道慧)
52.『かがやく月の宮』(宇月原晴明)
53.『ばけもの好む中将』シリーズ(瀬川貴次)
54.『風神秘抄』(荻原規子)
55.『花月秘拳行』(火坂雅志)

【鎌倉-室町】 5作品
56.『幻の神器 藤原定家謎合秘帖』(篠綾子)
57.『彷徨える帝』(安部龍太郎)
58.『南都あやかし帖 君よ知るや、ファールスの地』(仲町六絵)
59.『妖怪』(司馬遼太郎)
60.『ぬばたま一休』(朝松健)

【戦国】 10作品
61.『魔海風雲録』(都筑道夫)
62.『剣豪将軍義輝』(宮本昌孝)
63.『信長の棺』(加藤廣)
64.『黎明に叛くもの』(宇月原晴明)
65.『太閤暗殺』(岡田秀文)
66.『桃山ビート・トライブ』(天野純希)
67.『秀吉の暗号 太閤の復活祭』(中見利男)
68.『覇王の贄』(矢野隆)
69.『三人孫市』(谷津矢車)
70.『真田十勇士』シリーズ(松尾清貴)

【江戸】 10作品
71.『螢丸伝奇』(えとう乱星)
72.『吉原御免状』(隆慶一郎)
73.『かげろう絵図』(松本清張)
74.『竜門の衛 将軍家見聞役元八郎』(上田秀人)
75.『魔岩伝説』(荒山徹)
76.『退屈姫君伝』(米村圭伍)
77.『未来記の番人』(築山桂)
78.『燦』シリーズ(あさのあつこ)
79.『荒神』(宮部みゆき)
80.『鬼船の城塞』(鳴神響一)

【幕末-明治】 10作品
81.『でんでら国』(平谷美樹)
82.『ヤマユリワラシ 遠野供養絵異聞』(澤見彰)
83.『慶応水滸伝』(柳蒼二郎)
84.『完四郎広目手控』(高橋克彦)
85.『カムイの剣』(矢野徹)
86.『箱館売ります 土方歳三蝦夷血風録』(富樫倫太郎)
87.『旋風伝 レラ=シウ』(朝松健)
88.『警視庁草紙』(山田風太郎)
89.『西郷盗撮 剣豪写真師・志村悠之介』(風野真知雄)
90.『明治剣狼伝 西郷暗殺指令』(新美健)

【児童文学】 5作品
91.『天狗童子』(佐藤さとる)
92.『白狐魔記』シリーズ(斉藤洋)
93.『鬼の橋』(伊藤遊)
94.『忍剣花百姫伝』(越水利江子)
95.『送り人の娘』(廣嶋玲子)

【中国もの】 5作品
96.『僕僕先生』(仁木英之)
97.『双子幻綺行 洛陽城推理譚』(森福都)
98.『琅邪の鬼』(丸山天寿)
99.『もろこし銀侠伝』(秋梨惟喬)
100.『文学少年と書を喰う少女』(渡辺仙州)



| | トラックバック (0)

2021.05.05

賀来ゆうじ『地獄楽』第13巻 大団円 地獄と極楽の島での戦いの先に

 連載完結と同時にアニメ化発表、本書と同時にファンブックも発売という破格の待遇となった『地獄楽』、堂々の最終巻であります。自らの目的のため、本土の民全てを丹に変えんとする蓮との最終決戦の行方は、そして最後に生き残る者は――ついに物語は大団円を迎えます。

 死闘に次ぐ死闘の果てに神獣・盤古を倒した死罪人と山田浅ェ門たち。しかし天仙たちのリーダー・蓮を乗せた船は既に本土に向けて出航してしまったのでした。
 実は元人間であり、徐福の妻であった蓮。はるか昔に亡くなった徐福を復活させるため、本土の人間全てを丹に変えんと暴走する蓮を止めるため、追加上陸組とも手を携えて画眉丸と佐切たちは後を追うことになります。

 かくてこの巻の大半を費やして描かれるのは、最強最後の敵である蓮との決戦であります。天仙たちのリーダー――というより天仙たちのまさに母体であり、天仙を遥かに上回る存在・真仙である蓮。これに挑むは画眉丸と佐切だけでなく、浅ェ門最強の殊現をはじめとする、生き残った面々であります。
 いかに死闘の果てに満身創痍とはいえ、人間という枠でいえば最強クラスが集まったこのメンバーですが――しかしそんな少年漫画的に燃えるシチュエーションも、真仙としての力を発揮した蓮の前にはあっけなく粉砕されるほかありません。

 かくて一人、また一人――いや、一気に打倒されていく人間たち。彼らと蓮のいわば第一ラウンドの結末と言うべき第百十九話における、十数ページに渡って一切無音のまま惨劇が繰り広げられるシーンなど、あまりの救いのなさに愕然とするほかありません。
(単行本派の私には珍しく、本作はほぼ毎週連載を追っていたのですが、この回を読んだときの絶望ぶりは昨日のことのように思い出せます)

 しかし、人間は――地獄と極楽の島で幾多の戦いをくぐり抜けてきた画眉丸と佐切は、それでもなお立ち上がります。
 己が剣を取り、人を斬ることに悩み続けてきた果てに、ついに一つの境地にたどり着いた佐切。完全に花化し、甘美な夢に浸ってもなお戦いの中に戻る(正確には引き戻された)画眉丸。そんな二人の姿は、まさにあの島の経験があったからのものであることは間違いありません。

 そして首斬り人と忍、それぞれの本分を活かしての活躍は、こう来たか! と膝を叩くほかなく――そして最後の最後の賭けの果てに画眉丸が見せた行動と、それがもたらした結末にもまた、ただただ嘆息するほかありません。
 これまで物語の中で積み重ねられてきたものが、一点に収束し、美しい結末を紡ぎ出す幸福に、存分に浸ることができました。


 しかし、決戦の先にも物語は続きます。天仙最後の生き残り・桂花が残した不気味な易――残るのは男二人と女一人という結果は、現実のものとなるのか?
 そもそも、死罪人たちの目的であった仙薬を持ち帰ることができるのはただ一人であります。だとすれば誰がそれを持ち帰るのか、そしてそれ以外の者の運命は……

 もちろんここでその結末を述べることは決していたしませんが、しかしこの物語がこのような終わりを迎えるとは、とこれまたただただ唸り、そして微笑むほかない結末であります。(ただ「○○が十日でやってくれました」な点だけは何度読んでも引っかかるところではありますが……)
 そしてさらにその先まで描かれて、もうこれ以上はないフィナーレを迎えた本作。一つの物語は終わり、そして幾つもの物語が始まる――理想的というほかない結末は、まさに大団円というべきでしょう。


 連載開始時は、不老不死の仙薬を巡り、死罪人たちと、彼らを監督する浅ェ門たちによる一種のデスゲーム的な物語かと思われた本作。
 そこからこの結末に至るまで物語は幾重も変転を重ね、終わってみれば、そこで描かれたものは、「人間」という存在の強さと儚さ、そして愛という感情の強さと美しさであった――というのは、いささか感傷的に過ぎるでしょうか。

 しかし、この物語を最初から最後まで読んで本当に良かった――その気持ちだけは間違いがないと、この最終巻を読み終えて、改めて感じた次第です。


『地獄楽』第13巻(賀来ゆうじ 集英社ジャンプコミックス) Amazon

関連記事
 賀来ゆうじ『地獄楽』第1巻 デスゲームの先にある表裏一体の生と死
 賀来ゆうじ『地獄楽』第2巻 地獄に立つ弱くて強い人間二人
 賀来ゆうじ『地獄楽』第3巻 明かされゆく島の秘密、そして真の敵!?
 賀来ゆうじ『地獄楽』第4巻 画眉丸の、人間たちの再起の時!
 賀来ゆうじ『地獄楽』第5巻 激突、天仙対人間 そして内なる不協和音と外なる異物と
 賀来ゆうじ『地獄楽』第6巻 怪物二人の死闘、そして新たなる来訪者
 賀来ゆうじ『地獄楽』第7巻 決戦開始、前門の天仙・後門の追加組!
 賀来ゆうじ『地獄楽』第8巻 人間の心、天仙の心
 賀来ゆうじ『地獄楽』第9巻 天仙との死闘終結 そしてその先の更なる絶望
 賀来ゆうじ『地獄楽』第10巻 三つ巴の大乱戦の果ての更なる混沌と絶望
 賀来ゆうじ『地獄楽』第11巻 呉越同舟 それぞれの戦い、それぞれの想い
賀来ゆうじ『地獄楽』第12巻 最後の戦いに「人」を駆り立てる「想い」

 菱川さかく『地獄楽 うたかたの夢』 死罪人と浅ェ門 掬い上げられた一人一人の物語
 おおはし『じごくらく 最強の抜け忍 がまんの画眉丸』 公認パロディ!? 強烈なキャラ変で辿る地獄楽

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

|

2021.05.04

唐々煙『MARS RED』第2巻 人間と「人間的な」ヴァンパイアの狭間で

 4月からアニメ版も開始された大正ヴァンパイア奇譚の漫画版、第2巻であります。帝国陸軍の金剛鉄兵として選ばれた4人のヴァンパイアたちの、いつ果てるともなく続く戦いの行方は、そしてその一人・秀太郎を追う女性記者・葵の運命は……

 陸軍内部で極秘理に進められるヴァンパイアの軍事利用計画・金剛鉄兵計画。その実働部隊である零機関所属の4人のヴァンパイア――凶暴なスワ、マッドサイエンティストのタケウチ、最下層ランクの山上、そして栗栖秀太郎の任務は、都内に潜伏し無差別に人間を襲うヴァンパイアの拘束・処理であります。
 その中でもヴァンパイアになりたての秀太郎は、メンバーの中でも最強のAランクながら、いまだ自分の運命を受け容れられず、戸惑うばかりの日々を送っていたのですが……

 そんな基本設定で展開する本作の第2巻では描かれるのは、彼らヴァンパイアの奇妙な生態であり、東京を離れた地方での任務であり、そして吉原を舞台とした奇怪な事件の捜査であり――ヴァンパイアにして帝都に生きる軍人である彼らの様々な姿であります。
 冒頭の、零機関の面々が棺桶で眠る理由やタケウチの珍発明が語られるエピソード、人間でありながらしかしある意味一番人間離れした零機関の前田隊長の「実力」が描かれるエピソードなど、いずれも本作ならではの内容で面白いのですが、やはりこの巻のメインは、吉原を舞台とした物語でしょう。

 吉原で次々と見つかった遊女の変死体――遺体が紫色に変色した毒殺体の捜査のため、吉原に潜入した零機関。
 マスクがなければ血の匂いで暴走しかねないスワ(その一方で芝居好きという趣味が面白い)が、はるか昔に離別した妹を思い出させる遊女との交流を通じて過去を思い出すくだりや、吉原に潜むヴァンパイアの根城の設定など、印象的なシーンはいくつもあるのですが――しかしやはり強烈なインパクトを残すのは、秀太郎の覚醒でしょう。

 もはや人間ではなく、しかし人間の血で生きるヴァンパイアにもなりきれない。そんな迷いから、任務中に失敗し、前田やスワから厳しい言葉をぶつけられる秀太郎。それでも「化け物」になりきれない彼の迷いは、あまりにも残酷な形で打ち砕かれることになります。
 そしてその果てに彼が見せた真の力とは……

 人間を食料とする、人間ならざる化け物でありながらも、その姿同様、その心は人間と変わらないヴァンパイア。それは軍人である零機関の4人であっても変わることなく、そんな彼らの姿が(作者独特のギャグシーンにおけるセンスもあって)、殺伐とした設定ながら、どこか親しみやすさを感じさせてくれます。
 しかしどれだけ「人間的」な姿を見せようとも、ヴァンパイアはヴァンパイア――決して人間ではなく、人間に戻ることはできない。そして「人間的」であるからこそ、その事実に苦しむ――そのことを、本作は秀太郎の姿を通じて、痛切に描き出すのであります。

 そしてまた、自身は人間であり、何よりも秀太郎がヴァンパイアであることをいまだ知らないものの、彼の現実を知れば同様に苦しむであろう人物がもう一人います。それは本作のヒロインである葵――秀太郎の幼馴染であり、彼の「死」を未だに信じきれず、その姿を追う女性であります。
 残念ながらこの巻ではあまり出番がなく――それどころか敵(?)に○○を受けている状態なのですが――しかし秀太郎の覚醒を知った時、彼女がいかなる想いを抱くか、想像するだに胸が痛むのです。


 そしてこの巻の終盤において、物語は急展開を迎えることになります。
 以前からヴァンパイア血清の行方を追ってきた零機関の前に現れる、物語の背後で暗躍してきた異国の――S級のヴァンパイア。零機関の存続すら危うい状況の中、秀太郎たちの、そして葵の運命は――いよいよクライマックス突入であります。


『MARS RED』第2巻(唐々煙&藤沢文翁 マッグガーデンコミックスBeat'sシリーズ) Amazon

関連記事
唐々煙『MARS RED』第1巻 人間の中のヴァンパイア、ヴァンパイアの中の人間

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

|

2021.05.03

『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀3』 第5話「妖姫伝説」

 殤不患の使いで睦天命と天工詭匠に会い、霊薬を受け取った捲殘雲。一方、刑亥は七殺天凌にその過去を尋ねる。七殺天凌の正体こそは、かつて西幽の王宮に入り込んで皇帝を誑かし、暴虐の限りを尽くした魔族の美姫・照君臨。正体が露見して誅滅された彼女の魂は剣に宿り、魔剣に化したのだという……

 前回、散り散りとなってしまった殤不患一行。そのうち、神蝗盟サイドに潜り込むこととなった凜雪鴉は、去り際になにやら袋を殤不患に手渡しておりましたが――ほとんどシザーマンみたいな扱いの婁震戒をようやく撒いた殤不患が袋のことを思い出して開けてみれば、中に入っていたのは――ねんどろいど!? いや、見かけは凜雪鴉のねんどろいどながら、本人の声で喋る呪いの人形――じゃなかった、離れた凜雪鴉と会話することができる通信機だったのであります。まあ便利は便利と思いつつ、やっぱり見ているとムカつくので袋にしまう殤不患でありました。

 一方、前回ラストで鋳異坊にたどり着いた捲殘雲と聆牙の前には、目の周りを布で覆った睦天命が現れたわけですが――やはり彼女は失明していたものの、しかし性格の方は変わらず明るく聡明な様子で、少しだけホッとさせられます。しかし盲目の彼女は誤魔化せても、天工詭匠には、傷を負った浪巫謠のために、捲殘雲が殤不患の使いで薬を貰いに来たというのは、バレバレだったわけですが……
 霊薬を受け取って捲殘雲が退散した後、天工詭匠の口から殤不患が西幽に戻ってきていると聞かされた睦天命。彼女も聆牙の気配でそれとなく察していたようですが――自分を心配させまいと黙っていた殤不患たちの身勝手な優しさに怒ってみせるその姿は、男たちの背中についていくのではなく、そして彼らの優しさに甘えるだけでない、睦天命という女性の凛とした部分が感じられて、何とも嬉しくなります。

 さて、主人公サイドが何とか盛り返しつつある一方で、前回七殺天凌を拾った刑亥ですが――彼女は魔剣を姉上と呼ぶではありませんか。実は七殺天凌の生前の(?)姿こそは、魔族の美姫・照君臨。かつて窮暮之戰が終結し、この世界に残った魔族たちが次々と狩られていく中、人間に化けた彼女は、その絶世の美貌で周囲の者たちを次々と誑かし、ついには西幽の皇帝の寵姫にまで登り詰めたのであります。
 そして皇帝を唆して宮中で、そして西幽で無数の死をばらまいたのですが――油断からその正体が露見して護印師たちに追い詰められ、ついに誅滅されてしまった照君臨。しかし用意周到な彼女は、自らの肉体を滅ぼした聖剣に自らの魂を憑依させ、魔剣として生まれ変わったのであります。かくて魔剣・七殺天凌として再び世に現れ、手にした者たちを操って、以前よりも多くの犠牲者を出したのですが――殤不患に封じられてしまったのは、第二期で描かれてしまったとおりです。

 そんな彼女の話を聞いて驚き怒ったのは刑亥であります。自分が復活させた魔神・妖荼黎をこの世界から放逐した殤不患が、七殺天凌までその手にかけていたとは――彼こそはまさに自分たち魔族にとって不倶戴天の敵と見定めた刑亥は、何やら策があるらしく、七殺天凌に対して「お任せ下さい」と胸を張るのですが――なんだかんだで抜けているこの人の場合、そうやって自信ありげにしている方がヤバいというか、殤不患にとっては安心なような気がします。そもそも、アナタの不倶戴天の敵は凜雪鴉でしょうに……

 と、知らぬところで仇敵たちが盛り上がっているとも知らず、ようやく浪巫謠のところに戻ってきた殤不患と捲殘雲。捲殘雲が持ち帰った霊薬を早速飲ませてみれば、人事不省だった浪巫謠もすぐに意識を取り戻したのですが――薬の出処を悟った浪巫謠は、死にかけとは思えない剣幕で、殤不患に食ってかかります。睦天命が会いたがっているであろうことを知りながら会おうとしない殤不患に怒る浪巫謠ですが――お、なんだか矢印が色々絡まってる感じだな、というところで、次回はこの三人の因縁が描かれる模様です。


 まるで妲己か玉藻前か、と言いたくなるような七殺天凌=照君臨の過去話。殺戮描写に遠慮のない本作らしく、かなり生々しいシーンも描かれ、重い気分になりましたが――上にも書いたとおり、その直後に自信満々な刑亥を見ていると、何だか気が楽になりました。今回散々偉そうにしていた七殺天凌も、前作では婁震戒に迫られてドン引きしていましたし、禍世冥蝗も凜雪鴉が懐に潜り込むことになって――と、悪役側の今後が気遣われる本作であります。
(そして男を操っているようで結局男の手に握られないと何も出来ない七殺天凌と、たとえ盲目になっても毅然として立つ睦天命は好対照と感じます)


関連サイト
 公式サイト

関連記事
 『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀3』 第1話「無界閣」
 『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀3』 第2話「魔境漂流」
 『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀3』 第3話「愛執の皇女」
 『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀3』 第4話「魔剣の行方」

 『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2』 第1話「仙鎮城」
 『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2』 第2話「奪われた魔剣」
 『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2』 第3話「蝕心毒姫」
 『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2』 第4話「親近敵人」
 『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2』 第5話「業火の谷」
 『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2』 第6話「毒手の誇り」
 『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2』 第7話「妖姫の囁き」
 『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2』 第8話「弦歌斷邪」
 『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2』 第9話「強者の道」
 『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2』 第10話「魔剣/聖剣」
 『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2』 第11話「悪の矜恃」
 『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2』 第12話「追命靈狐」
 『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2』 第13話「鮮血の恋歌」

 『Thunderbolt Fantasy 西幽ゲン歌』 浪巫謠、無頼の漢として江湖に起つ

このエントリーをはてなブックマークに追加
 








このエントリーをはてなブックマークに追加







 





|

2021.05.02

うちはら香乃『異界譚里見八犬伝』1章・2章 信乃、宿命の兄弟たちに出会う!?

 朝日小学生新聞で不定期連載中のニュータイプ八犬伝、序章に引き続いてKindle化された第1章・第2章のご紹介であります。いよいよ旅立つこととなった信乃と荘助の前に現れるのは何者か――よく知ったキャラクターたちの、新たな冒険が始まります。

 両親と暮らす大塚村を襲撃してきた山犬の群れを撃退した少年・犬塚信乃。村長の召使いの荘助らと山犬のすみかの討伐隊に加わった信乃は、そこで山犬を操っていた美女・玉梓の妖術に苦しめられるも、伏姫神の加護で撃退するのでした。
 そして伏姫神から自分が里見家に八人兄弟として生まれるはずの存在だったと聞かされ、「孝」の珠を与えられた信乃ですが……

 という序章を受けての1章は「信乃の旅立ち」のサブタイトルのとおり、古河に旅立つ信乃の姿が描かれることとなります。
 まだ子供の信乃たちということもあって(?)浜路くどきの場面は愉快にアレンジされているものの、浜路の兄の存在や、糠助さんの子供の存在などもきっちり語られ、この先の展開を予感させてくれますが――ここから大きくアレンジされた展開が始まります。

 荘助を供に古河に向かう途中、旅芸人を名乗る網乾左母二郎と出会う信乃。あからさまに怪しい左母二郎を追ってきた、さらに怪しい忍者集団・深淵衆を撃退する信乃と荘助ですが、そこに現れた火遁の術を操る忍者の頭領に捕らえられてしまうのでした。
 どうやら盗人であったらしい左母二郎との関わり合いを疑われた二人は、頭領を相手に命がけのゲーム(神経衰弱)を繰り広げることに……

 と、ここでいきなり失敗してコケる頭領が愉快なのはさておき、この勝負の中で頭領は、大塚村でそれなりに平和に暮らしてきた信乃では想像もつかぬような、無法の世と化した「今」の世界の姿を語ることになります。
 さらに、自分の一族が扇谷家に皆殺しにされたことを語り、その仇討のために同じ身の上の深淵衆を組織したと語る頭領。そう、頭領の正体は、「あの人物」なのであります。

 原典では、信乃とは色々と因縁がある割にニアミス状態で、直接の対面はもう少し後になるあのキャラクターですが、なるほどここで信乃と対面させておくというのは面白いアイディア。
 ネーミング的にはどうかなと思う深淵衆ですが、ほとんど唯一、自分の郎党を連れていたあのキャラのことを考えると、これも面白いアレンジだと思います。

 他者を信じぬ冷徹な復讐鬼としての顔を見せるこのキャラと、あくまでも荘助との、他人との絆を信じようとする信乃との対比も描かれ、オリジナルながら納得の展開であります、


 一方、続く2章「芳流閣のたたかい」は、打って変わって原典にほぼ忠実な展開が描かれることとなります。
 大塚村に帰る荘助と別れ、一人古河で古河公方に村雨を献上しようとするも、いつの間にか刀は偽物にすり替えられていた信乃。あらぬ疑いをかけられ、城内で乱戦を繰り広げた果てに芳流閣に追い詰められた信乃の前に現れたのは――ということで犬飼現八の登場編であります。

 古河最強と言われながらもその心ばえの真っ直ぐさから主に疎まれていたという設定はそのままながら、バトルマニアという独自の、そして何となく納得の属性を与えられた本作の現八。
 そんな現八と信乃の決闘はやはり実に漫画向きで、この戦いがエピソードの大半を締めるのですが、それはもちろん納得の展開であります。

 そして文字通り水入りになった二人の前に小文吾が――豪快なキャラとして描かれることの多い小文吾ですが、本作ではちょっと意外なアレンジなのも面白い――登場。そしてそれだけでなく、丶大法師と蜑崎照文(でしょう)が顔を見せたところで2章は終わることになります。
 冒頭の伏姫縁起は語られず、信乃の物語から始まった本作ですが、ここで伏姫の物語がヽ大の口から語られるという趣向でしょうか。だとすれば納得のタイミングですが……


 何はともあれ、信乃を主人公とした子供向け漫画としてのアレンジはふんだんに加えられつつも、原典の流れに忠実であり、アレンジの内容も納得できるものであったこの1章・2章。八犬伝ファンとして、この先が楽しみな作品です。


『異界譚里見八犬伝』(うちはら香乃 Kindle版) 1章 前編 Amazon/ 後編 Amazon / 2章 Amazon

関連記事
うちはら香乃『異界譚里見八犬伝 序章』 確かに知っている、初めて目にする八犬伝

「八犬伝」リスト

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

|

2021.05.01

ユウキケイ『画鬼の爪』第1巻 妖怪と対峙する者――画鬼と建築家と火盗改と!?

 時は明治時代初頭――江戸から東京と呼び名を変えたばかりの町に跳梁する妖怪たちと、その姿を絵に残す「画鬼」と呼ばれる絵師、そして妖怪たちに抗する警視庁の退魔集団の姿を描く伝奇活劇の第1巻であります。謎めいた画鬼の素顔とは、そして彼の目的とは……

 幼い頃のある事件がきっかけで「画鬼」と知り合い、それ以来、常人の目には見えない妖怪変化たちの姿が見えるようになってしまった少年・仁。そんな彼をある日東京の町中で呼び止めたのは、イギリスからやって来た建築家を名乗る青年でありました。
 請われるまま青年を画鬼の住まいまで案内する仁ですが、画鬼と対面するや銃を突きつける青年。実は彼は妖怪事件を取り扱う警視庁火付盗賊改に招請されたゴーストバスター――そしてこの世のものならぬ者を見抜くはずの彼の目に映った画鬼は、正体不明の存在だったのであります。

 一触即発の状況の中、仁を狙って現れた巨大な妖怪を前に、手を組んで立ち向かうこととなった画鬼と青年。その筆の力で妖怪を封印した画鬼に興味を持った青年は、弟子入りの名目で彼の近くに身を置くこととなります。かくて画鬼――河鍋狂斎と、英国の青年――ジョサイア・コンデルの奇妙な師弟関係が始まることに……


 幕末から明治にかけて活躍し、その奇矯かつ奔放な言動と卓抜した画力で知られる自称「画鬼」、河鍋暁斎(狂斎)。幼い頃に川から流れてきた生首を拾って写生したという伝説や、数々のユーモラスな妖怪画を残したことから、フィクションの世界では、実際に妖怪変化と縁を持つことも少ない人物であります。

 しかし、そんな狂斎自身が、実は人ならざる者(らしい)として描いたのは、本作が初めてではないでしょうか。町外れの屋敷に座敷童と二人で暮らし、そして人の世に迷い出た妖怪たちを絵に描くことで封じ込める――そんな奇妙な狂斎の姿は、まさに画を描く鬼、「画鬼」に相応しいといえるでしょう。
 そして彼が妖怪たちを絵に封じる理由がまた、妖怪を退治するためなどではなく、むしろその逆――というのも、また実に「らしい」ところで、納得がいく設定であります。

 しかしそんな狂斎がいる一方で、妖怪たちを滅ぼすために力を行使するもの者たちも存。在します。それが警視庁の対妖怪部門・火付盗賊改――あの長谷川平蔵の孫・荘平が指揮する、いずれも曰く有りげな猛者たちが集まったチームであります。
 実は本作においては、維新後に妖怪たちが凶悪化し、活動が活発化しているという設定。その状況下での両者の立場の違いが、本作の最もユニークな点かもしれません。

 そしてまた、その両者の間に立つのがコンデル――その手の事件では本場(?)である英国から火付盗賊改によって招かれつつも、狂斎の絵と行動に惹かれて「弟子」(言うまでもなく史実の上でも彼らは師弟であります)というのも面白い。
 コンデルがゴーストバスターというのもさすがに初めて見る設定ですが、全くその目的が異なる両者の間に立つ者として、この先物語で大きな役割を果たすのではないか――そう感じられます。

 もっともその一方で、物語が狂斎サイドと火盗改サイドに分かれることによって、狂斎の存在感が現時点ではちょっと薄いように感じられるのも正直なところであります。特にこの巻のラストで、物語が大きく伝奇活劇サイドに舵を切っているため、いささかこの先が気になるところです。

 もちろん、本作においてそれは承知の上の展開でしょう。はたして人間たちと真っ向から対峙する妖怪たち――そもそも、明治を舞台とする妖怪ものでは、妖怪たちは日陰者になっているのが大半なので、本作の設定ちょっと珍しい趣向ではあります――を前にして、妖怪と共にあろうとする狂斎はいかに動くのか。この先の展開が気になる作品であることは間違いありません。


 ただ、やっぱり火付盗賊改というネーミングだけは気になるわけで――おまけ四コマでもツッコミが入っているところではありますが。


『画鬼の爪』第1巻(ユウキケイ マッグガーデンコミックスBeat'sシリーズ) Amazon

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

|

2021.04.30

恵広史『カンギバンカ』第2巻 オリジナル展開!? 本山寺編

 昨年を代表する歴史・時代小説の一つである今村翔吾の『じんかん』の漫画化である『カンギバンカ』の第2巻であります。戦国の世にあってようやく得たと思われた仲間と居場所を失ってしまった九兵衛たちが身を寄せた山寺。しかしそこはどうやら曰く付きの場所で……

 あの梟雄・松永久秀の若き日を描く本作、その第1巻では、両親を殺され、弟の甚助と二人で生きてきた少年・九兵衛が、多聞丸率いる子供たちばかりの野盗団と出会い、多聞丸と「奪い奪われることのない場所(くに)をつくる」という夢を共有する姿が描かれました。
 しかしその矢先、情報が事前に漏れ、襲撃した相手に返り討ちに遭ってほとんどのメンバーが命を落とすことになった野盗団。そして多聞丸もまた……

 と、読者の誰もが驚いたであろう多聞丸の死を受けて始まるこの第2巻。辛うじて逃げ延びたのは九兵衛と甚助、梟と紅一点の日夏の四人――いや、多聞丸たちを売った張本人であり、九兵衛に斬られた梟を除く三人のみであります。
 心身ともに深く傷ついた三人がたどり着いたのは、京近くの山寺・本山寺。そこで孤児たちを育てる宗慶和尚に迎えられた三人は、二ヶ月を過ごすのですが――しかし九兵衛の心には一つの疑いが芽生えることになります。自分たちを含めた孤児たちを食べさせ、時に高価な筆や紙までも与えてくれる宗慶和尚。そこには何かの裏があるのではないか――と。

 思えば九兵衛と甚助は、多聞丸たちと出会う直前までは、やはり孤児たちを育てながらその裏で食い物にし、人買いに売り飛ばしていた寺に居りました。そこまで極端でなくとも、この弱肉強食の戦国時代、善意だけで孤児を育てる者が、育てられる者がどれだけいるものかどうか?
 はたして怪しげな動きを見せる宗慶和尚の後をつけ、寺の思わぬ秘密を知る九兵衛。しかしそこから事態は思わぬ方向に転がることに……


 と、第1巻の時点で、物語の流れはほぼ原作通りながら、随所にアレンジがほどこされていた本作。この第2巻ではさらに原作から飛躍した物語が描かれることになります。

 この巻の後半で描かれるのは「敵」の手の者に傷を負わされた宗慶和尚の命を救うために奔走する九兵衛と甚助の姿。
 京に名医がいると聞いた二人は、応仁の乱以来廃墟のようになった京を訪れ、医聖・田代の弟子を名乗る風変わりな青年・曲直瀬一渓を本山寺まで連れていくことになるのですが――その後も次々と彼らの前に障害が立ちふさがることとなります。

 実はこの辺りの展開は全て本作のオリジナル、原作では本山寺のシーンはかなり短く、すぐ次の舞台に移った印象がありますが、ここまで引っ張るとは少々、いやかなり驚かされました。
 正直なところ、ここまでトラブル続きにしなくとも、という印象はありますし、その一方で原作のタイトルである「じんかん」という語が語られるエピソードが省略されたのも気になるのですが――原作での「静」の場面がほとんどであった本山寺のくだりを、漫画として「動」にアレンジするのは、わからないでもありません。

 そしてこのアレンジ展開の中で、多聞丸の想いを背負いつつも、彼との絆となるある品物を、他者の命を救うために躊躇いもなく差し出すことができる九兵衛の姿を描くのは、これはこれで大いに納得できるところであります。
 また、原作ではかなり後に登場し、しかもほぼチョイ役だった曲直瀬(いうまでもなくあの有名人の前身であります)をここまでフィーチャーしているのはなかなか面白く、原作では九兵衛視点でさらりと描かれていた日夏との別れに彼の視点からしっかりとツッコミが入っていたのも、何とも愉快です。


 さて、すぐ上で触れたように、この巻のラストでは、本山寺に残る日夏と別れ、堺に旅立つ九兵衛と甚助の姿が描かれることとなります。
 九兵衛の、そして多聞丸たちの夢を叶える力になるかもしれない阿波の御方との繋ぎとなるある男と出会うため、堺を訪れた二人を待つものは――次巻も一波乱も二波乱もありそうです。


『カンギバンカ』第2巻(恵広史&今村翔吾 週刊少年マガジンコミックス) Amazon

関連記事
恵広史『カンギバンカ』第1巻 漫画として生まれ変わった『じんかん』刊行開始!

今村翔吾『じんかん』 「大悪人」松永久秀の戦う理由は

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

|

«『セスタス The Roman Fighter』 第3話「拳闘の犬たち」