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2004.01.31

「漫画時代劇ファン」2004年第2号(集英社)

 以前紹介した第1号に続き、第2号の紹介を。今月号から久保田千太郎原作・幡地英明画の「新徳川家康 竹千代の秋」が連載開始ですが、個人的に興味のない内容なのでここではスルー。
 しかしこの雑誌、対象は四、五十代なんですね。うーん、言われてみれば確かに作品のラインナップ的にはそういう感じではありますが(特に「銭形平次」と「新徳川家康」)、もう少し欲張ってもいいんじゃないでしょうか。

「英雄三国志」(大島やすいち&柴田錬三郎)
 ついに立ち上がった劉備と、その下に加わった関羽・張飛。劉備の知謀と関張の武勇で快進撃――おお、劉備がメチャメチャ主役っぽい。確かに、柴錬アレンジ抜きでも最初だけ見ると劉備って主人公なんだよなあ…。柴錬アレンジと言えば、確か桃園の誓いも柴錬版では描かれていなかったはず(この漫画版でもなし)。あれも後になって見れば空しいので、オミットしても良いのではないでしょうか。

「隠密剣士」(かわのいちろう)
 第1回はまだ地味な印象がありましたが、今回から走り出した印象。新太郎と伊賀組の対立、甲賀五人衆一番手の脅威、新太郎の戦う理由の提示と伊賀組との和解と、様々な要素を手際よく盛り込み、かつ緊迫感あるアクションシーンを描いており非常にいい感じです。内容的には確かに非常にオールドファッションではありますが、今となってはむしろそれが逆に新鮮に見えてくるところもあり、このまま小気味よい剣術vs忍術の世界を描いて欲しいと思います。

「必殺!! 闇千家死末帖」(森田信吾&白川晶)
 森田イズム超爆発。いくらなんでもこりゃやりすぎだろ、なバイオレンス描写で、朝の通勤電車で読んで鬱になりました。とはいえ、暴力で罪亡き人を苦しめる外道を、それ以上の暴力でもって叩き潰すというバイオレンス劇画の基本フォーマットを、それとは微妙にずれる必殺シリーズのフォーマットとうまく適合させているな、とは思います。また、主人公が自分のところに回ってきた口封じの賄賂を、逆に始末料に使う(そしてそれを黙認する奉行)というシチュエーションは痛快で気に入りました。

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遊行天女 暗夜鬼譚

 異常な暑さが続く平安京。女御同士の代理戦争の意味も込めて神泉苑で雨乞い合戦が行われることとなった。片や一条の師である陰陽師・賀茂の権博士、片や密教僧・照覚、二人の勝負は、しかし日照りを呼ぶ妖怪・魃鬼の出現により中断してしまう。一方、夏樹の前には、冥府から逃げ出した魂を連れ戻すため、馬頭鬼のあおえが再び姿を現すのだった。

 暗夜鬼譚シリーズ第2弾。分量的な制約のためか、シリーズもののせいか、ストーリー展開的にはいささかあっさりした部分もあるものの、前巻からの伏線を回収しつつ、今後への伏線らしきものが展開されており、ストーリー運びはなかなか達者な印象。中盤にちらっと登場した謎の男の正体がラストで明かされた時はちょっと驚きました。
 キャラ立ちの方も、前巻さほど出番のなかった賀茂の権博士の活躍あり、実は一番の萌えキャラだったあおえの暴走ありと快調(一条の書き込みが意外に乏しいという点はありますが…)。夏樹の境遇にも新展開ありで、これから本番というところでしょうか。

 それはさておき、第1巻を読んだ時点で一条の正体に気づかなかった僕は伝奇時代オタの看板を下ろすべきかも…_| ̄|○


「遊行天女 暗夜鬼譚」(瀬川貴次 集英社スーパーファンタジー文庫) Amazon bk1


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サムライチャンプルー

 ナベシン(アフロじゃない方)が監督するということで期待大の時代劇アニメ「サムライチャンプルー」が、アニメ放映に先駆けてコミック化…

 なんですが、マガジンあたりのDQNマンガですか、これは。時代劇っぽくないのは別に全然構わないけれども、キャラの言動があまりにもあまりにも。アニメ本編に期待します。


「サムライチャンプルー」(ゴツボ★マサル&manglobe 少年エース連載)

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2004.01.29

山田は山田でも

http://www.tea-leaf.net/~neenee/YAj12.html#aa93

 今この日記の「最近の記事」欄を眺めていたら、3つ連続でホラー系のネタばかり続いたので、これではうちのサイトの性格的にいかんと思い、ちょっとしたニュースを。

 あの美麗かつどこか懐かしい手触りが感じられるイラストでお馴染みの山田章博先生が、松竹の映画「甲賀忍法帖」に参加しているとのこと。キャラクター、衣装、美術デザイン、シノプシス(えっ!?)を担当ということで、タイトルと監督以外ほとんどが不明で色々心配だったこの映画ですが、ようやく良いニュースが入ってきた印象です。

 しかし、そうか、山田章博デザインの地虫十兵衛なんてものが見れるのか…<たぶんムリです

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「超」怖い話Γ

 本日フライングゲット。既に復活3冊目、半年に一度のペースも板に付いてきたのではないでしょうか。怪談ジャンキーとしては非常にありがたい話です。平山夢明氏のお体が真剣に心配ですが。

 さて、読了して、全話通しての感想を(さすがにフラゲしておいて個別の話について感想書くのはマズいでしょう)。まず、「面白さ」という点では、近年有数の出来映えでしょう。簡単すぎずクドすぎず、適度にユーモアを交えての話運びは、既に円熟の域。特におそらくは加藤氏担当と思われる話など、かねてよりの素っ惚けたような語り口が実に楽しく、怪談なのに妙に呑気な雰囲気で、思わず噴き出した話も(さすがに2ch語オチは反則だと思いますがw)
 が、「「超」怖い話」シリーズの一冊として見てどうか、というと少々微妙な気がしないでもありません。(特にここしばらくの)特徴である、生者も死者も狂っているとしか言いようのない凄惨な世界を描いた話は比較的少なく、また、個人的にはこのシリーズの最大最高の魅力と感じている、よそでは到底お目にかかれないような、不可思議な話、因果因縁では説明できないようなわけのわからない話も、同様に少なめだったように感じます。
 もちろんこれは、怪談ジャンキーと化した自分がすっかり慣れてしまった、というのがあるのかもしれませんが、やはりある程度意図的に話のチョイスを、そして作風を変えてきているのかな、という印象はあります(とか言って平山氏のパソコンのデータが飛びまくったのが一番大きかったりして)。例えるならば、これまで豪快なスイングで当たればホームランというプレイだったバッターが、巧みに様々なところに打ち分けるアベレージヒッターに転向した、というところでしょうか。
 正直なところ、熱心なシリーズのファンの中には「アレ?」と感じる人も多いのではないか、という気もする一方で、復活後のあまりにヤバいネタの連発ぶりから考えると、これからこのシリーズを手に取る人にとっては、これくらいで丁度良いのかな、という印象もあり(正直、ビギナー、例えばちょっと怖い話が好きな女の子とかには前の2巻は勧めづらい…)、もしかするとこれからのシリーズの路線がこのΓの受け入れられ方如何で決まるのではないか、という気さえします。

 ただ、最後に誤解のないように書いておきたいのは、あくまでも前の巻に比べて比較的少なく私が感じたというだけで、洒落にならないほどおぞましく恐ろしい話はもちろんこのΓでもこれでもかと描かれており(ラストの話は平山節全開で◎)、そしてまた一読「???」が頭の中に並ぶような奇妙で魅力的な話もまだまだ健在で、怪談本としてのクオリティは相変わらず高い、ということ。私はこのシリーズのファンでいて良かったと常々思いますし、今後も(今年は色々と仕掛けがあるようですし)大いに期待しております。

 というわけで、おそらく日本で一番…と言わないまでも相当早いであろうΓの感想終わり。個別の話の感想は、また少し日にちが経ってから書きたいと思います。


「「超」怖い話Γ」(平山夢明&加藤一 竹書房文庫)


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2004.01.27

妖怪大全科

 ホントにこんな本がいまだに手にはいるの…? と半信半疑で注文した本が本日到着。本当に手に入りました。奥付を見ると平成3年の14版。いろんな意味で驚きました。
 内容は、なんというか先生もうちょっと落ち着いて下さいと言いたくなる印象で、よく言えばバラエティに富んでいる、悪く言えばまとまりがない内容。古今東西、一体この妖怪どこから持ってきた? と聞きたくなるようなレア妖怪もばっちり掲載されています。図版も、権利関係どうなっているんだろうと心配になるような無造作な引用をしているかと思えば、柳先生や古賀先生画になるように見える(イラストレーターの名前が入っていないので本物かわからない…)イラストもあったりと、実に面白い。面白いんですが、子供が見たら絶対トラウマになりそうなイラストが多く、手元にスキャナがないのが実に残念。

 個人的に一番受けた記事は「悪魔に魂を売った男」というもの。ちと長いですが引用すると

 二十世紀最大の黒魔術師クローリは、悪魔に魂を売った恐ろしい男だ。
 十二歳から悪魔をすうはいし、動物を殺してはいけにえにささげたという。やがて古代からの魔法を研究したクローリは、黒魔術の実験を行い、どんな悪事もみな実行しようと、悪魔に魂を売り渡したのだ。
 クローリは、新しい黒魔術団をつくるために、世界各地を旅行して、多くの仲間や子分を集めた。悪魔をよびだす儀式を行い、ザンギャクなごうもんや人殺しをつづけたが、ついに、恐るべき黒ミサの儀式をはじめたのだった。
 クローリは、シチリアのチェファール島に悪魔城をつくり、黒魔術団を結成した。
 城主のクローリは、
 「悪魔の子になり、この世を暗黒の世界にするのだ。」
 と、団員にちかわせた。
 そして、さらってきた赤ん坊や女の人を、悪魔の祭だんにささげ、黄金の魔剣でさし殺す、黒ミサの儀式をつづけたのだった。だが一九二三年、悪魔城はついに警察の手入れを受け、一九四四年、クローリは、黒魔術におぼれ、ひさんな最期をとげたのだった。

 …誰ですか、このアレクサンダー・メリクリウスは。何だか写していてハラハラしました。

 こんな素敵な本がまだ手にはいることを教えてくれた、2ch水木しげる・佐藤有文・中岡俊哉…捏造妖怪暴露スレの方々に感謝。


 また、同スレでその存在を知ったPCソフト「妖怪世界遺産」も同時に到着。また少ししかいじっていませんが、単なる水木ファン向けではなく、かなりしっかりした妖怪資料としてかなり良い感じです。
 が、一番見たかった妖怪年表をうちのPCで開いてみたら、環境の相性が悪いのか、変なところで改行が入って年表の体をなさず。ムムム。


「妖怪大全科」(佐藤有文 秋田書店

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2004.01.26

ダムド・ファイルリスト

 本日読了。同名の実話怪談系TVホラーシリーズの小説化ですが、「ダムド~」を担当することになったTV局のスタッフが、番組のネタのために収集した怪談を記録した手記、という微妙にメタな構成となっています。
 で、感想ですが…いかにも怪奇現象の再現ドラマ、的な印象というのが正直なところ。ここで特殊メイク使ったシーンが入りますよ~というのが透けて見えてきて、どうにもこうにも。同じネタで「超」怖い話の文法で書けば、結構面白い話だったと思うのですが、過度のディテールや感情描写は実話(っぽい)怪談の敵なんですなあ(もちろん、これは「超」怖い話シリーズの愛読者たる私の感想なので、別の目から見るとまた別の感想になるとは思いますが)。ドラマ版の「新耳袋」のアレっぷりと通じるものがあります。

 この本には4話収録されているのですが、その中で最も作者らしく、また最も面白かったのは、釣り好きのオヤジが穴場でうなぎ釣りをしたことから始まる怪異譚「うなぎ」。うなぎにまつわる怪談というと岡本綺堂を思い出しますが、むしろ微妙に内田百聞的な味わいを感じる一編で、作者の得意とする、怖い中にもどこか呑気な空気が作中に漂っていて、楽しく(?)読むことが出来ました。
 ちなみに逆にイマイチだったのは後半2話だったのですが、原案となるその回の脚本家は誰かと思ったら…さすがは武上センセー、期待に違わぬナニっぷりでした。

 まあ、今週末には本命中の本命たる「「超」怖い話Γ」が出るので(恒例のアズキさんからのDMも届いたことだし)、その前菜ということで。


「ダムド・ファイルリスト」(加藤一 角川書店)


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斬剣 冥府の旅

 庶民が旅を楽しむようになった江戸時代、旅の危険を防ぐための用心棒、同行屋という稼業があった。同行屋・橘屋幸助のもとで腕を奮うは新当流の達人・桜見歓十郎に男装の女剣士・露木雫。いずれ劣らぬ腕前の同行屋が、人生の旅路を行くわけありの旅人を護って活躍する。

 本日読了。「同行屋」というなかなか面白いプロフェッショナルたちを主人公にした連作短編でした。江戸時代は庶民が旅を楽しむようになった時代、というのはなかなか盲点で、そこに着目しての同行屋という職業の設定は良いアイディアだと思います。キャラクターも皆一癖ある者ばかりで面白く、特に無表情系(一昔であればアヤナミ系)の女剣士・雫と、初めは同行屋の客で、その生き方に憧れて同行屋の仲間入りをする泉阿弥(先祖が吉良上野介で、殿中での刃傷沙汰を防ぐために無手の武術を身につけたという設定が秀逸)がユニークなキャラで印象的でした。
 が、残念なのがその文体――というか台詞回し。登場人物の台詞であまりに多くのことを説明しようとしすぎているのか、説明的な台詞や独り言が多すぎる印象を受けてしまいました。設定やキャラはユニーク、ストーリーも水準と来て、台詞回しで減点というのは非常に残念なことです。今後に期待。


「斬剣 冥府の旅」(中里融司 光文社文庫)


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伊藤勢新連載

http://www.kodansha.co.jp/zhp/shinrensai.htm

 こりゃあ意表をつかれました。伊藤勢ファンとしては嬉しいですが羅ゴウファンとしてはちと複雑。しかし夢枕獏と伊藤勢は、確かにいい組み合わせだと思います(伊藤勢の作風的に組むとしたら古代インドものの方かと思ってたんですが)。
 それにしてもマガZ、原作ものが多すぎるのが何ですが、なんだかんだ言って読める作品が多いので色々と油断できませんね。


 全然関係ないですが、井上和香がドナルド似だと思っていたのが自分だけじゃなくて安心した。

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2004.01.24

今日手に入ったブツその他の話

 ヤフオクで落札した「抜忍伝説」が到着。昔からやりたいやりたいと思っていたのにプレイできなかったゲームをようやく手に入れることができて感慨ひとしお。MSX版だけれども、MSXには公式エミュレーターがあるのでそれで胸を張って(苦笑)プレイしましょう。

 突然「変身忍者嵐」が観たくなったので秋葉原にLD探しの旅に。バラ売りだと何カ所かで見つかったけれども、全巻揃いがなかったので今日は買わず。にしても何で同じエリアにある同じチェーンの各店で、同じ商品に付けられた値段がバラバラなのだリバティー。

 bk1に注文していた以下の本が到着。どーすんだ、こんなに買って。

 「妖説源氏物語」第1巻(富樫倫太郎 中央公論新社C・Novels)
 「時代劇原作選集」(細谷正充編 双葉文庫)
 「飛燕斬忍剣」(井川香四郎 廣済堂文庫)
 「忍法からくり伝奇」(志村有弘編 勉誠出版)

 そういえば最近すっかり更新を忘れていた今回の伝奇時代コミックに「鬼哭忍伝霊牙」と「SAMURAI DEEPER KYO」の感想を追加しました。

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2004.01.23

「二十面相の娘」第2巻

 早くに両親を亡くした少女チコは、財産を狙う叔父夫婦の許で育てられるが、そこに忍び込んでいた男――二十面相に救われ、家を捨てて二十面相一味と行動を共にする。共に暮らした二年間のうちに、二十面相の技を学んだチコは、仲間たちとともに二十面相の仕事を手伝うようになるが、二十面相を狙う宿敵との戦いで一味は壊滅、二十面相も消息を絶ってしまう。ただ一人保護され日本に帰ってきたチコは、二十面相の娘として、二十面相を探し出すことを心に誓う。

 本日購入。黄金期の「アフタヌーン」に連載された佳品「菫画報」でいまだにファンの多い作者の最新作の2巻目です。導入部という印象の強かった1巻に対し、「二十面相の娘」たるチコの本格的活躍がこの巻から始まったと言えるでしょう。二十面相の退場~チコを迎える新しい生活~謎の人間タンクの跳梁と次々と起こる事件が、作者独特のレトロな、どこか物寂しい雰囲気を漂わせる筆致で描かれています。
 ネット上で色々見る限りでは、熱心な乱歩ファンからは第1巻の評判は今ひとつのようですが、乱歩と言ってもこの作品は「少年探偵団」をはじめとする少年向け作品のオマージュと言うべき作品であり、乱歩の世界を再現したというよりは、乱歩をはじめとする少年探偵ものの世界を、作者のスタイルで描いてみた作品として受け取るべきではないかと私は思います(リンドグレーンもかなり入っているような気がしますし)。
 少なくとも、私にとってこの作品は、そうした世界に対する愛が非常に濃厚に感じられるのであり、それら作品の数々に胸躍らせた人間として、この作品の今後の展開に大いに期待しているところです。


「二十面相の娘」第2巻(小原慎司 MFコミックス)


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今日買った本

 一週間の仕事をなんとか終えて良い気分になって昼休みや会社帰りに買い漁った本が8冊。我ながらバカジャネーノ?

「二十面相の娘」第2巻(小原慎司 MFコミックス)
 別記参照

「無限の住人」第15巻(沙村広明 アフタヌーンKC)
 表紙が凛で、帯にデカデカと「拉致監禁」と書いてあるので非常にマズイ内容のように思えますが、実際に拉致監禁されるのは若い頃の和泉雅子似の女の子じゃなくて、若本規夫ヴォイスが似合いそうなやさぐれ兄ィなので大丈夫。カラーでキャラ辞典も収録されているのでお得です。

「宗像教授伝奇考」第1巻(星野之宣 潮漫画文庫)
 単行本で買っていなかったので文庫化を良い機会に購入。しかしよく考えたら古本屋で単行本全巻セットを買った方が安いような気がする(でも運ぶのが大変だし)。

「非の王」第1巻(柳蒼二郎 中央公論新社C・Novels)
 小野善鬼が主人公の剣豪もの、なのかな? 「異形の者」も「邪眼」も未読なので、この作者の作品は初めて読みます。

「嶽神忍風」第1巻(長谷川卓 中央公論新社C・Novels)
 タイトルと過去の作品から予想した通り山の民を主人公にした伝奇アクションの模様。前作「柳生七星剣」が「やってもうた」な出来だっただけに、今回は頑張って欲しいところです。

「KAWADE夢ムック〈文藝別冊 総特集 岡本綺堂〉」(河出書房新社)
 そろそろ夢ムックの菊地先生の号が発売かな、と思って見てみたら代わりに(失敬な!)綺堂先生がいたので買ってきました。やっぱり未収録作品には弱いです。あと、東タンが二箇所も文章を書いていてある意味満足。

「無宿狼人キバ吉」第1巻(森野達弥&島本高雄 GUM COMICS)
 本屋で見るまで発売を知りませんでした。森野氏の絵は、中途半端に水木しげるしていて(そりゃあ弟子なんだから当たり前)正直好きではなかったのですが、ストーリーといい登場人物といい怪物といい、作品の構成要素のほとんどが地獄のようなこの作品には非常に合っていると思います。

「ダムド・ファイル・リスト」(加藤一 角川書店)
 われらが加藤AZUKI様の最新刊。月末には「超」怖い話の新刊も出ますが、しかし「実話怪談をドラマ化するために取材して集めた怪談を手記にしたものを小説化した」という非常にややこしい設定の本で、何というか実話怪談ファンとしては少々複雑な気分もありますが、AZUKI様の文章は好きなのでまあよし。


 話は変わりますが、最近サイトの更新(準備)をするのが楽しくて仕方ありません。今まで鎌倉時代の一部から幕末までだった妖異大年表のデータを継ぎ足し継ぎ足ししていって、平安・奈良はおろか卑弥呼の時代までつなげる予定。その後は明治・大正・昭和。自己満足もいいところですが、まあいいのだ。

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2004.01.22

「シグルイ」第1巻

 あの「覚悟のススメ」の山口貴由が、南條範夫のあの「駿河城御前試合」をコミック化する、という報に喜び、掲載誌を手に取り、第1回のわずか2ページ目に描かれた駿河大納言忠長の表情に秘められた狂気に、まず衝撃を受け、そしてラスト近くに描かれた無明逆流れの画から迸る妖気に再び衝撃を受け――この作品の「成功」を感じ取ったのがおよそ半年前。そして第2回目からは、全く予想しなかったことに原作にない二人の剣士の過去のエピソードを延々と語り始めて面食らわせると共に、そこに描かれている、唖然とするほどの狂気と血飛沫の世界にこちらを金縛りにしてくれた「シグルイ」の第1巻がようやく発売になりました。

 この作品を表するとすればただ一言。「狂ってる…!」のみ。物語が展開される世界(を支配する論理)も、その中で生きる登場人物も、全てが狂気の色濃く描かれ、うかつな触れ方をすれば、読者であるこちら側もどうにかなってしまいそうなほど。元々、精神的にも肉体的にも過剰な描写で鳴らす作者でしたが、ついにそのリミッターを外してきたか、という印象があります(よりによって原作付き作品で外してくるのがまたこの作者らしい)。
 呆れるほど原作とかけ離れた(というより原作に描かれていない)エピソードを展開しながらも、それでもなお、原作の、原作者の描く狂気の世界を見事に写し取った作者の力量こそ端倪すべし、ではないでしょうか。

 到底万民にお勧めできる作品とは言いかねますが、優れた原作付き時代コミックは「バガボンド」や「バジリスク」ばかりじゃないんだよ、ということだけは声を大にして言っておきたいと思います。

 …で、昼休みにこの本買ってきた帰りに会社の女の子と会って、「一体何買ったんですか? 見せて下さいよ」と言われても、「いやちょっと…」としか言えなかったのが何ともかんとも。せめて2日前に買った「バジリスク」だったら見せられたのに。


「シグルイ」第1巻(山口貴由&南條範夫 チャンピオンREDコミックス)


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夢魔の森

 法皇・孔雀院の夢に毎夜現れる白猿。老陰陽師・土御門典明は院の夢の中に入り夢魔を斬るが、夢魔は滅びることなく次々と人々に取り憑き苦しめる。50年前に姿を消した最愛の女・高尾の魂に導かれ、典明は土御門の人々の想いの詰まった5つの屋敷の封印を解くが、そこに秘められていたのは、祖父と父母、高尾の記憶、そして土御門家と夢魔の因縁だった。夢魔の正体は、土御門家の運命は果たして。

 本日読了。あらすじだけ見ると、よくある陰陽師の魔物退治ものに見えますが、(もちろんその側面は強くあるものの)どこまでが現で、どこからが夢なのか、どこまでが過去で、どこからが現在なのか――現実とその向こう側を行き来しつつ、自分という存在を確かめる主人公の姿を描いた、思索的で幻想的な物語という印象を強く受けました。
 夢魔の正体自体は、よくあるパターンではあるので意外性はさほど感じませんでしたが、その夢魔と対峙して主人公が取った選択は、自らの過去の思い出というものを斬り捨てるに等しく、非常に切ないのですが、その果てに示される微かな希望が、またそれだけ強く胸を打ちます。
 人は、人の魂はどこから来てどこへ行くのか。ある意味普遍的なテーマを、幻想文学の殻で包んで描いてみせた、そんな良作でした。


 しかし小沢章友氏の作品をAmazonで調べていたら、結構児童書を書かれていて驚きました。「今昔物語」などの子供向けリライトなど(ものによっては百鬼丸氏と組んでいたり)。児童書は油断できませんネ。


「夢魔の森」(小沢章友 集英社文庫)


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滅びの山

 増上寺が滅びの山に…まあ、薪能とか毎年やってるしいいのかな? …いや、やっぱり問題があるような。

 しかしそんなことより面白かったのが今日の天気。私の職場は浜松町で増上寺の近所なんですが、今日の夕方、汐留~浜松町一帯(もうちょい広範囲だとは思いますが)上空の結構低い部分を、黒い雲がすっぽり覆ってました。雲と地上の隙間から、少し離れた向こうの青空が見えるというのはなかなかに奇妙な眺めで、丁度黒雲の傘の下にいるような状態。
 …妙なところで妙なイベントをやるおかげじゃないだろうね、と思ったことでした。


 話は変わりますが、帰りに秋葉原のアソビットシティに寄ったら、DVDのワゴンセールをやっていて、「仮面の忍者赤影」の第二部がなんと半額に!(といっても7千円くらいなんですが) もちろん買いました。買うか買うまいかずっと悩んでいた「赤影」のDVDだけど、これを機に集めるかなあ。

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2004.01.21

火雷天神大戦

 藤原時平に追い落とされ、太宰府で無念の死を遂げた菅原道真。しかし道真は大自在天の力を借りて魔神と化し、都に災いをもたらそうとする。比叡山の座主・尊意とその弟子・良順は、不動明王の利剣の力で時平を守るが、道真の怒りは、京の庶民に向けられた。権力者・貴族のみを守るかに見える寺院に対し疑問を持ち、自分のやり方で京を守ろうとする良順は、道真に単身立ち向かうが。

 本日読了。ストーリー的には魔神と化した道真公と、京を守る仏教者たちとの攻防戦で、読み始めた時は地味な印象があったのですが、さにあらず。仏天を召喚しての法力合戦は相当に派手でビジュアル的なイメージも強く(ほとんどスタンド合戦)、陰陽師の術に比べて地味な印象のある法力を印象的に描いてあり楽しめました。
 しかしこの作品の真の魅力は、主人公・良順の生き様にあると言い切ってよいでしょう。庶民の苦しみを顧みようとしない権力者・貴族、そして彼らのみに力を与えるかに見える寺院に怒りと不信を抱き、自分の力で人々を救おうとしながらも自分の無力さに歯噛みする、ある意味青臭い良順の姿には、素直に共感できました。そして一度は道を誤りながらも最後に彼が見出した救いの道は、形だけ見ると理想論のようにも見えますが、そこに至るまでの彼の苦難の道程をつぶさに見ているだけに説得力があり、感動的でした(もしかすると、殊更に法力が派手に描かれていたのも、このラストのためなのかな、とも感じました)。
 最後まで読んで、なるほどこの展開なればこそ、主人公は僧侶でなくてはならなかったのか、と大いに納得しました。


「火雷天神大戦」(大林憲司 ハルキ・ノベルス)


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2004.01.20

「バジリスク 甲賀忍法帖」第3巻

 本日購入。弦之介の果たし状から、四対四になるまで収録。雑誌連載時にも読んでいますが立ち読みなので(汗)、改めて読み直してみると、様々なシーンで、細やかな、そして漫画ならではの演出がなされているのに気づき、感心することしきり。絵のうまさだけでなく、こうしたセンスを持ち合わせているということが、本当に描写力があるということなのでしょう。この作者のセンスの恩恵を一番受けているのは、如月左衛門でしょうか。2巻のお胡夷との別れといい、この間の蛍火との対決といい、随分と幸せなキャラクターとしか言いようがありません。もっとも、一番幸せなのはこうした――原作に忠実でありながら、漫画独自の魅力を備え、そして原作の良さをより引き出した――作品を読むことができるこちらなのでしょうが。

 また、女性陣の艶やかさ、切なさ、そして怖さも出色で――まあその、なんだ、はっきり言って私ゃ陽炎さんに迫られたら死ぬ自信がありますね!


「バジリスク 甲賀忍法帖」第3巻(せがわまさき&山田風太郎 アッパーズKC)


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鬼武者タクティクス

 本日終了。アクションアドベンチャーだった「鬼武者」シリーズの世界観(の一部)を使った、シミュレーションRPG。一マップが短めことや面倒なメッセージ・演出を飛ばせることなど、プレイの手軽さは携帯ゲーム機をちゃんと意識していて好感が持てます。マップ数は結構あるのですが、そうしたスムーズさからついつい止まらずにプレイを続けてしまう作品でした。ストーリーに深みはありませんが、シミュレーションRPGの入門編的な存在として好きな人には楽しめるでしょう。

 が、が…時代伝奇オタとしてはストーリーが非常に残念なんですなあ。折角ある程度史実にのっとったイベントを盛り込んでいるのにもかかわらず、出来事の順番が史実とはバラバラ。勿論、仮装戦記みたいなパラレルワールドと思えばいいのですが(「このストーリーはつくり話です」という身も蓋もないメッセージが最初に出てきますし)、それはそれで、もっとブッ飛んだGENNKAI-TOPPAを見せて欲しかったなあ、と。正直、ストーリーや(メイン以外の)登場キャラは結構地味な印象があります。
 もう少し史実に沿わせたところで、ストーリーがそんなに変わるとも思えないので、信長秀吉ヌッ殺すとか富士山大爆破とかの大きな嘘はついてもいいから、小さな嘘はできるだけつかないで欲しかったなあというのが正直な感想です。


「鬼武者タクティクス」(カプコン ゲームボーイアドバンス用ソフト)


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2004.01.19

頭痛ぇ

 先週の半ばからずっと風邪気味でしたが、まだ抜けず。一時期ひどかった鼻水と喉の痛みは抜けましたが、今度は頭痛と眼の痛みが止まらず、一日顰めっ面。こんな、いつダウンするかわからない時こそ買う物買っておかねば! とわけのわからない理屈で、帰りに秋葉の某漫画専門店によって、古本で色々と時代ものを購入。

 「夢売り童子陰陽譚」(日向真幸来 ソノラマ文庫)
 「五条霊戦記(逢坂みや&中島吾郎・石井聰亙 角川書店)
 「怪童丸」(古結あかね&若林漢二・アイジープラス あすかコミックスDX)
 「魂鋼」第2,3巻(才谷ウメタロウ ヤングキングコミックス)

 平安ブーム続く。
 しかしレシートを見て思いましたが、「少年向」と「少年系」って、一文字違うだけで相当イメージ違いますね(汗

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妖女渡海剣 用心棒・新免小次郎

 かねてよりの知己・徳川頼宣より呼び出された小次郎は、頼宣たっての願いで、鄭成功なる人物の用心棒を務めることとなる。金井半兵衛、松浦水軍の海賊たちとともに平戸から廈門に向かう小次郎だが、彼らの前に南蛮の邪剣士、そして海賊船を操る仮面の妖女たちが次々と立ちふさがる。清国と明国の争いの中で奮戦する小次郎だが、その陰では思いも寄らぬ陰謀が進められていた。

 本日読了。シリーズ第3弾ですが、明朗伝奇時代小説というスタンスは変わらず。ネタを全く惜しまない所も変わらずで、楽しく一気に読むことが出来ました(今頃気づきましたが、伝奇時代小説というジャンルは、暗い…とまでは言わないものの、陰のある作品が多いですね。歴史の裏の世界や秘密・謎を扱った物語が多いために宿命的にそういうものを背負ってしまうのでしょうか)。物語的には、何故金井半兵衛が鄭成功の元へ? という疑問がまず最初に浮かびましたが、ラストまで読み通してみて、なるほど、こういう絡繰りだったのね、と納得。
 しかし何よりも心に残ったのは、登場する女性たちと小次郎の、心身の交流を描いた部分。個人的には女性にだらしない(≒誰とでもイタしてしまう)キャラクターは好きではなく、小次郎についてもそういう目で見ていたのですが、作中で女海賊への辱めに憤る姿、そして味方に見捨てられ心身共に傷ついた敵方の女戦士に対する気遣いは、まさしく「紳士」であり、女性にだらしないかのように見える部分も、小次郎の優しさの表れだったのだな、と今更ながらに感じ入った次第。また、その直後、同じく敵方だった女頭領と交合しながら共通の敵と対決するのも面白いところ。ここですぐ頭に浮かぶのは山風の「剣鬼喇嘛仏」ですが、あちらが身体は繋がりながらも心は平行線のままという非常にネガティブな男女関係を描いている一方で、こちらは敵対しあっていた二人が身も心も繋がっていく、一種の愛情表現のシーンとして描かれているという、その違いが非常に印象的でした。

 さて、まだまだ続くであろうこのシリーズ。作中では由比正雪一党が一貫してとことん悪役に描かれていますが、シリーズとしてのクライマックスは慶安の変になるのでしょうか。いつか描かれるであろう「その日」を楽しみにしています。


「妖女渡海剣 用心棒・新免小次郎」(えとう乱星 学研M文庫)


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スティール・ボール・ラン

 色んな意味で衝撃のジョジョ第6部終了から待つことしばし…タイトルのみ伝わっていた新作がいよいよ今週から新連載。一言で言えば、懐かしのオールスター映画「キャノン・ボール」の19世紀末版と言ったストーリー。破格の賞金がかけられた北米大陸横断レースという、冒険ものともレースものともなり得る、先の展開が全くわからない「あなたの予想はきっと…当たらない!!」作品となりそうです。

 作者の言によればジョジョのパラレルワールドということですが(ジョジョと「デッドマンズQ」の関係とは違うみたい)第6部がああいうオチだったし、いいかげん主人公の名前をジョジョにこじつけるのも苦しいだろうし(?)、こういうのもいいのではないでしょうか。それでも、主人公らしき人物がツェペリという姓だったり、レースのスポンサーの中にスピードワゴンの会社があったり、やっぱりスタンドは出てきそうだったり、選手の中に○○○がいたり…と、早くも好きな人間にはたまらない世界に。
 唯一心配なのは、今のジャンプで、この漫画が受けるかということなんですが…昔と違って大御所はVIP待遇(≒打ち切りほとんどなし)になったので、あんまり心配はいらない、かな。毎号31ページというのがひっかかりますが――


「スティール・ボール・ラン」(荒木飛呂彦 週刊少年ジャンプ2004年第8号より新連載)


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2004.01.18

「作品集成」更新

 妖々日本史で採り上げた作品DB「作品集成」のデータを更新しました。まだデータの抜けは山のようにありますが、形はこんなものでfixだと思います。
 と、データを見てみたら丁度500件。案外あるものです。

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2004.01.17

「妖異大年表」更新

 「妖異大年表」「神異伝」(火坂雅志 徳間文庫全5巻)のデータを追加しました。かなりスケールの大きな長編ですが、年表にまとめてしまうと随分コンパクトになってしまうのが不思議というか理不尽というか。
 そうそう、よく考えてみたらこの年表初の鎌倉時代のデータです。このまま遡って、聖徳太子の時代ぐらいまで行きたいと思っていますが、むむ、ネタ(扱う作品)がうまく続くかな。平安時代が結構長いので苦労しそう。

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2004.01.16

発売スケジュール2月

 発売スケジュールに2月分のデータを追加しました(この日記の右側のリンクからも行けます)。
 小説の方は牧秀彦氏の「蔭流闇仕置」シリーズ第2巻が今のところ目に付くくらいですが、漫画の方はようやく第1巻発売の「源平天照絵巻 痣丸」と、最終巻で書き足しはあるか?の「サムライガン月光」に注目しています。

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暗夜鬼譚 春宵白梅花

 元服したばかりの少年・夏樹は、元服して国司の父の元を離れ、近衛府に勤め始めたばかり。ある晩、夏樹は御所内の闇に立つ馬頭鬼と、この世の者とも思われない美少年を目撃、さらに鬼に襲われたと思しき女官の惨死体が発見され、御所内は大混乱に。自分の目撃したものが事件の鍵を握ると考えた夏樹は、美少年=陰陽生の少年・一条と共に、事件の謎を解こうとするが。

 20冊近く刊行されている平安ファンタジーシリーズの第1巻。お人好しで熱血漢の武官(貴族)と、ミステリアスで美形な陰陽師のコンビというのは、もはやこの類の作品では定番と言えますが、この作品ではこの主人公コンビをはじめとして、登場人物が少しずつひねってあって、楽しく読むことが出来ました(馬頭鬼のキャラ造形にはひっくり返りました)。ストーリー的には、女官殺しの犯人自体は目新しいものでないのですぐに察しがつくものの、しかし、そうなってしまった理由が何とも切なくそれなりに印象的に描かれており、ドラマとしては及第点でしょう。まだキャラクター紹介的な雰囲気もあるので、続巻が楽しみ。
 あと、そっち系の女の子向けにあざといシチュも用意しているところがあざとくもある意味手堅いといいますか。


「暗夜鬼譚 春宵白梅花」(瀬川貴次 集英社スーパーファンタジー文庫)


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火雷天神大戦

 本日購入。今頃になって俺的陰陽師ものブーム到来、ということで今まで見落としていたこの作品を手にしてみました(内容的には平安ものであっても陰陽師ものではないんですが)。これから読みます。

「火雷天神大戦」(大林憲司 ハルキ・ノベルズ)

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妖女渡海剣 用心棒・新免小次郎

 本日購入。このシリーズも早3冊目。まだ冒頭しか読んでいませんが、映画で言えばタイトルが出る前に一暴れ、という感じで上々の滑り出し。この先も安心して読めそうです。


「妖女渡海剣 用心棒・新免小次郎」(えとう乱星 学研M文庫)

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「漫画時代劇ファン」2004年第1号

 昨年12月に創刊されたこの雑誌、大いに面白かったんですが、今まで紹介するのをコロッと忘れてました。来週には次号が発売されるので、その前に紹介を。内容的にはオール新作ですが、その多くは原作付き。原作付きは手堅い反面、下手を打つと原作ファンからそっぽを向かれる可能性もありますが、そこはさすがに集英社だけあって作画&アレンジともに手堅い仕上がりになってます。
 以下、掲載作品のうち印象に残ったものを。

「銭形平次 捕物控」(シュガー佐藤&野村胡堂)
 今さら言うまでもない銭形平次を、石森プロの大番頭シュガー佐藤が漫画化。全く失礼ながらTVの影響か平次ってもう少しおっさんの印象があったのですが、この漫画版ではかなりりりしく描かれていて良い感じ。内容的にも、己の面子にこだわる与力や武家屋敷の傲慢さが描かれていて、ひねりが効いていました。

「隠密剣士」(かわのいちろう)
 TVチャンバラドラマの漫画化。私らの世代にとってはほとんど伝説の(DVDボックスは出ましたが、さすがに手を出しにくいもので…)作品が漫画となって甦るのは非常に嬉しいことです。まだまだ物語は始まったばかりですが、痛快なアクションを期待。が、一つだけ注文をつければ、キャラの顔の描写にあまりデフォルメが効いていなくて、人物の見分けが今ひとつ付きにくいのは問題でしょう。主人公は髪型一人だけ違うからいいんですが。

「英雄三国志」(大島やすいち&柴田錬三郎)
 柴錬三国志の漫画化。私は原作は読んでいないのですが、読んだ瞬間に、ああこれは柴錬作品だな、とわかるキャラ設定&台詞回し(台詞はほとんど原作のをそのまま使っているのでは?)で、三国志が苦手な私でも興味深く読めそうです。

「必殺!! 闇千家死末帖」(森田信吾&白川晶)
 バイオレンスなチャンバラを描かせたら斯界一の森田信吾の新作。原作者がいますが、この作品のための書き下ろしのようです(白川晶って、田中芳樹と組んで本を出している人かな?)。内容的にはタイトル通りの「必殺」ものですが、主人公の沈鬱にすら見えるキャラクター描写がユニーク。朝食に黙々と納豆飯を食べるシーンがなぜか印象に残ります。第一回ということで、まだ作者らしさが十分に発揮されているとは言い難い面もありますが、期待度大。
 しかしこの作品、あまりに「必殺」してるので「必殺仕置長屋」みたいに半オフィシャルかと思ったらそうでもないらしく、いいのかな、という気がしないでもありません。

 と、ネット上を調べまわっていたらこの「必殺仕置長屋」が時代劇漫画誌で復活するとあったんですが、どこでしょ?


「漫画時代劇ファン」2004年第1号(集英社)


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矢車剣之助

 ネットで古本屋に注文していたものが到着。伝説の超絶時代漫画がついに手元に…実は1~3巻はバラで以前バラで買ったんですが、4巻がバラでなかなか見つからず、かつセット売りで安かったので今回10巻まとめて買ってしまいました。1~3巻どうするかなあ…

 作品自体については、いずれきちんと解説するつもりです。もうね、ブッ飛んだ時代コミック数あれど、これだけの飛ばしっぷりを誇る作品はそうそうないと思います。

「矢車剣之助」全10巻(堀江卓 アース出版局漫画名作館)

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2004.01.14

飛蝶幻殺剣

 諸国修行の旅から帰ってきた備前宝楽流の庖丁人・乾聖四郎は、津軽藩と南部藩の婚儀の料理を任される。が、その場に翁面の謎の一党が乱入、聖四郎は鮮やかな居合いの技で賊を切り伏せるが、それは津軽と南部、さらには松平定信と将軍家治の父・一橋治斉の暗闘の幕開けに過ぎなかった。幕府の陰険かつ非常な謀略に巻き込まれた聖四郎の剣技が唸る。

 この作品が実質二作目(?)の作者による大衆娯楽時代小説。ストーリー的に目新しい部分は少ないのですが、主人公が庖丁人というところが斬新で、剣の勝負に加えて料理勝負(クライマックスは主人公の父を追放した将軍家御料理番との御前勝負)もあり、なかなか面白い趣向と言えるでしょう。主人公の一応の後ろ盾となる松平定信も、決して一面的な善人ではなく、大事の前の小事をためらいもなく犠牲に出来る冷徹な人物として描かれているのが、かえってリアリティを出していると言えるでしょう。まずは水準点の作品と言えましょうか。
 内容的には続編書く気満々で、主人公の真の素性等(大体予想はつきますが…)未回収の伏線もあるのですが、さて。


「飛蝶幻殺剣」(井川香四郎 廣済堂文庫)


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2004.01.13

今日もいじってみる

 今この日記を書いているココログ、いじってみてまず最初に思ったのがデザインテンプレートの少なさで、その辺り結構不満だったんですが、先輩方のココログを見てみたらみんな同じことを考えてて、色々なところで改造例が出ていました。
 ないならば自分で作ってしまおう! というのも、考えてみればなかなか楽しいですね。実は私、何年もサイトを作っていながらいまだにスタイルシートというのがよくわかっていないので、いい加減勉強してみようと思います。
 あと、色々いじって、googleで自分のドメインを持っていなくてもサイト内検索できる(googleで提供しているサイト検索はドメインまでしか指定できないのです)方法を発見したので、そのうちこの日記にも検索窓をつけようと思います。
 全然関係ないですが、激しく風邪っぴき。風邪をアッピールするために一日マスクしてました。

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矢柄頓兵衛戦場噺

 本日読了。三河以来の家康の忠臣、矢柄頓兵衛翁が、太平の世を憂いて一族郎党に昔語りをして聞かせるという形式の連作短編。私のようなひねくれ者からすると、「プッ、前時代の遺物がおめでてえな」と本人に聞かれたら真っ向両断されそうな失礼極まりないことを言いたくなるような設定ですが、武士道武士道ちとうるさいのを除けば、その豪快さ・豪放さはむしろデュマの「三銃士」のような戦場豪傑譚を思わせる楽しさで、一編一編は短いながらも、それぞれに趣向を凝らした作風で楽しめました。

 この作品、設定や内容から何となく想像できるように、戦時中まっただ中に書かれた作品で、そうと知ればああなるほどと思う部分もあります(というか基本設定からしてそんな感じではある)。マジメな文学ももちろんですが、大衆文学が、大衆文学作家が戦争とどのように相対してきたか、戦後の動きも含めて考えてみるとなかなか面白いものが見えてきそうに思います。

 しかしこの作品を読んでいたら、山田風太郎先生の「彦左衛門忍法盥」で、大久保彦左衛門に対して「戦中派の、真相はこうだ!」と哄笑する由比正雪が自然と浮かんできたことです。


「矢柄頓兵衛戦場噺」(横溝正史 出版芸術社「変化獅子」所収)


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2004.01.12

諸葛孔明対卑弥呼

 赤壁の戦いにおける大敗という屈辱を味あわせた張本人が諸葛孔明であることを知った魏の曹操は、孔明に匹敵する奇門遁甲の遣い手を捜していた。それに対し、司馬懿が挙げた名こそ、東の果ての蛮族の国・邪馬台国の女王卑弥呼。中国人、韓国人、土着民にその混血――混沌とした倭国において勢力を増しつつある邪馬台国を率いる卑弥呼の素顔とは。そして卑弥呼と孔明が対決する日は、その決着は?

 本日読了。以前にどこかのサイトで紹介されているのを拝見して、以来、そのあまりのネタ臭い内容にクラクラしつつも楽しみにしていた作品をようやく発見(というか、結構あちこちで売っていました)。

 しかし、実際に読んでみれば、確かにネタ臭い部分もあるものの、一歩間違えればキワモノ的題材を、じっくりと、しっかりと書き上げて可能な限り嘘っぽさを無くした作品で非常に好感が持てました。
 何故、孔明と卑弥呼が戦わなければならないのか、どこでどうやって対決させるのか、そして決着をどうつけるのか…
 一部の架空戦記のように、史実も何も無視でやってしまえば簡単なのかもしれませんが、そこで手を抜かずに一つ一つのエピソードを積み上げていく形で説得力を持たせるやり方には素直に感心します。

 何よりもこの作品で一番魅力的なのは、作中で描かれる倭国の姿。
 大陸・半島から食い詰めて流れてきた中国人、韓国人がそれぞれ原始的都市国家とでも言うべき国を作り、そこに土着の縄文人も存在し、混血していくことにより生まれる、文化も、言語も混沌とした世界。それでいて中国や韓国の血脈をあくまでも貴ぼうとする王族と変わっていく社会の矛盾。

 そしてその申し子とも言うべき中国人王族と倭人の混血・難升米の目から語られるそうした社会の姿と、その中で異彩を放つ二人の超人・卑弥呼と孔明の姿。この時代を舞台とした作品はほとんど読んだことはないのですが、こうした視点から描いた作品はほとんどないのではないでしょうか。

 …と、あくまでも真面目なようでいて、クライマックスで孔明がエレキギター弾きながら登場したりするんで(しかもそれに理論的な説明が付いてくる)、最後まで全く油断できない作品でありました。


「諸葛孔明対卑弥呼」(町井登志夫 ハルキ・ノベルス) Amazon bk1


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blog始めました

 突然ですが、サイトの日記をblogにしてみました。単に新しいもの好きとか、レス機能のある日記が欲しかったとか、横のつながりが出来そうで面白いとか色々理由はありますが、とりあえず見切り発車的にスタートしてみます(試しに、これまで書いた1月分の日記もアップしてみました)。

 blogって頻繁に更新しないと意味ないんじゃないのとか、サイトの方から日記の中身検索できないじゃんとか、色々と不安な点はありますが、まずはどうぞよろしくお願いします。

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2004.01.10

ネオ魂斗羅

http://gameonline.jp/news/2004/01/10002.html

 2chの魂斗羅スレを見ていて知りましたが、3Dになってどうこうというのは放っておいて、相棒キャラの濃さにもうメロメロ。「真」の次が「ネオ」っていう厨房っぽいネーミングも魂斗羅っぽくでグー。
 日本一詳しい魂斗羅関連サイトGAME KOMMANDERさんのところによると、スタッフ的にも安心できそうなので大いに期待しております(相棒、Genbei Jaguer Yagyuっていう名前みたい)。

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Wide West Web

http://homepage1.nifty.com/widewestweb/index.htm

 俺はこんなサイトの伝奇時代劇版を作らないといけなかったんじゃないかよウワァァァンという気分。色々なコーナーがあってよく出来ています。サイト名の略称がwwwってのも良い感じですね。

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目黒~神保町

 友達と目黒の東京都庭園美術館に。ここは建物(の内装)はいつ見てもいい感じです。美術のことはからっきしですが、華美さとデザイン性の両立というものに心惹かれる質なので、アール・デコの――特に立体物の――作品はすごく趣味があるのかもしれません。今回は今まで公開されてこなかった屋上近くの温室も公開されていて、これがまた70年前に作られたとは思えないデザインで、ちょっとしたショックを受けました。

 その後美術館のカフェで食事して(ここもお気に入り)、別の予定があるという友達と別れて久しぶりに神保町へ。特に探している本があるわけではなかったのですが、それでも気が付くと鞄が一杯になっているのが不思議な話で、本日購入は以下の本
「伊賀の四鬼」(司馬遼太郎 講談社ロマンブックス)
「最後の忍者」(矢野徹 角川文庫)
「剣魔侠菩薩」(吉川英治 講談社吉川英治文庫
「晴明鬼伝」(五代ゆう 角川ホラー文庫)
「世界格闘技ガイドブック」(糸井賢一&エム・ツー&遥遠志 新紀元社)
 しかし神保町、最近古本屋が増えていると数日前のニュースでやっていたよう気がしましたが、確かに今までみかけなかった見せがあったり、なくなったと思ったらビルに入って新しく営業始めた所もあったりと元気なところもある反面、いきなり廃屋のようになってどうしたのかと思ったら「債権に関してはこちらに連絡下さい」とか紙が貼ってある店があったりと人生色々ですネ。

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2004.01.08

陰陽師鬼談 安倍晴明物語

 本日読了。本朝への方術の伝来と聖徳太子のおぞましい秘儀から語り起こし、牛頭天王の化身・丑御前と安倍晴明・源頼光一党の決戦までを描いた陰陽道秘話というべき作品。文庫タイトルでは安倍晴明物語とありますが、むしろ「陰陽師鬼談」の部分が示すように、陰陽道のダークサイドを描いた物語という印象が強くあります。

 内容的には、今昔物語集等で有名なエピソード(芦屋道満との物当て、柱の穴から招く稚児の手、貴船の神の力で鉄輪をかぶって鬼となった女)などを題材にしつつも、この作品ならではの捻った解釈で描かれており、この辺りはさすが荒俣宏、というべきでしょうか。個人的には、結末の一ひねりが皮肉かつおぞましくも哀しい鬼女のエピソードが一番印象に残りました。
 とはいえ、物語的には、えっここで終わるの? 的な結末で、ちょっとどうかな、という気はします。聖徳太子の秘儀や、吉備真備と阿倍仲麻呂の因縁、茨木童子と渡辺綱の秘められたつながりのエピソードなどは非常に伝奇性が高く楽しめたのですが――。
 ちなみに以前の日記で紹介したコミカライズ版は、エピソードの外枠をいくつか借りている(ディテールの部分でも原作のネタをうまく取り込んでいます)ものの、物語の展開としては全くイメージの違う展開。原作が陰陽道の陰の部分を描いたとすれば、こちらは陽の部分を描いた作品と言えるでしょう(原作では猛烈に後味の悪い橋姫のエピソードが、コミックでは洒脱な印象の物語となっていますし)。原作とコミックで、同じ物語が丁度陰陽に分かれたように描かれているのは面白いところです。
 
「陰陽師鬼談 安倍晴明物語」(荒俣宏 角川文庫)

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雲海のエルドラド

 ガス状惑星の上に浮かぶ小惑星エルドラドで賞金首ビリーを捕らえたジーン・スターウインド。しかしビリーはエルドラドの顔役マクラグレン・ファミリーの一人だった。ファミリーはエルドラドを封鎖、ジーン一行は、エルドラドの保安官事務所に転がり込み、孤立無援の戦いを繰り広げる。

 本日読了。数年前に放送されたスペオペアニメの番外編小説です(発売時に買って今まで読んでなかったよ…)。上の文章だけで西部劇ファンにはピンと来るかもしれませんが、この小説は大快作西部劇「リオ・ブラボー」が元ネタ。というかほとんどそのまんま(保安官事務所に閉じこめられた主人公に対し、悪役一派が「デグエイヨ(皆殺しの歌)」を外で奏でるシーンなんか、まんま使われてますし。まあ、「リオ・ブラボー」中最高にクるシーンの一つではあるんですが)で、いかにスペオペと西部劇が親和性が高いからといって、それはプロとしてどうなの? という気がしないでもないですが、元スペオペマニアで「アウトロースター」ファン、そして「一番好きな西部劇は?」と聞かれたら迷わず「リオ・ブラボー」と答える人間として(としても)、私はこの小説、大好きです。
 というのもこの作品、元ネタをいただきながら、物語がそれに喰われず押し潰されず、きちんと「アウトロースター」の物語として成立しているから。当たり前っちゃあ当たり前ですが、原作付き作品としてこれは非常に重要な点。そしてまた、物語の節々にきっちりとSF的ネタを絡めてきているのは、単なるイタダキから離れたものとして好印象。特に元ネタでは豪快すぎてちょっと食い足りなかったラストの決戦も、本作ではガス状惑星の「海中」での宇宙船同士の決闘という燃えるシチュエーションが用意されていて、満足しました。
 また――これはひいきの引き倒しかもしれませんが――ともすればキャラの格好良さ、物語の豪快さに目を奪われがちな「リオ・ブラボー」という作品に、ゲーム的(TVゲームじゃなくて、頭脳ゲームってこと)面白さが含まれていた、ということを確認させてくれたのは大きいですね。保安官親子のキャラをもう少し掘り下げて欲しかった気もしますが、まあOK。

 しかし、「リオ・ブラボー」については語りたいこと山ほどあるぞ。素晴らしい西部劇、泣ける西部劇、考えさせられる西部劇等々、西部劇には色々とありますが、「楽しい西部劇」といったらこれに勝るものはないと私は思っています。あまりにも主人公たちが頼もしすぎて、孤立無援の緊迫感がほとんど感じられない――特にラストのダイナマイトどんどん――のはナニですが、作品の基本コンセプトがアンチ「真昼の決闘」だからいいのかな。じじいキャラ好きとしてはひがみっぽくて脳天気なスタンピー爺さんが最高でしたし、もちろんジョン・ウェインはたくましく、アンジー・ディキンソンは艶やか(ラストはなんとも微笑ましいよな)。脚本がリィ・ブラケットというのも個人的に泣かせます。
 にしてもSF版「リオ・ブラボー」、近未来版「リオ・ブラボー」というのはありますが、時代劇版「リオ・ブラボー」は寡聞にして聞きませんなあ。もしあったら是非教えて下さい。万難廃して読みます。

 …ここ、何のサイト?


「雲海のエルドラド 星方武侠アウトロースター」(堺三保 集英社スーパーダッシュ文庫)

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2004.01.05

「武装錬金」第1巻

 本日購入。週刊少年ジャンプで(ごく一部に?)絶賛連載中の伝奇アクションの第1巻がようやく発売。発売したはいいが、売れ行き良すぎで危うく買い損ねました(ジャンプの単行本初巻は、部数を少なめに刷るのでものによってはパニックが起きるのです)。昼休みに場所の割にそこそこマニアックな本が置いてある新橋の文教堂に行ったら、コミック売り場で「見つからねえ…」とでも言いたげなリーマンがウロウロしていていたのは私の目が濁っているためではないと思いたい。

 内容的にはまだまだ開幕編ということで、その後見られるテンションの高さ(というか暴走ぶり)は抑え気味のものの、今時少年漫画では珍しくなってしまった真っ直ぐ熱血少年な主人公と、女の子とは思えぬ決め台詞を持つヒロインの活躍を見ているだけでも楽しめます。何と言っても、ファンタジーとかパラレルワールドでなく、現実世界で暴れてくれるのが好きですね。私は大好きです、このコミック。

 全然関係ないですが、年表の西洋版作りたくなった…


「武装錬金」第1巻(和月伸宏 ジャンプコミックス)

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「東京魔人學園外法帖」第5巻

 ファンの間ではキナ外法と呼ばれるコミカライズ版の完結編。ゲームの方ではメインキャラ以外の仲間キャラにほとんどスポットが当たらず、それが外法帖の評価を大きく下げた一因となっていたのですが、このコミカライズ版では思い切ってメインキャラ以外をオミット、話をかなり整理しており、これはこれで正しいチョイスだったと思います。ただ、個人的な好みで言えば、そこまで独自路線を行くのであれば、戦闘シーンでいかにもゲームの漫画化でござい、といったようなゲーム中の用語・技名連呼は勘弁していただきたかった、と思います。

 また、龍泉組と鬼道衆(というより後者)の描写がゲームより密に感じられた一方で、真の敵である柳生宗崇のキャラクターが、単なるよくある悪党としてしか描かれていないのは、ただでさえゲーム中の描写が薄いキャラだっただけに、かなり残念でした。ゲーム中、同じくらい描写が薄かった主人公のキャラクターが、戦う理由やその過去半生を含めてそれなりに描写されていた点は大いに評価できるのですが――。あと、画力については、デビュー作よりは向上してる、とだけ。

 そういえばこの本が昨年最後に買った伝奇時代本でありましたなあ…


「東京魔人學園外法帖」第5巻(喜名朝飛 ガンガンWINGコミックス)

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2004.01.04

黒田・三十六計

 黒田官兵衛の生涯を描いた連作歴史コミック。単なる伝記(伝奇ならず)コミックではなく、かの三十六計を題材にしつつ、戦国乱世の中で官兵衛が、その祖父・父が知略をもって生き抜いていく姿が描かれています。その計略も常に成功するのではなく、また官兵衛も決して初めから完成された人物ではなく、時に失敗し、時に惑いながら成長していく官兵衛には、素直に感情移入できます。

 が、この作品の(俺的)魅力はそういった点にとどまらず、官兵衛以上に活き活きと魅力的な親爺キャラども。官兵衛の華々しい人生を支える、歴史上に名前の残らない無名の人物たちが、実に頼もしく、生きたキャラとして描かれているのが実に楽しいのです。その筆頭が、怪力無双の怪人・野糞垂之助(名前が残らない、というより出せんてこんな名前…)。「信玄の首を売る」という大言とともに登場し、そしてそれをはったりでなく本当にして信玄の生首を鼻歌混じりに持ってくる(しかも生首ねじ切って)という初登場時のエピソードのインパクトもさることながら、外見に似合わぬ頭の切れと時勢を見極める目、そして何よりも人としての情を持ち、偶然知り合った官兵衛とやがて強い絆で結ばれた主従となっていく姿は、(どうやって信玄の死をなかったことにするのか、そしてそうしなければならないかという展開も含めて)間違いなくこの作品の山場の一つ。というかこいつこそこの作品の影の主人公…と思っているのは私一人かもしれませんが、それだけ魅力的な人物が脇を固めているのがこの作品の強いところでは、と強引に話をまとめておしまい。


「黒田・三十六計」第1~3巻(続刊)(平田弘史 リイド社SPコミックス)

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おれは清海入道

 タイトルの通り、あの三好清海入道が痛快に暴れまくる一編。ご面相はいまいちだが、怪力無双で不正を憎み、義に厚い好人物…とくればお馴染みの清海入道のキャラクター像のようですが、この作品では清海はなかなかのインテリで知恵の回る人物として描かれ、決して通り一遍の描写ではありません(その分、弟の伊佐入道がコメディリリーフの役を務めていますが)。また、清海の出自もなかなかに意外なもので、伝奇ものとしても面白いアイディアだと思います。

 しかし何よりもこの作品の楽しさは、清海らの反骨精神溢れる痛快な暴れぶり。登場するやいなや、横暴きわまりない福島正則の家中に、天狗を名乗っての大暴れ。その後も行く先々で、権力・暴力を嵩に着る連中を叩きのめしていく姿は、かの名作コミック「花の慶次」を思い起こさせましたが、ここはやはり、真田十勇士の故郷である立川文庫の反骨精神をこそ見るべきなのでしょう。また、それらの事件の数々が、単に派手で面白い、というだけでなく、例えば清海出奔のきっかけとなった高野山内の争いのように、その当時の社会背景というものをきちんと盛り込んでいるのは時代小説として大いに評価できます。
 惜しむらくは雑誌連載という形式のためか、いくつか伏線が回収されぬままに慌ただしく終幕を迎えてしまった点。物語は十勇士集結、というところで終わっていますが、その先の十勇士の活躍も見てみたいものです。


「おれは清海入道」(東郷隆 集英社文庫)

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変化獅子

 年を越してもいつもと変わらず淡々と感想を(というか昨年の積み残し)

 今まで「人形佐七」と「髑髏検校」(そしてお供の「神変稲妻車」)しか再刊されてこなかった横溝先生の伝奇時代作品を収録したシリーズ第1巻(日下氏グッジョブ!)の表題作。主人公・獅子王寺多聞(実に格好いい名ではありませんか!)が洋上で言葉も喋れぬ美少年を救うという謎めいた導入部から始まり、後はもう、続発する怪事件、次々と現れる怪人物、そして明かされる秘密と、伝奇時代小説のお手本とも言うべき波瀾万丈、一気呵成の展開。
 この事件に対する多聞ももちろんただものではなく、様々に姿を変えて立ち向かうのが楽しいところ。これがタイトルの由来でしょう(その「変化」の一つにはかなり驚かされました)。また、登場する女性陣も、お侠で一途な女役者、清楚な武家娘、謎めいた薄倖の美女、さらに妖女あり悪女ありで、まさに百花繚乱。この辺り、横溝先生らしい作品だな、と思いました。
 実に肩のこらない、良質の娯楽時代作品でありました。

「変化獅子」(横溝正史 出版芸術社)

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2004.01.01

初日の出

20_4.JPG

 その後、千葉の方の実家に帰るという友達を捕まえて、途中コースだからと私の地元のお寺山で初日の出を見ることに。昨年は残念ながら雲が厚く、初日の出が見れなかったのが残念だったのですが、今年は見事な初日の出を拝むことが出来ました。本当、出たばかりの太陽を見ると、生命力(を育む力)というものを強く感じます。太陽信仰が世界中にあるのもわかりますなあ。
 結局、コンサートから深夜彷徨、初日の出と波瀾万丈だった年越しでしたが、終わりよければ全て良し。非常に良い気分で新年を迎えることができました。

 皆様、どうぞ今年もよろしくお願いします。そして今年が皆様にとっても、私自身にとっても良い年でありますように。

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山手七福神巡り

 それから、目黒に出て山手七福神巡りへ。駅からしばらく歩いて目黒不動尊(恵比寿)からスタートして蟠龍寺(弁財天)~大円寺(大黒天)~妙円寺(寿老人・福禄寿)~瑞聖寺(布袋)~覚林寺(毘沙門天)というコース、駅で言えば東急目黒線の不動前駅から地下鉄の白金高輪駅まで夜中の2時から4時くらいまでの間、ひたすら歩き回りました(途中一人ダウン、脱落)。目黒不動尊

 が…夜中ということもあってきちんと参拝できないところが大半。七福神にお参りできないのはまだしも、お寺すら開いていないところもあって、このかき入れ時に何をやってるんじゃ! と自分らの酔狂ぶりを棚に上げて思いました。途中、不審者だと思ったのか、こわごわお寺の人が顔を出したお寺もあったし。結局、ちゃんとお参りできたのは弁財天のみで、お堂の外から覗いたのが恵比寿、寿老人、福禄寿、毘沙門天。大黒天と布袋はお寺が開いていなかったので幟を拝んできました(…)。
 途中で一息入れようにも、目黒駅前はともかく、庭園美術館近辺まで来るとマンション街のせいかコンビニすらめったに見あたらなくなり、いやはや、最後の方は執念であるきましたよ。結局、都営浅草線の高輪台駅で解散。

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大晦日

 友達連と渋谷のオーチャードホールで年越しのジルベスターコンサートに。こちとら自慢じゃないがクラシックは門外漢でコンサートも数えるくらいしか行ったことないのですが、友達が誘ってくれたのでホイホイとついて行ってきました。席は前から二列目(一列目はTVスタッフの席だったので実質最前列)で、奏者の息づかいまで聞こえてくるような非常に良い席でした。

 演奏については、語るべき知識をてんで持っていないのですが、直感的な印象では可もなく不可もなし…というところでしょうか(生意気)。しかし音の洪水の中にリラックスして浸りきるというのは滅多にない体験で、非常に気持ちの良い年越しでした。カウントダウン曲がベルリオーズの「幻想交響曲」のラスト「ワルギプスの夜の夢」だったのは何というかすごいチョイスだったと思いますが。
 あと、司会の大江麻里子アナが大変でした。緊張しまくりで素のキャラクターでまくり。女子アナに謂われのない嫌悪感を抱く私ですが、正直、あれには萌えた<最低の年越し

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