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2004.03.30

嶽神忍風2 飛鳥の舞い

 死闘の末「猿」の頭領を倒した多十は、蓮と勝三、そして自分をつけ狙う「猿」の小頭と共に、再び旅を続ける。が、信玄の遺金を狙う大蔵十兵衛に付いたかつての仲間・山の民に捕らわれ、蓮と勝三を奪われてしまう。二人の後を追う多十は、自分が山の民から追放された事件の真相を知る。一方、同じく信玄の遺金を狙う徳川家は、服部半蔵保長と殺戮機械とも言うべき伊賀四天王を送り込んでくるのだった。

 痛快忍者活劇「嶽神忍風」は第2巻を迎えていよいよ快調。今回は、謎のままであった多十の過去の秘密と復讐が描かれる一方で、嬉しくなるほど王道真ッ直線の伊賀四天王との死闘が展開されます。特に煽りに煽って迎えるクライマックスの四天王との対決は、多十に加えて成長した蓮たちをも加えた総力戦、無敵の忍術に対して自然を武器にした山の民、ムカデ衆の殺法で迎え撃つ様は、実に痛快。
 そんな中でも、重い過去を背負いながらも、一文の得にもならない男と男の約束のために命を賭ける多十の男らしさが、押しつけがましくなく描かれていて好感が持てます。何よりも、権力の亡者・権力の狗たちにより依るべきものを奪われたアウトローたちが、乏しい力を束ね集めて、権力による理不尽な暴力に立ち向かうのが気分の良いところです。
 ただ一つ、絶体絶命の危機に陥った多十を救うのがお○○○様というのは唖然としましたが、それも愛嬌、ということにします(何かの伏線かもしれないし…いやそれは無いか)。

 過去への復讐を果たしながらも、山の民全てから追われることとなった多十。そして復仇のため禁じられた伊賀の切り札を解き放とうという服部半蔵保長。相変わらず多十一行の行く手は前途多難ですが、それだけ一層先が楽しみになるわけで、ああ、早く次巻の発売をお願いします。


「嶽神忍風2 飛鳥の舞い」(長谷川卓 中央公論新社C・novels)


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