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2004.03.04

岳神忍風 1 白銀渡り

 掟を破って山の民から追放された「一人渡り」多十は、天目山の戦いで敗れた武田勝頼一行と出逢い、末子・若千代を落とすこととなる。旅の途中、信玄遺金を求める大蔵藤十郎らに一族を虐殺された金堀衆「ムカデ」の少女・蓮を加えた多十一行だが、同じく信玄遺金を狙う真田配下の忍者団「猿」により、若千代改め勝三が奪われてしまう。多十は蓮とただ二人、絶望的な戦いに挑むが。

 最近、平安時代専門サイトとなってしまっていましたが、久々に戦国時代ものを。「南稜七ツ家秘録」シリーズで山の民という特殊な存在を描いてきた長谷川卓氏ですが、今作の主人公も山の民。その人ありと名を知られながらも、いかなる理由でか一族を追われ、孤独な旅を続ける主人公・多十のアクションは、豪快かつ実戦的なもので、他の作品では見られない、この作品の大きな売りとなっています。ストーリー的にも、逃避行あり少年の成長あり、敵討ちあり宝探しありと盛りだくさんで、時代アクションエンターテイメントの王道を行く内容。この第1巻ではかろうじて「猿」との戦いを凌いだ一行ですが、蓮の仇の一人である大蔵藤十郎(後の大久保長安)は家康と結び、おそらくこれからは徳川配下の忍者との戦いが待っているのでしょう。まだ見えない信玄遺金の在処、多十の過去、蓮の復讐の行方――次巻が大いに楽しみです。


「岳神忍風 1 白銀渡り」(長谷川卓 中央公論新社C・NOVELS)


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