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2004.04.19

鉄人28号 第2話「28号対27号」

 東京を蹂躙しつつ行く鉄人の進路の先に敷島重工の工場があることを知った敷島博士は、鉄人の狙いが工場に保管された片腕であることを悟る。そして自分と同じ名を持つ鉄人の登場に驚く正太郎少年に対し、敷島博士は大戦中に金田博士を中心に行われていた「鉄人計画」の存在、さらに金田博士が死んだと思われた息子・正太郎の代わりとして、28号を開発したことを語る。そしてなおも荒れ狂う28号に対し、敷島博士は27号を起動させて立ち向かうが、28号の圧倒的なパワーは27号を粉砕。弟分を殺され怒りに燃える村雨健次も単身28号に立ち向かうが、彼の窮地に健次の兄・竜作が三輪トラックで特攻。その隙に正太郎が28号の掌中にあったリモコンを手にしたことにより、28号は動きを止めるのだった。

 悲しみから立ち直って書きます第2話の感想。
 さすがに初回に比べれば作画的なものは幾分落ちていましたが、充分水準点。むしろ夜の街を往く28号の巨大さ・恐ろしさ、そして27号との激突シーンの迫力等、描くべき点はきちんと(さほど多くないと思われる動画枚数)で描かれていました。特に暴走する28号の姿は、原作が当初フランケンシュタインテーマで描かれていたことをスタッフがきちんと継承していることを示すものではないでしょうか。また、何かの拍子に無表情なはずの28号の顔に表情が感じられる演出も、さすがと思います(今川監督というと、どうも派手な演出の方ばかり取り上げられ、それだけの人と思われがちですが、こうした小芝居でも冴えを見せるということは忘れて欲しくないところです)。
 ストーリー的には過去話を詰め込みすぎという声もありますが、それでひっぱるべき作品とも思えないのでこれで正解でしょう(何故28号が封印されなくてはならなかったか、という謎はきちんと残っていますし)。
 そしてキャラクター。大塚署長はまだ本領発揮していない感がありますが、今回の白眉は、自分が作った27号を蹂躙する28号の姿にむしろ悦びを覚えているかのような敷島博士のある種のマッドっぷりと、ほぼ原作通りの特攻を見せた村雨兄の描写でしょうか。特に後者は、特攻くずれのキャラが特攻して死ぬ(しかも末期の言葉は「今日がが俺の終戦記念日だ」)というのはベタな展開ですが、時代の空気というものが感じられる作風と、名優若本規夫の感情たっぷりの演技(本当にこの方は、やさぐれた、それでいて男の格好良さを持つキャラを演じさせると非常に良い仕事をします)で、素直に胸に迫るシーンとなっていたと思います。

 さて、意外とあっさりと28号は正太郎少年の下に収まり、これからが物語本編となるということでしょうか。ここで気になるのは、やはり村雨健次の動向。正太郎が「戦争から立ち上がり未来へ向かっていく日本」の象徴とすれば、村雨は「戦争という重い過去を背負った日本」の象徴とでもいうべきキャラクター。ある意味もう一人の主人公とも言える村雨に注目します。

 …あ~長い、長い感想だな、これは。

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