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2004.06.22

近況

 父が入院するわ、仕事で一世一代のチョンボ(江戸時代だったら切腹ものの)をやらかすわで公私ともに最低です。
 せっかく楽しみにしていた「幽」第1号を買ったのに、なかなか読む気も起きません。好物の怪談話に食指が動かないとは重症だなあ。
 …でもこの雑誌、「日本初の怪談専門誌」と謳ってるわりには、何をもって怪談と呼ぶか、という点に無頓着な第一印象があります。って読んでるじゃない。

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2004.06.10

今月の「新しびとの剣」

 信玄が伝魔を握り潰さんとした時、雷人の雷撃が信玄を襲う。その一撃に耐え抜いた二人だが、紫靡帝は信玄に対し、伝魔を預かると申し出る。意識を取り戻した伝魔は、暗殺者の頭領と念で連絡を取り、紫靡帝の元でスパイとなることを命じられる。本心を隠し、紫靡帝の配下になりたいと申し出る伝魔だが、紫靡帝はまだ信じるわけにはいかないとこれを拒否する。それならば何故自分を助けたのかと訝しむ伝魔に、紫靡帝は、自分の仲間になって欲しい、そのためにはまず自分たちの志のなんたるかを見て欲しいと語るのだった。


 やっぱり紫靡帝に助けられた伝魔。美人は得だねえ…などと思ってしまう下司な私と裏腹に、紫靡帝はやっぱり非常に良いことを言ってくれます。
 菊地先生の作品にはクール――というより無感情――だったり猛烈にひねくれていたりと一筋縄ではいかない主人公も多いですが、その主人公が正義・信念と言った人の善なる部分について語る時、例外なく心を打つ言葉を残す印象があります(やっぱり作者の人柄ってものがにじみ出てるんだろうな、というのはファンの脳天気な感情かもしれませんが)
 紫靡帝もまたその主人公の一人。これまで飛び加藤、猿飛佐助といった面々を仲間に引き入れてきましたが、その時の言葉も、静かでありながら実に熱いものでした。その言葉を受けて伝魔がどう動くか。見守りたいと思います(なんか紫靡帝をかばって死にそうな予感もしますが)。

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今週の「SAMURAI DEEPER KYO」

 塔の下の池に落ちたことにより助かった紅虎とアキラ。アキラは、梵が昔から自分のことを見守ってくれていたことを悟り、必ず梵を救い出すと誓う。その梵は、時人に一撃を与えたものの、瀕死の重傷を負っていた。時人は狂をおびき寄せる餌にすると梵を生かしておくよう命じ、さらにスペード以外の3人の配下に紅虎とアキラ抹殺を命じる。一方、地下迷宮から脱出した狂とサスケは、ゆやと灯と合流するが、その前にシャトラ=ゆやの兄・望が現れる。完全に記憶を失っているシャトラだが、狂たちと対峙しているうちに様子が変わる。シャトラの中に眠っていたもの、それは移植された信長の魂だった…


 やっぱり生きていた梵。「瀕死=ピンピン生きてます」なこの漫画ではそのうちまた活躍してくれるでしょう。…活躍、するよな? その梵に「かわいそうなやつ」呼ばわりされた時人は、口では強がり言ってもやはり相当気になっている様子。次に梵と対決する時を楽しみにしたいと思います。そして半ば予想していたけどシャトラの中に入れられて復活の信長。太四老前に出てきたことで雑魚感が一気に高まりましたなあ。
 あと、アメーバが人気投票のランキング入りしていたのに爆笑。一部で人気あったもんなあ、あれ。

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2004.06.07

隠猿の剣

 自らの剣に磨きをかけるため修行の旅に出ていた毬谷直二郎。江戸に帰ってきた直二郎を待っていたのは、殺されて堀に投げ込まれた幼女と、足跡のない雪の上で樹上に晒された侍の、二つの死体だった。犠牲者が自分に縁の者であったことから怒りに燃える直二郎だが、事件の背後に隠されていたのは尾室藩の跡継ぎを巡る暗闘だった。藩主の忘れ形見を誘拐し、藩政を壟断せんとする謎の忍術集団に、直二郎は「千手剣」で挑む。


 「三鬼の剣」で登場した青年剣士・毬谷直二郎の活躍を描いた第二弾。物語冒頭で直二郎は「千手剣」なる奥義を会得してパワーアップ、これだったら向かうところ敵なしなんでは…と思ったのも束の間、敵方として登場する三人の個性的な剣士の前に苦戦を強いられますが、その苦戦の仕方に説得力があるのがうまいところ。簡単に言ってしまえば、相手の剣がみな千手剣にとって相性の悪い剣といいますか――なるほど、こういう流派であれば、この技は通じないな、というのが理屈として伝わってくるのです。
 剣士たちの操る剣の流派それぞれの長所・短所を的確に描いているからこそ、こうした組み合わせの妙ともいうべき技と技の戦いの世界が描けるわけで、剣豪小説として当たり前といえば当たり前かもしれませんが、やはりこうした基本の部分がキチッと描かれているのは気持ちのいいところです。
 そして、今作では味方側も敵側もキャラクターが増えており、一人一人の描写量はそれほど多くはないのですが、しかしそのそれぞれの描写がかなり印象的で、実にキャラクターが立って感じられるのには感心しました。
 また、前作には何歩か譲るものの、ミステリとしての側面も健在で、冒頭で示される二つの殺人の謎が物語の背骨となっており、一見、落着したかに見えた事件が、この謎をきっかけに新たな側面を見せ、背後にいた真の黒幕へとつながっていく展開は巧みで、正直、誰が真の黒幕なのか、登場した瞬間にわかってしまうのですが、それもまあ許せてしまう構成の妙でありました。


「隠猿の剣」(鳥羽亮 講談社文庫)


この記事に関連した本など

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2004.06.05

「眠狂四郎無頼控」の年表

 本サイト年表「眠狂四郎無頼控」全6巻(柴田錬三郎 新潮文庫)のデータを追加しました(このあたりなど)

 この連作においては、個々のエピソードにおいて、これは何年の話、という表記があるわけではもちろんないのですが、物語の冒頭に文政12年(1829)とあるのでそれを起点に(時間の流れの前後がないものとして)素直にエピソードを登場順に配置しているところです。
 ですが、どうも年代の特定については、聊か自信がない部分も多く、私の誤解も含まれているかもしれません、もし正しい/良い解釈を発見したらどうぞご指摘下さい、とまあそういうわけです。

 しかし、この「無頼控」の第5巻までの物語、特に物語も終盤となる第5巻辺りの展開は見事で、ほとんど神クラスの完成度。何度読んでも美保代の健気さと白鳥主膳の美学、狂四郎の覚悟が伝わってきて胸打たれます。

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2004.06.04

堕天の明星 黎明に叛くもの2

 ペルシア渡来の暗殺術・幻術遣いとして松永久秀を描く「黎明に叛くもの」の新書版第2巻。この巻では、久秀と兄貴分である斎藤道三がそれぞれの立場からのし上がっていく様と、やがて若い世代に追われ歴史の表舞台から徐々に遠ざかっていく様が描かれています。
 久秀の邪悪でありながらどこか憎めないエキセントリックなキャラクターは相変わらずですが、この巻で本格的に登場する織田信長のキャラクター像と、その信長と道三・久秀が互いに向ける視線の複雑さがなかなか面白く、興味深く読めました。

 が、非常に残念なのは、その信長に対面することにより、自分たちが日輪ではなく星に過ぎなかったと久秀・道三が絶望を深めていく様の描写が今ひとつ甘いように感じられたところ。もちろん激動の戦国の世を個人で動かしていくのは不可能とはいえ、あれだけの個性と力を持った久秀・道三が何故歴史からフェードアウト(というには壮烈な最期ではありますが)していかなければならなかったか、という点で説得力が今ひとつ、というよりも描写を飛ばされてしまったような印象がありました。特に、基本的に久秀の視点で物語が進められるせいか、道三の虚無感・絶望感がいささか唐突に感じられたのが残念なところ。
 もちろん、まだまだ物語は折り返し地点。上記の不満はこれから先で解消されるかもしれませんし、老境にさしかかった久秀が、これから信長と光秀に、そして戦国の世に対して仕掛けるであろう「術」「法」がいかなるものであるか、非常に興味をそそられているのも間違いのないところです。


「堕天の明星 黎明に叛くもの2」(宇月原晴明 中央公論新社C・Novels)


この記事に関連した本など

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2004.06.03

死闘! 古着屋総兵衛影始末

 元夜盗の鳶沢に対し、徳川家康からに与えられた秘命。それは古着屋として江戸に根を張りつつ、裏で徳川家を護持するという影旗本の任だった。以来、鳶沢の血を引く者は、富沢町の古着屋・大黒屋総兵衛を名乗り、代々影の任務についていた。それから時は流れ元禄十四年、大黒屋縁の者たちが次々と血祭りに挙げられていく。大黒屋の使命に挑戦する謎の一味に、総兵衛は一族を率いて死闘を挑む。


 「古着屋総兵衛影始末」シリーズの第1弾。歴史ファン…というか時代小説ファンにはお馴染みの、家康に命じられた古着屋の元締めとなった鳶沢甚内、その子孫を主人公にした作品であります。
 何と言っても、表の顔を持った、それも個人営業ではなくて巨大商店の従業員全員が幕閣にすら正体を秘められた影の忍びという設定が面白く、勢力で言えば圧倒的に優勢なはずの敵に対し、時にゲリラ戦法で、時に真っ向から激突する大黒屋一党の活躍はなかなか爽快かつスリリング。ノリ的には、「影の軍団」に近いものがあるかもしれません。
 正直なことを言えば、文体的にはあまり好みではないですし、登場人物が多くていささか面食らう点もあるのですが、それでもラストまで一気に楽めましたし、本当の死闘はこれから…というヒキを見れば、続巻も気になるというものです。


「死闘! 古着屋総兵衛影始末」(佐伯泰英 徳間文庫)


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今週の「SAMURAI DEEPER KYO」

 獣化しても時人のレベル5のスピードに追いつくのがやっとな梵だが、蓄積したダメージのため、獣化も自動的に解けてしまう。勝ち誇り、梵らと共に父・村正のことも嘲笑する時人のことを、親を恋しがっていると評する梵だが、その言葉に時人は激昂、梵は更なる大ダメージを受ける。梵を救うため時人の前に立ち塞がる紅虎とアキラだが、梵は二人に後を託し、壁に空いた穴から放り投げて逃がしてしまう。背中から時人の手に貫かれる梵だが、命は捨てても戦友を信じる魂は捨てぬと、時人に最期の一撃を放つのだった。


 何だかいきなり「魁!男塾」な味わいの展開に。さすがにいきなり太四老戦はないだろうと思っていましたが、ここで一度水入りということでしょう。非BIKEIには冷たいような気もひしひしするこの作品、これで梵が歴史上の人物じゃなかったら生死を心配するところですが、まあ死ぬわけないですな。
 梵の台詞はパターンっちゃあパターンですが、これをゲームやCDで梵の声を当てた若本規夫がしゃべったらと思うとちょっと幸せな気分に<バカはすぐ幸せになれる
 で、「梵の力にはまだ先がある」「時人の体には病が?」というわかりやすい伏線も出てきたところで、さて次の出番は誰でしょう。

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発売スケジュール6月

 6月の伝奇時代アイテム発売スケジュールをアップしました(もう6月に入ってしまいましたが…)。

 今月は小説・漫画ともに大充実の一ヶ月。特にシリーズものの新刊・続編の発売が多いのが嬉しいところです。

 特に25日の充実ぶりはかなり大変なことになっています。伝奇時代劇とは関係ないですが、長らく絶版になっっていた(っぽい)「日本妖怪変化史」と、以前の版元が無くなっていた「日本怪談集妖怪篇」が復刊になったのが個人的にはツボ(まあ、どっちも古い版で持ってるんですが…)。
 ただ、この25日発売のC・Novels三点、どれもシリーズ最終巻のようなのですが、C・Novelsで展開されていた時代伝奇作品のほとんどが今月で完結してしまうわけで、この先がちょっと心配ではあります。新シリーズが始まるのであればいいんですが。

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2004.06.02

「バジリスク」ラスト-1

 阿福の手の者により首を継がれようとする天膳に対し、破幻の瞳を向ける朧。その瞳の前についに最期を迎えたかに見えた天膳だが、朧はかつて祖母から聞かされた言葉を思い出す。天膳の不死身を破るには、分かれるはずでありながら一体として生まれたもう一人の天膳を破らなければならないと。もう一人の天膳――天膳の首元に現れた人面瘡をも朧の瞳は打ち倒すが、人面瘡は「死」の間際に弦之介の居場所を語る。阿福に対し、弦之介との一対一の尋常の決闘を望む朧。そして遂に、愛し合う二人が死命を決する時が来た――


 いよいよ最終回一話前まで来た「バジリスク」。今回は朧の破幻の瞳vs天膳の不死力がハイライト。最初の「死」に方もだいぶ嫌ですが、もう一人の天膳の「死」に方はもはや物体Xクラスのインパクト。でもこれはこれで妙に山風テイストが漂っているように思います。
 原作にかなりの点で忠実な本作のほとんど唯一と言っていいような改変点であるこの天膳の不死身の秘密=人面瘡ですが、その存在理由は、今回のこのシーンのためにあったのではないかと感じました(というか感じてました)。いってみれば「にらめっこ」である朧と天膳の対決シーンを漫画として表現するには、原作そのままでは些か表現しにくく、またインパクトに欠けるように思います。そこをビジュアル的に補い、さらに朧の破幻の「瞳」が天膳の不死を打ち破ることに更なる説得力を与えたのが、あの人面瘡の存在なのではないかと思うのです。
 さて、そして遂に次回で最終回。今週のラスト、残るところ2名のみとなった人別帖をバックに対峙する二人の姿には、胸にくるものがありました。あのラストシーンを如何にして描くか、今から楽しみでなりません。


 今から楽しみといえば、せがわ先生の次回作。些か気が早いようではありますが、人気作家の作品の連載終了から次回作スタートまでがかなり短いのが講談社。仮に次回作も講談社だとすれば(まあまず間違いないと思いますが)、早ければ次号でその一端が明かされるのではないかと期待しています。

 そしてその次回作が、私が噂に聞いているあの作品だとしたら…祭りですな、私的に。これも今から楽しみでなりません。

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鬼神の剣

 武家娘・佳世の用心棒を引き受けることとなった兵太郎。彼女の父で一石藩の徒士組頭であった八田覚兵衛は、国家老の職の陰で大陰謀を進めていた黒田監物の所業を探っていたため、惨殺されていた。父の遺志を継ぎ、黒田一味の所業を将軍吉宗に直訴しようとする佳世を守り抜くため、兵太郎は無頼の剣士・人斬り銀四郎とコンビを組むことになるが、火付盗賊改まで抱き込んだ黒田一味の攻撃に次第に追いつめられていく。


 将軍吉宗の刎頸の友にして江戸でもめ事始末屋を営む相良兵太郎を主人公にしたシリーズ第4弾。今回も飛び出て抜きん出たところがあるわけではないですが、大衆娯楽エンターテイメントとして相変わらず安心して読めるクオリティの内容でした。
 城先生の前歴は「暴れん坊将軍」「長七郎江戸日記」等のTV時代劇の脚本家とのことで、どこでチャンバラを、どこでサスペンスを、どこで濡れ場を入れればよいか、エンターテイメントの呼吸をきちんとわかっている方なのだろうな、と思います。

 とはいえ、ダイハードin大奥(って書くとすごいな)だった前作に比べると、今作は少々おとなしい印象。また、状況設定的にもう一つのシリーズの最新刊「漆黒の剣風」(と被っている部分があるのが個人的には気になりました…が、そんなこと気にしている奴ぁネット上広しといえども私ぐらいのような気もしますが。

 しかし、このシリーズの吉宗様の暴れッぷりは、やはり「暴れん坊将軍」の衣鉢を継いでるんでしょうね。今作でも出番は少ないながらもかなり暴れてます。次の巻での暴れにも期待しています。


「鬼神の剣 大江戸始末屋稼業」(城駿一郎 学研M文庫)


この記事に関連した本など

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2004.06.01

気持ち悪くなりつつ、手を入れました

 親サイトの方の伝奇時代劇データベースに久々に手を入れました。
 「更新した」と言わないのは、体裁と文章を修正しただけで、新規データはほとんど追加していない(あ、「月華の剣士」と「羅刹の剣」のデータは追加)ためで、実はむしろデータ量的には減っているのですが、贅肉をそぎ落としたということで。

 しかし800弱の項目についていちいち内容とリンクを確認していくというのは――手前で書いたものながら――非常に重労働で、サイトの更新していて吐き気を覚えたのはこれが初めてであります。あ、内容は吐き気どころか結構面白いと思ってますが。

 次は「神変麝香猫」か「サムライスピリッツ零」のデータを追加したいところですが、やはりそれより先に年表の方に手をつけないといけないですなあ。

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