シグルイ 第2巻
最近読んだ本の感想をちゃんと書いていなかったのでまずは漫画からまとめて書くことにします。まず一冊目。
南條範夫の名作「駿河城御前試合」をコミカライズ…というにはあまりにもブッ飛んだ独自のアレンジでさらに先鋭化させて見せた「シグルイ」の待望の続刊。この巻では、雑誌掲載時からファンを騒然とさせた「ぬふう」から、伊良子の母との別れまで、どのエピソードを取ってみても、情念というよりは妄念と、血臭というよりは臓物臭の漂ってきそうな壮絶な描写が続きます。が、それが決して悪趣味でなく、むしろ人間の生の一つの極限の姿としてある種の荘厳さすら感じさせるのは、作者が自身の物語から逃げず、真っ正面から――つまり、何のてらいもなく、どんなシーンも本気で――描ききろうという姿勢が作品から伝わってくるからではないか、と感じさせられます
それにしても山口氏の巻末の言葉から読みとれるのは、タイトルとなっている「死狂い」という言葉が、単なる狂気などではなく、絶望的な状況に立ち向かうために常道を外れた意識の有り様であるということ。
このキ○ガイばかりの作品の中でも、最も狂気・妄念を濃厚に漂わせているのは主人公二人の師である岩本虎眼であることは間違いありませんが、上記から考えれば、「死狂い」の境地は、虎眼の在るそれとは明確に異なるはず。物語の進む先で、主人公二人が如何に虎眼の狂気と決別し、「死狂い」の境地に達するのか、恐れつつも楽しみに先を待ちたいと思います。
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