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2004.08.30

陰陽師鬼一法眼〈三〉 今かぐや篇

 陰謀により法眼が京に召喚され、いよいよ活発に暗躍する牛若丸の怨霊は、自らの子の霊を利用して子供たちを操り何事かを企んでいた。一方、ふとしたことから後白河院の御落胤との噂を立てられ、言い寄る男どものあしらいに悪戦苦闘する水鳴は、一計を案じるが。

 鎌倉時代初期を舞台とした陰陽師ものの第3弾。実に生き生きと活躍する妖怪サイドに比べ、正直言って人間側(法眼も含めて)のキャラクターがいまいちパッとしないこのシリーズ、どうつきあったものか第1巻から悩んできたのですが、この巻は特に終盤が非常にドラマチックで、楽しく読むことが出来ました。
 牛若丸の陰謀との対決、水鳴の御落胤騒動の後始末、そして事件の陰で暗躍していた妖尼の意外な正体と、クライマックスは3段重ね。そしてそのそれぞれに哀しい「母」の想いが絡み合い、物語を盛り上げつつも何とも切ない幕切れとなって印象に残りました。
 物語の方も、頼朝がついにアレして、人間側の方の動きもこれから活発になるでしょうし、やはりなんだかんだ言って先が気になるシリーズではあります。

 ただ、化け猿・見融の冒頭のはしゃぎぶりは、悪趣味な内容もあって正直全く乗れませんでした。作者が特定のキャラに萌えるのは、まあ悪いとは言えませんが、乗れない読者にとっては苦痛以外の何ものでもないんですが…


「陰陽師鬼一法眼〈三〉 今かぐや篇」(藤木稟 光文社文庫)  amazon bk1


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