「源平天照絵巻 痣丸」第2巻
平成の「源平討魔伝」とでも言うべきコミックの続巻。この巻では一巻丸々使って、黄泉返った朝日将軍・木曾義仲――つまり巴のかつての恋人との死闘が描かれています。
この作品の魅力の一つと言うべき平景清、服部家長、巴の三人のレギュラーの個性もいよいよ際だってきており、アクション描写がやや淡泊なのを補って余りある楽しさとなっています。
特に、用済みとあらば巴や景清ですら平然と殺そうとする家長のキャラクターは強烈で、「自分以外は全て敵」とでも言うべき景清の死闘行の道連れとしてはまことに似合った人物と言えるでしょうか(そしてその家長に、平然として反撃してこれまた殺しにかかる景清もステキ)。
仇役となる義仲も、不死の魔人と化しながらもどこか憎めない人間臭さを持ったキャラクターとなっており、それだけに巴を挟んでの景清との死闘と、その果ての皮肉な結末が印象的でした。
個人的にはミョ~に軽い巴との再開シーンがこの漫画らしくて――つまりこの作品世界での二人らしくて――お気に入りのシーンであります。
ただ、この二人が命がけで奪い合うほど巴が魅力的に描かれているかというと、ううむ、それはちょっと微妙な気がして――自分が景清の兄を討っていた、という過去に気づいて絶望するくだりはなかなかうまいと思いますが――「トモちゃん」にはもっと頑張って欲しいな、という気持ちは正直あります。
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