« 2004年11月 | トップページ | 2005年1月 »

2004.12.20

SHIROH

 昨日、劇団☆新感線の新作「SHIROH」を帝国劇場で見てきました。
 今作は、島原の乱を舞台としたロック・ミュージカル。新感線初の(っていうのがかなり意外に感じられますが)ミュージカル、しかも場所は帝劇というわけで果たして…と思いつつ見に行きましたが、やはり水準以上のデキで、「ジーザス・クライスト・スーパースター」を彷彿とさせる「神と人間」「信仰と人間」を描いた好篇となっておりました。

 内容的には、かの天草四郎を二人のSHIROH、すなわち、かつて神の子と呼ばれながらもその力を失った青年・益田四郎と、神の歌声を持つがゆえに乱の旗印として立つこととなる少年・シローとして描いている点が伝奇的にも面白く、そしてそれが些末なことに思えるほど、物語を単なる夢や希望を描いたものでなく、深い陰影に富んだものにしている点が、やはり強く印象に残りました。
 益田四郎を演じているのは、上川隆也。正直、歌については微妙…でしたが、やはり決める時の台詞の格好良さは無類で、また剣戟シーンの腰の据わりようも及第点(さすがに橋本じゅんの方が動き良かったですが)。何よりも、ある事件が元で神の力を失い、罪の意識と無力感に苛まれながらもリーダーとして立つことを求められる青年の揺れ動く心を、しっかりと体現して見せていたのは流石の一言。
 そしてもう一人のSHIROH、シローを演じたのは中川晃教。私は恥ずかしながらこの人の歌を、歌声を聴いたのは初めてなのですが、正直、参りました。月並みな言い方は――そしてこの作品の内容を考えれば――あまりしたくないのですが、まさしく天使の歌声。4時間近い長丁場でも枯れることないその歌声はむしろ驚異と言えるほどで、夢やら希望やらといった甘ったるい代物を謳った歌も全く鼻につくことなく――そしてそれだけにそれが終盤ズタズタにされていく様がより一層鋭く胸に響きました。
 この二人のコントラストによって、ともすれば説教臭く、あるいは宗教臭く(って題材的に当たり前に思えますがそうなっちゃいけないのは観ればわかる)なりかねない物語に深みを与えていたのは、紛れもない事実。そして、微妙に異なる想いを抱えつつも、様々な人々がこの二人を軸に集まり、そして散っていく様もまたドラマチックでありました。
 特に、シローを利用するために近づきつつも、彼に、彼の夢に惹かれ、主人である松平伊豆守を裏切るくノ一・お蜜の姿が非常に印象的で、設定的にはよくあるパターンながら、シローの無垢な魂に触れて、最後は一揆勢からも、幕府軍からも追われながらもシローのために命を賭ける姿は、演じる秋山菜津子さんの力も相まって、そんな意地悪な目を改めさせるに十分な力を持っていたと言えましょう。もう周囲の女の子たち泣く泣く。
 その他の出演者としては、何だか存在感的に往年の丹波哲郎めいた困ったオーラを発する江守徹や、後半出番は少ないながらも、一声発するだけで「ああやっぱり素敵な声」と思える杏子さん、そしてビジュアル的になんというか無闇なチビカワイイ(そして演技・歌声ともに地力を感じる)高橋由美子が印象に残りました。

 …と、ここまで書くと気づく人は気づくと思いますが、少々残念なのは新感線(ほぼ)プロパー組が、ほとんど完全に脇に回っていたこと。もちろん、歌も演技もアクションも安心して観られるクオリティの方々が脇を固めるのは大事なことですし、ある意味盤石の体制なのですが、やはり聊か気になります。特に個人的に好きな橋本じゅんは、柳生十兵衛というおいしい役を演じながら、シナリオ段階より出番減ってるし歌もないし…

 といった点や、やはり演出(特に終盤)に結構な青臭さを感じるもの事実であり、また、やっぱり題材的にこうなるしかないのね的ストーリーも(新感線≒痛快活劇というイメージを持っているところからすると)重たいのですが、しかしそれらを補って余りある意欲作であり、ミュージカルらしいミュージカルを観た、という気分になりました。
 悲しみや残酷さの中にも、ある種の希望と、そして「まつろわぬ者」の叫びを織り込んでいるあたり、描かれる世界・対象はこれまでと違え、やはりいのうえひでのり&中島かずきの作品だな、と感じ入りました。

 
 …しかしやっぱり高橋由美子のルックスは中川晃教の歌声並みに衝撃的ですた。あれはある意味反則。
 

この記事に関連した本など

| | コメント (0) | トラックバック (3)

2004.12.14

闘・真田神妖伝

 さて最近の収穫その3にして真打ちは朝松健の真田三部作完結編「闘・真田神妖伝」
 前2作はいずれもとにかくひたすら面白い、いや面白すぎるためにかえって感想が書きにくくて困ってしまう作品だったのですが、この完結編も同様に、いやそれ以上の書評書き泣かせの快作。

決戦!結戦!!血戦!!! 繰り広げられる史上最大の激闘! 今こそ戦え!!真田十勇士!
(すみませんパクりました)という印象で、通常のノベルスの2~3冊分はあろうかという大部でありながら、全くだれることなく最後の最後まで読み進めることができました。
 作中幾度にもわたり描かれる合戦・戦闘描写も、通常の(?)兵と兵のぶつかり合いから、忍法と妖術、武術と妖術の対決あり、講談から抜け出してきたような(良い意味で)稚気溢れる頭脳プレイあり、果てはドラゴンボールばりの空中戦あり(…という感想を抱いたのが私だけじゃなくてよかった)と百花繚乱。
 これまで活き活きと活躍してきた連中との別れは、それは悲しいのですが、しかしそれでも一抹の希望を残す結末となっており、一つの時代の終わりを描いた物語でありながら、読後感も悪くありません。
 そして、引っ張りに引っ張った末の秘密兵器の正体に驚く一方で、その背後にある、それを成立せしめた日本人の精神風土への鋭い眼差しにも感心させられました。

 比較的史実と史実の間に隙がある(ように見える)前2作とは違い、今回は大坂の陣が主な舞台とあって、こなさなければいけない事件(史実)も多く、なかなかに自由奔放な物語を展開するのは難しいのではないかと思いましたが、それは全くの杞憂。
 これまで様々な作品で描かれていた方広寺の鍾銘事件や大坂冬の陣後の掘埋め立てなどの事件に、この作品ならではの全く異なる解釈を与えていて、実に面白い。
 定まった現実、なかんずく既に動かすことのできない史実に対し、裏側から光を当ててみることで、普段目にしてきたそれとは全く異なるヴィジョンを描いてみせるのが伝奇、時代伝奇であるならば、この作品はまさに時代伝奇の醍醐味を体現したものと言えるでしょう。

 しかし考えてみれば、この作品自体が、これまでお馴染みだった人物や事件の数々について、その人物のイメージや事件の大元はそのまま押さえつつも、全く新しい、この作者ならではの味付けをしてみせているというべきもの。
 古くて新しい、伝統的で斬新、そんな相反する二つの要素をきっちりと押さえた伝奇時代小説のマスターピースとして、一人でも多くの人の手に取ってもらいたい逸品であります。

 も一つ特筆すべきは、笹川吉晴氏による解説…というより朝松健論。以前から笹川氏は、「頭にあったのに言葉が見つからなくて言えなかったことをスッパリと表現してみせる」方だと思っていましたが、ここでも朝松ホラーが潜在的にあるいは顕在的に内包する複層的な構造を明快に指摘していて、感心することしきりでした。
 ただし、あんまりホラーの立場から論じすぎるのは、この作品の読者層を考えた時どうなのかな、と思ったことも申し添えておきます。

「闘・真田神妖伝」(朝松健 ノン・ノベル) Amazon bk1


この記事と似たblog記事

この記事に関連した本など

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ギター侍、「風雲 幕末伝」の宣伝部長に

http://eg.nttpub.co.jp/news/20041213_12.html

 なんだか時代劇ゲームの老舗になりつつある元気の新作「風雲 幕末伝」が、金をかけているのかいないのか、微妙なラインで話題作りを。
 こんなコーナーもできていました。

 ギター侍であれば当然お馴染みのネタがあるわけですが、それが↓

「元気! 元気! ゲーム会社、元気。今回、満を持してゲームを出しました。風、雲、幕末伝! みなさ~ん、よろしくねって言うじゃな~い。…でもこの会社、拙者を起用するなんて、頭がどうかしてますから~! 残念!! 元気というより病気斬り~! …拙者、これでも思いっきり目を開いてますから…切腹!」

いや、そら「ブシドーブレード」のライトウェイトと組んでゲーム作ってる時点で、元気がナニでアレなことはよくわかってましたがな(というより元気の社長がライトウェイトの会長なんですが。)。

 しかし冗談抜きで元気のゲームは好きだしその方向性は非常に楽しみなので、このゲームもちょっと気になります。しかし対戦モードで70人選択ってアナタ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「妖怪大戦争」の妖怪デザインが井上淳哉先生と今頃気づいた人

http://yokai.duckweed.jp/yokai-allstars.html

 非常に面白そうではあるんだけど舞台が現代だし敵が西洋妖怪じゃないし角川っつってもハルキじゃないしと気になる点も色々あった(いや、公開したらもちろん観に行く気満々ですが)新「妖怪大戦争」ですが、妖怪デザインの一人が井上淳哉先生と今頃知り、一人で喜んでいます。

 井上淳哉先生と言えば室町妖怪伝奇シューティング「ぐわんげ」の生みの親であり、青春妖怪伝奇アクションの佳品「おとぎ奉り」の作者。失礼ながらあまり有名な方ではないですが、画力と妖怪愛については、相当なものがある方であります。
 ちょっと驚きつつも、とても嬉しい人選です。
 上記のアドレス(注:かなり重いです)に掲載されているデザイン画も、お馴染みの定番妖怪たちがキモ怖可愛く描かれていて、これがどのように立体化されるのか、楽しみです。

 …と、ここまで書いて同姓同名の別人だったらどうしようと少しだけ不安になったり。いや、イラストのサイズが小さいのでいまいち不安ですが、女性妖怪や、何よりも狐の描き方がそうだと思うのですが、ネット上であまりに話題になってないので心配になってきますた。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2004.12.13

狐の行列

http://www.netcity.kita.tokyo.jp/kitsune/

 友達が探してきてくれた素敵なイベント。

 ソレ系のナニが好きな人だったら一発でわかるであろう歌川広重の「王子装束ゑの木・大晦日の狐火」。あの絵の元となっている伝説に則って、大晦日の晩に有志が狐の格好をして件の榎があったという装束稲荷に集まり、王子の街を練り歩きながら王子稲荷に向かうというイベントだそうです。

 公式サイトはなかなか気合いが入っていて、1999年からの写真が掲載されていますが、非常に妖しくていい感じではないですか。
 つうか行きてえええええっ、超行きてえ! と頭の悪いことを口走りたくなるほど行きたくなってきました。

 このイベント、地元の有志の方々の手で行われているということですが(まあお祭りってのは大抵そうですが)、伝統・伝承を受け継ぎつつ、みんなで参加して楽しめるイベントを作っていくというのは、とても素敵なことではないでしょうか。
 私は地元の人間でも何でもないですが(というか王子に行ったことないかも…)、今年の大晦日は万難を排して行ってきたく思います。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

「新選組!」 最終回「愛しき友よ」

 ついに最終回の「新選組!」。いや、最後の最後まで色々と「やられた!」感のある最終回でした。以下、とりとめもなく箇条書きで。

・お預けとなった家の子供に、あの「口の中に拳」をやってあげる勇(´Д⊂
・勇の助命嘆願を断った勝に対する土方の目つきが最高
・なんかもう局長に対する思い入れありすぎな永倉さん。そして出番はほとんどこれだけ(´Д⊂ あと、いつの間にか殺された祐天仙之助の立場ねえ
・栗塚旭に新選組を讃える台詞を言わせるのは反則だって…土方も泣いてましたがこちらもここで。・゚・(ノД`)
・虎徹と聞いてあっさり受け取ったかに見えてしまった斎藤。いいのか、それで。しかし容保候、格好良い指令出したな
・やつらを絶対に許さんとか、薩長の天下も長くないとか、多摩から新選組の魂を継ぐものが出るとか、一瞬史実でもそうだったっけと思ってしまったのは、こっちの希望もあるからでしょうね
・やっぱり桂許せん。あと菊川怜も。
・刑場へ引かれて行く勇にかけられる、民衆の暖かい言葉。ここで罵声だったら本当にどうしようかと思いましたよ
・そして今回最大のサプライズ(ってもあらすじで知ってしまったんですが…)、捨助特攻。 お前、天国でも勇の前で「呼ばれもしないのに…」とかやるんだろうな。・゚・(ノД`) でも風車は勘弁。
・いや、捨助みたいなキャラは普通だったら生き延びて主人公たちのことを語り継ぐという役目かと思ってましたが、よく考えたら有名どころでそれ三人ばかりいたしなあ
・も一つ驚いたお孝の死。今回一番悲惨な役回りだったのは総司だなあ…。前回のアリンコの話はやっぱり伏線でした
・これまた特攻をしかけようとした左之助の前に現れた尾形。確かに「馴染めない」キャラだと思ってたら、最後の最後で侠気爆発。良い役回りでした
・特攻を止めた左之助が勇にかけた言葉と、左之助を見た勇の表情がまた。・゚・(ノД`) 左之助のその後が史実通り(上野で戦死)とも巷説通り(大陸で馬賊)ともとれる幕引きがうまい。いや、あんたは不滅でいて欲しいです
・何だかラスト数回でやたら格好良いシーンが多かった斎藤一。近藤の首を奪還するため途中の官軍を蹴散らして一路京へ。近藤の首がどうなったかは史実でも不明ですが、斎藤が奪還して会津で弔われたと思うと伝奇者としては実に楽しいですね
・一方最後まで戦い続ける土方たち。突撃しかけてストップモーションって、知らない人が見たら「ドラゴン怒りの鉄拳」ENDだと思いますな。これはこれでイイ処理だと思います
・そしてついに勇斬首。いきなり「完」となってアレ? と思ったら、テーマ曲フルコーラスをバックにこれまでのフラッシュバックが。これだけでもかなりキてるのに、最後の最後に、江戸を発って京に向かう時の総司の台詞が入るという鬼脚本。いやこれ反則だって! もうボロ泣き

 と、ダラダラ書きましたが、その後ちょっとネットを見ていてようやく気付きました。
 テーマ曲で「この身は露と消えても」と言っていたのは誰か、「いとしき友は何処に」と案じているのは、「あの旗に託した夢を」「忘れはせぬ」と謳っていたのは誰か――
 なるほど、三谷幸喜氏が最終回を見ればテーマ曲の意味がわかると言っていたのはこのことだったのか、と深く感じ入ると同時に、またグッときた次第。

 前にも書きましたが、この「新選組!」大の時代劇ファンのくせに大の大河ドラマ嫌いというひねくれた私でも非常に楽しく見れるドラマでした。
 色々と言う人はいますし色々と言うことはできるでしょうが、「青春群像としての新選組」を実に見事に描いた作品だったと思います。
 総集編が楽しみです。今序盤の展開を見れば、また色々と感じることもあるでしょうから…

| | コメント (1) | トラックバック (1)

2004.12.08

隻眼の狼王 時の剣

 死を目前とした宮本武蔵のもとを訪れた謎の剣士・無斬祭之介。武蔵は祭之介に対し、再び戦乱の世を生み出そうという柳生十兵衛との対決を依頼する。奇怪な魔物たちを操る怪老人と手を結んだ柳生十兵衛に対し、祭之介は柳生兵庫介とともに立ち向かう。

 最近の収穫その2。武蔵をも破ったという不死身の剣士・無斬祭之介を主人公にした痛快剣豪アクションであります。

 作者の赤城毅氏といえば、レトロなムードの探偵小説作家、というイメージが強かったので、こうした作品が登場したのは、最初聊か意外に感じたのですが、後書きを一読して納得。本当に、こうした世界が好きな方なのだな、と嬉しくなってしまいました。

 そんな作者によるこの作品は、作者の愛が感じられる佳品というべきものとなっており、展開は基本的に一本道ながら、その分一つ一つのシーンが(物語のスピーディーな流れを活かしつつ)しっかりと書き込まれており、最後まで退屈することなく一気に読むことができました。特にラストの対決のテンションの高さは、なかなかのものだったと思います。

 登場人物もそれぞれにキャラクターが立っており、特に今作の仇役たる柳生十兵衛は、人間離れした冷酷さを見せる魔剣士でありながら、事あるごとに「マクベス」の一節を口ずさむという独特の美学を持った人物として描かれており、単なる悪に終わらない存在感を与えられていました。
 そしてそれに対する祭之介は、「快男児」という言葉がピッタリくる豪放かつ明朗な人物として描かれており、後半で明かされるその過去の凄絶さと相まって、柳生十兵衛という大物に負けない主人公ぶりと言えましょう。

 文体的には、時代ものを意識しすぎているようなところが少々鼻につかないでもないですが、そんなことが些細なことに感じられる面白さの作品でありました。
 祭之介の更なる冒険行に期待します。(本人たちには申し訳ないですが)「時間」はまだまだたっぷりあるのですから…


「時の剣 隻眼の狼王」(赤城毅 光文社カッパ・ノベルス) Amazon bk1


この記事に関連した本など

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「源平天照絵巻 痣丸」第2巻

 平成の「源平討魔伝」とでも言うべきコミックの続巻。この巻では一巻丸々使って、黄泉返った朝日将軍・木曾義仲――つまり巴のかつての恋人との死闘が描かれています。

 この作品の魅力の一つと言うべき平景清、服部家長、巴の三人のレギュラーの個性もいよいよ際だってきており、アクション描写がやや淡泊なのを補って余りある楽しさとなっています。
 特に、用済みとあらば巴や景清ですら平然と殺そうとする家長のキャラクターは強烈で、「自分以外は全て敵」とでも言うべき景清の死闘行の道連れとしてはまことに似合った人物と言えるでしょうか(そしてその家長に、平然として反撃してこれまた殺しにかかる景清もステキ)。

 仇役となる義仲も、不死の魔人と化しながらもどこか憎めない人間臭さを持ったキャラクターとなっており、それだけに巴を挟んでの景清との死闘と、その果ての皮肉な結末が印象的でした。
 個人的にはミョ~に軽い巴との再開シーンがこの漫画らしくて――つまりこの作品世界での二人らしくて――お気に入りのシーンであります。

 ただ、この二人が命がけで奪い合うほど巴が魅力的に描かれているかというと、ううむ、それはちょっと微妙な気がして――自分が景清の兄を討っていた、という過去に気づいて絶望するくだりはなかなかうまいと思いますが――「トモちゃん」にはもっと頑張って欲しいな、という気持ちは正直あります。

「源平天照絵巻 痣丸」第2巻(玉置一平 MFコミックス) Amazon bk1



 
この記事と似たblog記事

この記事に関連した本など

| | コメント (0) | トラックバック (0)

す、すみません!

 本を読むだけ読んで、感想を書こう書こうと思っているのに様々な理由でまだ書けないでいる本が山のように。自らを戒め、また弾みをつける意味で書名等を挙げておきます。

  • 「岩見重太郎」(講談名作文庫)
  • 「大江戸殺法陣 紅き炎」(城駿一郎 ベスト時代文庫)
  • 「鬼平殺し」(えとう乱星 コスミック文庫)
  • 「陰流闇仕置 悪淫狩り」(牧秀彦 学研M文庫)
  • 「霧隠才蔵」(立川文庫)
  • 「剣聖一心斎」(高橋三千綱 文春文庫)
  • 「暗闇一心斎」(高橋三千綱 文春文庫)
  • 「源平天照絵巻 痣丸」第2巻(玉置一平 MFコミックス)
  • 「後藤又兵衛」(講談名作文庫)
  • 「SUN-山田浅右衛門-」全4巻(津寺里可子 ボニータ・コミックス)
  • 「神州纐纈城」第3巻(石川賢&国枝史郎 ピースKC)
  • 「新撰組異聞 暴流愚」(芦田豊雄 ぺんぎん書房SEED! COMICS)
  • 「天雷の剣風」(城駿一郎 廣済堂文庫)
  • 「闘・真田神妖伝」(朝松健 ノン・ノベル)
  • 「時の剣 隻眼の狼王」(赤城毅 カッパ・ノベルス)
  • 「独眼龍柔肌剣」(えとう乱星 学研M文庫)
  • 「姫巫女烏丸龍子 池田屋の血闘」(加野厚志 双葉文庫)
  • 「PEACE MAKER」全6巻(黒乃奈々絵 ガンガンコミックス)
  • 「PEACE MAKER鐵」第1~4巻(黒乃奈々絵 ブレイドコミックス)
  • 「風雅剣」(上田秀人 徳間文庫)
  • 「艶書屋又十郎 降魔剣膝丸」(坂岡真 トクマ・ノベルズ)
  • 「魔風海峡」全2巻(荒山徹 祥伝社文庫)
  • 「黎明に叛くもの」全4巻(宇月原晴明 中央公論新社C・Novels

 …年内に感想全て書けるかしら(大汗)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.12.06

イケメン義経記(ちょっと違う)

DVD「義経と弁慶」製作決定
http://www.eigamura30.com/event/yoshitsune_dvd.html

 今年もやるのか! な感じの局所向け時代劇企画が登場。ホージーが弁慶というのは本当にどうかと思いますが、キャスティング的に伊勢三郎が何をやらかすのか、もう楽しみで楽しみで不安で不安でたまりません。
 しかしうちのご先祖はセンちゃんか…良し<いいのか

 ちなみにNHKのキャスティングは
http://www.nhk.or.jp/drama/html_news_yoshitsune.html

 …
 …あまり変わらないか。
 少なくとも、静御前は東映の方が圧勝。心からそう思います。

 

この記事と似たblog記事

この記事に関連した本など

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.12.05

「新選組!」 第48回「流山」

 面白いんだけど最近の黒展開(いやほとんど史実なんですが)に、「すごく見たいんだけど心底見たくない」というアンビヴァレンツな心情をかき立てられる終盤の「新選組!」。
 多摩編があれだけ脳天気に、聊か分量も多いんじゃないの? と言わんばかりの描き方だったのは、今のこの時のためだったのねと、考えてみれば当たり前のことをイヤというほど確認させられている次第。

 そんな「新選組!」ラスト1話前の今回のタイトルは、もう見るだけで胃が痛くなりそうな「流山」。ついに、ああついに…と近藤勇の末路を思うと、実に重たい気分になりますし、正直客観的にはあんまり男らしくないなあとも感じられる、捕らえられて大久保大和と言い張ったという史実をどう料理するのかな、と思いつつ見ていたのですが、これがまた実にうまくアレンジされていて素直に感動。
 ラストの、自ら近藤勇であることを吐露するシーンは、不思議な透明感(これは以前から時々感じては居ましたが)すら漂っておりました。
 あんまり史実をアレンジして実在の人物を格好良く描く(大河ドラマの)やり方は好きではないですが、いい、今回は許す! 大体、子母澤寛先生だって結構話作っているらしいし。

 と、そんなドラマが盛り上がりまくる中で初登場し、場をさらっていったのは有馬藤太役の古田新太。言うまでもなく劇団☆新感線の看板役者のおっさんです。
 史実を知らないで(いや知っていても)予告or初登場シーンを見たら、「こいつが近藤を捕まえて拷問しまくるに違いない!」(それをやった谷干城を演じるのは同じ新感線の粟根まことらしいですが…)と思ってしまうに違いない凶悪なツラ構えにも関わらず、実際のキャラクターは実に侠気に富んだ好人物。基本的に無表情な役柄ですが、ちょっとした目元口元の動きでその心情をしっかりと見せてくれるのはさすがとしか言いようがありません。
 キャスティングと演技力の勝利、としか言いようがありません。

 しかし島田順司に気がつかなくてorz しかもよりによって千駄ヶ谷の植木屋の役とは…これも鬼キャスティング。

 そして次回予告見ただけでもう…。捨助が、あの空気嫁な捨助が…


 

この記事と似たblog記事

この記事に関連した本など

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2004.12.01

殺生石

 ここのところ、伝奇時代小説の大作・快作が相次いで、読むのも感想を書くのもたまってしまいました。

 最近の収穫その1は先だっても紹介した富樫倫太郎の「殺生石」
 自らの王国を再興せんと幕末の日本に現れた不死人サン・ジェルマン(実はソロモン王)。
 九尾の狐を封印した殺生石を独り守り続けるシサム・カムイこと不死人安倍泰成。
 和人の暴虐により家族と仲間を失いながらも生きる希望を失わないアイヌの若きカップル。
 旧幕府軍の軍艦に憧れ、故郷を飛び出して榎本艦隊の一員として北に向かう少年。
 そして、かつては鬼の副長と恐れられ、今は旧幕府軍の闘将として活躍する土方歳三。

 主な登場人物を列挙するだけで、ワクワクしてくる作品ですが、内容ももちろん充実。よくもまあ、古今東西、これだけバラバラのネタを盛り込み詰め込んで、物語を成立できるものだと、ただただ感心してしまいました。
 そして、それぞれの生き様を背負った個性的な登場人物たちの進む道がやがて一本の線としてまとまり、最後の戦いへと収束していく様は、まさに伝奇小説の醍醐味が横溢していると言えるでしょう。

 個人的には、術描写にもう少しケレン味が欲しいかなとか、西洋オカルト(って言うんでしょうか)関連の部分については今ひとつ練り込み不足かなとか思わないでもなかったのですが、そこは個人の好きずきということにしておきましょう。

「殺生石」(富樫倫太郎 光文社カッパ・ノベルス) Amazon bk1


 

この記事に関連した本など

| | コメント (0) | トラックバック (0)

アニメ 「サムライガン」第09話「水際を走る」

 アニメ版「サムライガン」も(そんな気配は全くないですが)もう終盤。今回は(この時点では)珍しい歴史上の人物登場編「水際を走る」。
 ストーリー自体は特にどうということもないのですが、今回はかなりアニメ独自の脚色がうまくいっていたように思えます。原作では市松と「謎の男」の会話は――当時の絵柄のせいか――どこかのんびりした雰囲気もあったのですが、アニメではひたすらドライな空気で、これまたドライな会話内容と相まってなかなかよい感じ。また、先読みのせいと「謎の男」の会話など、結構肉付けされていました。

 ラストの正体ばらしは、蛇足にも思えますが、アニメは漫画ほど注意して見なくても流して見れてしまう面があるので、これはこれで良いのでしょう。
 絵柄的にも、なんか普段と違うんだけど(笑)悪くない雰囲気でした。
 このクオリティで最後までいってくれれば、まあなんとかそれなりに着地は決められそうですな。

 しかしどこかで聞いたような微妙な声だと思ったら、佐々木望完璧に声変わったなあ…

 

この記事に関連した本など

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2004年11月 | トップページ | 2005年1月 »