「シグルイ」第3巻
発売が一ヶ月延期になっていた第3巻がついに発売。この巻ではほとんど一冊丸々使って、虎眼の、虎眼流の清玄への仕置きが描かれるという異常展開(いつも)。
無惨、残酷、悽愴、異常、狂気…といった単語が読者の誰もの脳裏に浮かぶであろうこの作品ですが、しかしそれが単なる悪趣味な残酷絵巻で終わっていないのは、確かな描写力に裏付けられた人物描写と、剣戟描写が備わっているからなのでしょう。
…それはまさに、原作者である南條範夫先生の作品にも言えること。巻末のチャンピオンRED編集部の言にあるように、形は違っても、まさに同じ色がそこにあります。
そして冷静になって読み返してみれば、この作品の中で描かれる幾多の狂気・惨劇が、いわゆる「武士道」というものの裏返し――いわばネガティブサイドの結晶であり、二つが同じ淵源から生まれたものであることに気付きます。< 果たしてこの作品がその狂気をより深めていくのか、それとも人間性というものがわずかな反撃を見せるのか――そしてその答えは、この巻のラストの藤木の表情にあるように思えます。
これからが真章というこの作品の行く先、楽しみに見届けたいと思います。
しかし人様の日記を拝見するまで発売されていたと知らなかったとは、伝奇時代劇ファンサイト管理人を標榜する者としてあまりの不覚。もし虎眼流の門人であったら、どんな目に遭わされていたことか…と戦慄を禁じ得ません。「じゅうう」
「シグルイ」第3巻(山口貴由&南條範夫 チャンピオンREDコミックス) Amazon bk1
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