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2005.01.31

2月の伝奇時代劇関連アイテム発売スケジュール

 2月の伝奇時代劇関連アイテム発売スケジュールをアップしました。
 いや、2月はスゴイですよ、アイテムの数が。ほとんど毎日、何かしら発売されることになります。

 小説の方では、売れてね! 買ってね!(私情入りまくり)な「伝奇城」をはじめとして、新刊復刊合わせて様々な作品が登場。個人的には、なんと学陽書房から復刊の村上元三先生の「真田十勇士」、城駿一郎先生の「大江戸殺法陣」シリーズ第3弾、以前新潮文庫から発売されていたものの復刊である「彷徨える帝」などが気になるところ。
 ちなみにえとう乱星先生は「伝奇城」を含めて3冊がリリース。いずれも新作で、これも楽しみ。

 漫画の方では、このまま未完では!? と密かに心配していた石川賢版「神州纐纈城」が遂に完結。また、雑誌もろとも消滅したかと心配していた(大塚英志の雑誌に引き取られてましたが)「甲賀忍法帖・改」もようやく第1巻が発売になります。

 DVD、CDもかなりの数が発売で、嬉しいんですが財布の中身がどうなってしまうんでしょう、な一月となりそうです。

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2005.01.30

かぶき奉行

 かぶき者ながら日々を空しく過ごす多聞は、ふとしたことがきっかけで、将軍家の狩りを司る殺生奉行の織部家の婿となる。殺生奉行に就任し、持ち前の度胸と剣の腕で次々とトラブル・事件を解決していく多聞だが、うち続く事件の背後には、倒幕を目論む由比正雪の影があった…

 えとう先生の殺生方控三部作の第一作目が、実に十数年ぶりに復活。こちらも久方ぶりに読みましたが、今読んでも全く古びたところを感じない快作でありました。

 物語の構成は、連作短編というべきものですが、背骨として由比正雪による陰謀が存在しているため、物語の本筋がくっきりと通って感じられる一方で、多聞が次々と巻き込まれる事件にバラエティもあって、長編としての性格と短編集としての性格をうまく合わせ持っているものだと感心します。
 正雪の背後に居るのがあの有名人であったり、寛永御前試合が開催されたりと、伝奇ものとしても剣豪ものとしても充実(時代背景的にも登場人物的にも、現在継続中の用心棒・新免小次郎シリーズと重なる点が多いので、そちらのファンもどうぞ)。

 ぜひ、続く「ほうけ奉行」「あばれ奉行」も文庫化していただきたいものです。

 
「かぶき奉行」(えとう乱星 ベスト時代文庫) Amazon bk1

 

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「大江戸バーリトゥード」第1巻

 時は明和、平賀源内と杉田玄白は、素手で凄まじい強さを見せる謎の青年・堀田玄武と出会う。浅野家に伝わる御式内(門外不出の秘伝)の遣い手である玄武の姿に閃いた源内は、玄武と組んで真剣勝負の賭け試合をプロデュースする。松江藩主松平治郷の送り込む強敵たちに勝利を収める玄武だが、源内は更にとてつもない舞台を用意しようとしていた…!

 「スーパージャンプ」誌で連載中の格闘時代劇アクション。この作品もタイトルが全てを物語っていますが、まさかタイトルだけでなく劇中でも「大江戸バレトド相撲」などというステキワードが飛び出してくるとは思いませんでした。これはもう、言ったもん勝ちとしか言いようがありません。

 謎の武術を操る格闘家が、様々な異種格闘技戦を繰り広げるというのは、もう格闘技漫画の定番中の定番、時代コミックの中でも、「修羅の刻」というメジャーシリーズ(こちらはかなり歴史ものに近づいてはいますが)があるわけで、内容の目新しさという点ではそれほどでもないですが、主人公が赤穂浪士の浅野家の出身であり、さらに赤穂事件が彼の遣う御式内の奥伝を巡る争いであった(らしい)など、なかなか面白いひねりも加わっていて(上記のステキワードなどもあって)、それなりに楽しめます。
 ちなみに原作者の福内鬼外とは、平賀源内が実際に使っていたペンネームで、なかなか茶目っ気のあるチョイスですね。

 この第1巻はあくまでも序章。第2巻からは格闘技漫画の華であるトーナメントが開催される見込みで、さてどうなることでしょうか。

「大江戸バーリトゥード」第1巻(山根和俊&福内鬼外) Amazon bk1

 

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「ジェノサイド」第1巻

 大坂夏の陣で徳川軍に包囲された大坂城に忽然と現れた美青年。犬塚信乃を名乗るその青年は、秀頼の妻にして家康の孫・千姫を奪って姿を消した。やむを得ない事情から千姫奪還に立ち上がる猿飛佐助ら真田十勇士だが、彼らの住む隠れ里にも、里見八犬士の魔の手が迫っていた…

 劇団☆新感線の座付き作家である中島かずき原作の伝奇時代コミック。サブタイトルに「真田十勇士vs里見八犬士」とあるのが全てを物語っております。考えても普通やらないようなベタなアイディアを、真っ向からエンターテイメントとして描くことで見事に作品として成立させて見せたのは、さすがの一言(「まつろわぬ民」がここでも出てくるのがまた何とも)。
 家康と真田十勇士をつなぐある人物や、真田十勇士が敵の孫である千姫のために戦わざるを得なくなる事情など、コロンブスの卵的な設定のひねり方も巧みで、先が楽しみな作品となっています。

 ただ唯一残念、というか不安なのは、画の方。美少女や美青年の描写はいいのですが、ある意味時代劇の必需品(?)とも言うべき中年や老人の描写が今ひとつに感じられます。もちろん、作品の他の要素に比べて、という程度ではありますが…

 ちなみに掲載誌(漫画アクション)の方では、十勇士が揃わないうちから早くも八犬士の本拠地に突入という展開で、もしかしてまとめに入っているのかと一瞬心配になりましたが、中盤で主人公が敵に捕らわれるのは新感線ではそんなに珍しくないので、まあそういうことになるのかな、と。

「ジェノサイド」第1巻(小林拓己&中島かずき) Amazon bk1

 

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柳生秘帖 風の抄

 慶安2年、柳生の庄から、何者かの手により柳生秘帖が奪われた。天下の在り方を左右する柳生秘帖を奪還するために旅に出た柳生十兵衛は、敵が王政復古を目論む後水尾上皇配下の八瀬童子であることを知る。京を脱出し、吉野に籠もった上皇一派を追い、十兵衛は死闘を繰り広げるが。

 非常に珍しい、谷口ジロー先生による時代伝奇アクション。くっきりとした顔立ちの、どことなくバタ臭い谷口キャラによる時代劇は、最初は少し違和感がありましたが、描写、特にアクション描写の確かさはさすがといったところ。特に、最後の決闘で描かれる十兵衛による活人剣の極意は、アイディアの面白さも相まって、唸らされました。

 ストーリー的には、正直なところ新味はさほどないのですが、二編ある柳生秘帖の片方の正体と、それがこの国にもたらした結末は全く予想外で、最後の一ひねりに見事にしてやられたな、という気分になりました。

「柳生秘帖 風の抄」(谷口ジロー&古山寛 秋田文庫) Amazon bk1

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サムライガン三号丸、CDで推参

http://avexmode.jp/animation/samurai/syo.html

 何だかよくわからないうちによくわからないところで終わってしまったアニメ版サムライガン。
 結局市松編のみしか放送されなかったわけで、三号丸牧史郎衛門の出番が…と思っていたら、サントラCDに収録のドラマに登場するとのこと。

キャストは、
牧史郎衛門:平田広明
花田正蔵:山口勝平
茜:清水香里
だそうです。

 個人的には牧のキャラクターは初期養成型の中では一番好きだったので、こういった形でも登場してくれるのは嬉しいことです。
 avexと言えば、悪名高いCCCDで有名ですが、今回のCDはありがたいことにCCCDではないようなので、普段PCでCD聴いている人(私だわたし)でも安心ですな。

 忘れてました。発売は2月16日とのことです。

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2005.01.29

今週発売された伝奇時代劇関連アイテム(1/24-30)

猿飛佐助 DVD-BOX
「猿飛佐助 DVD-BOX」(クラウンレコード DVD)

THE八犬伝
「THE 八犬伝」(ジェネオンエンタテインメント DVD)

THE八犬伝 新章
「THE 八犬伝~新章~」(ジェネオンエンタテインメント DVD)

サムライガン 暗号指令(1)
「サムライガン」第1巻(エイベックス DVD)

犬夜叉6(3)
「犬夜叉 六の章」第3巻(エイベックス DVD)

お伽草子(3)(初回)
「お伽草子」第3巻(バップ DVD)

ジェノサイド 1 (1)
「ジェノサイド」第1巻(小林拓己&中島かずき アクションコミックス)

花の慶次 6 完全版 (6)
「花の慶次 完全版」第6巻(原哲夫&隆慶一郎 トクマコミックス)


画像がほとんどない…orz

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2005.01.25

辻風の剣

 牧秀彦先生の光文社文庫での第一弾。記憶喪失ながら抜群の剣の冴えを見せる青年・辻番所の老爺・辻謡曲を生業とする娘連れの浪人の三人がチームを組んで、悪党を闇から闇に葬り去るという、いわば仕置人ものです。

 同じ作者で、つい先日完結した「陰流・闇仕置」シリーズも同様の仕置人もの、しかも形式も一冊に短編三話という形式も同じですが、あちらの主人公は、市井の仕置人であると同時に政治的な暗殺者であるという二面性を持ったキャラであり、そのため物語の軸がぶれがちに感じられたのですが(もちろん物語に複層的な味わいを加える効果もありましたが)、こちらは人物設定的にはかなりシンプルになっており、その分主人公たちの視点がわかりやすくなっていると言えるでしょう。
 もちろん、記憶喪失の青年の過去には、何やら陰謀の、未だ明らかにされない影が示されており、シリーズものとしての目配りもしっかりなされています。また、憎々しげな態度を見せつつも決して悪党ではなく、主人公たちと立場上敵対しつつも青年の腕に惚れ込むという岡っ引きの存在が面白く、このキャラがどう動くかによって、今後のシリーズ展開も変わってくるように思えます。

 もちろん定評ある剣戟描写は相変わらず巧み。伝奇性は薄いですが、「人情もの」+「仕置人もの」としては及第点の出来ではないでしょうか。

「辻風の剣」(牧秀彦 光文社文庫) Amazon bk1

 

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2005.01.24

「バジリスク」キャスト 伊賀篇

 気を取り直して伊賀篇。

○伊賀のお幻…京田尚子
 やはりお年寄り役が多い方。時代劇関連では「犬夜叉」の楓様(桔梗の妹の片目の婆様)を演じられています。
 あ、デンジ犬アイシーもこの人だったんだ…懐かしい。

○朧   ……水樹奈々
 あー、この人の名前は聞いた事あるぞ。なんかアイドルっぽい扱いの人だ(本当に知識無いな)。
 
○小豆蝋斉……青野武
 この人はベテラン中のベテラン、洋画吹き替え(クリストファー・ロイドは本当にはまってました)からアニメ・ゲームまで、たぶん誰でも一度はこの方の声を聞いた事があるはず。ちょっとひねくれた親爺の役をやったら天下一品です(若い頃はヤマトの真田さんやザラブ星人でしたが)。
 時代劇関連では、「獣兵衛忍風帖」の濁庵を好演。あとは「天外魔境」シリーズの宣教師ホテイ丸の変なイントネーションが印象に残ってます。

○朱絹  ……渡辺美佐
 うーむごめんなさい。私は存じ上げませんでしたが、洋画吹き替え・アニメなどかなり色々な作品に出演されているようです。

○蓑念鬼 ……内海賢二
 この人も大ベテランですね。本当に洋画吹き替えからアニメまで、様々な作品に出演されてます。私らの世代では、則巻センベエさんやラオウ役が真っ先に挙がるところ。最近だと「ロード・オブ・ザ・リング」のギムリでしょうか。
 時代劇的には、「一休さん」の桔梗屋さんを忘れてはいけない。

○夜叉丸 ……矢薙直樹
 ううむごめんなさい。あまりよく存じ上げませんが、色々出てらっしゃるようです。

○蛍火  ……沢城みゆき
 ごめんなさい、この方も結構最近の作品に色々出ているようですが…あ、「侍」のチェルシー(金髪女性剣士)はこの人だったのか。

○雨夜陣五郎…魚建
 うーん、ごめんなさい。あまり情報がありません。

○薬師寺天膳…速水奨
 この人も有名ですね。私が子供の頃(ちょっと大袈裟)から美形ライバル役を演じられていた気がします。格好良いだけでなく、間の抜けた演技もうまい方です。天膳も…まあ、美形と言えば美形なのできっとハマリ役でしょう(間の抜けたキャラでもあるしなあ)。
 時代劇関連では…「SAMURAI DEEPER KYO」の織田信長。最終回での東KYOタワー決戦が忘れられません。

○筑摩小四郎…羽田野渉
 …またもやごめんなさい。よくわかりませんでした。

 
 と、相変わらずごめんなさいは多いですが、こちらの方が知っている名前は明らかに多かったですね。というか何だか伊賀側にばかり偏りがあるような…というのは私の勝手な印象ですが。

 しかし人間、専門外のことを語るものではないなあ…反省。

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「バジリスク」キャスト 甲賀篇

 だいぶ前ですが、アニメ版「バジリスク 甲賀忍法帖」のキャストが発表されていました。
http://www.basilisk.jp/

甲賀卍谷衆:
甲賀弾正……小林清志
甲賀弦之介…鳥海浩輔
風待将監……千々和竜策
鵜殿丈助……平勝伊
地虫十兵衛…伊丸岡篤
室賀豹馬……宮林康
霞刑部 ……北川勝博
如月左衛門…上田陽司
陽炎  ……早水リサ
お胡夷 ……木村はるか

伊賀鍔隠れ衆:
伊賀のお幻…京田尚子
朧   ……水樹奈々
小豆蝋斉……青野武
朱絹  ……渡辺美佐
蓑念鬼 ……内海賢二
夜叉丸 ……矢薙直樹
蛍火  ……沢城みゆき
雨夜陣五郎…魚建
薬師寺天膳…速水奨
筑摩小四郎…羽田野渉

 …元々きょうびの声優さんの名前はよくわからないのですが、それでもほとんど知らない方ばかりで困りました。
 そこで、主に時代劇関連の観点から、声優さんのことを調べてみました。なお、調べるにあたっては、声優データベース WWW version海外ドラマ声優一覧を特に参考にさせていただきました。

 まずは甲賀篇

○甲賀弾正……小林清志
 さすがにこの方は有名ですね。「ルパン三世」の次元大介役の方です。あとはアジ演説で大塚明夫を感動させたハゲ軍人とか(わからんわからん)
 時代劇関連では、「サムライスピリッツ」シリーズの柳生十兵衛の声を(作品によってはナレーションも)あてています。
 ちなみに最初見た時は、弦之介の声がこの人かと思ってあまりの渋さに驚きました。

○甲賀弦之介…鳥海浩輔
 えーと、いきなり困りました。知ってる作品がほとんどありません。「PEACE MAKER 鐡」で藤堂平助役だったのですね。

○風待将監……千々和竜策
 …更に困りました。声優さんのサイトによれば、このような経歴の方のようです

○鵜殿丈助……平勝伊
 …ごめんなさい。情報少なすぎます。

○地虫十兵衛…伊丸岡篤
 …ごめんなさい。知らない作品ばかりですた。

○室賀豹馬……宮林康
 …ごめんなさい。知らない作品ばかりですが、「PEACE MAKER 鐡」では宮部鼎蔵役とのこと。

○霞刑部 ……北川勝博
 …ごめんなさい。洋画の吹き替えをメインにされている方なのかな?

○如月左衛門…上田陽司
 …ごめんなさい(以下略)。サムライガンにも出てたんだなあ…

○陽炎  ……早水リサ
 …ごめんなさい(以下略)。申し訳なさで一杯です。

○お胡夷 ……木村はるか
 …もう本当にごめんなさい。こちらを見た限りでは、デビューしてあまり経ってない方の様子。

 何だか紹介記事にするはずが、私が謝りまくって終わりになってしまいました、甲賀篇。伊賀篇が真剣に心配です。
 声優のみなさん、最後にも一度ごめんなさい。

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アイデアツリーの便利機能


 以前の日記にも書いたかと思うのですが、ディクレアイデアツリーというアウトラインプロセッサを愛用しています。
 私はフリーソフトが大好きで、シェアウェアは滅多に使わない人間なのですが、WindowsCE版もあって家のPCとの連携も便利なので、だいぶ前から使っているところです。

 このアイデアツリー、結構バージョンアップも頻繁で、しかも「アウトラインプロセッサにここまでいらないんじゃないの!?」というくらいの機能が追加されたりするので油断できないのですが、今回のバージョンアップで追加された機能がBlog書きには非常に便利。

 このアイデアツリー、ツリー毎に「リンクファイル」を設定する機能があります。HDD上のファイルからURLまで、色々なものにリンクできるので、ランチャーやブックマーク代わりに使えてこれはこれで便利なのですが、今回のバージョンでは、そのリンク先を参照できるウィンドウが付きました(これまでは、ダブルクリックでブラウザとかアプリケーション起動してました)。
 そのリンク先を表示するウィンドウでは、リンク先に飛ぶなど普通のブラウザと同じような操作ができる。掲示板などへの書き込みもできちゃう。
 そこで――自分のBlogの編集画面をリンクファイルに設定したツリーを作っておけば、わざわざブラウザを開かなくても、そこから書き込みが出来てしまうという寸法。
 僕はアイデアツリーでBlogの記事の原稿を書いて、外部エディタとして関連付けたbloggerクライアントで投稿してますが、このリンクファイルを使えば、また別な投稿の仕方ができますな(ちなみにこの記事はここで書いた方法で投稿してます)。

 何だか宣伝記事みたいになっちゃいましたが、アイデアツリー使っている人は、非常に便利な機能のでお薦めいたしますです。

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2005.01.23

国芳・暁斎 ~なんでもこいッ展だィ~

 東京ステーションギャラリーで今日まで開催されていた展覧会。開催最終日の今日になってギリギリ駆け込みで見て参りました(やっぱり駆け込みの人が多かったのか、結構な混みよう)。
 正直、絵については全くの門外漢なのですが、国芳の目にも鮮やかな色彩感覚とインパクトのある空間設計、暁斎の簡潔ながらも躍動感のある描写とパロディセンスは、そんな僕にとっても実に楽しく、見応えのある展示でした。暁斎の作品は(妖怪好きということもあって)以前から目にしていましたが、国芳の作品を意識して見たのは初めて。しかし一目で気に入ってしまいました。

 どうも僕は、限られた空間の中にどのように対象物を配置して、アートとして成り立たせるか、ということに興味があるらしく、古今東西の様々な画家の作品を見てもついついそちらにばかり目が行ってしまうのですが、今回展示されていた作品は、こういった目で見ても実に興味深く感じられるものばかりでした。

 また、役者の似顔や時局の風刺が禁じられていたため、聊か変化球的な形で描かれた作品が結構な数あったことが、印象に残りました。やっぱり今はなんだかんだいって自由な時代ではあります。
 しかし、そんな状況の中でも、のびのびと楽しく、それでいて現実をチクリと皮肉ってみせた二人の根性というか心意気というかが、作品から伝わってきて、それはそれで楽しい気分になれたことです。
(最高に頭の悪いことを言えば、子供の落書きの態で役者絵を描いてみせた国芳の「荷宝蔵壁のむだ書」が、ヒラコーの描くおまけマンガそっくりのタッチで大笑い)

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武魂絵巻

 三代将軍家光の時代、真田伊豆守信幸のもとに飄然と現れた美剣士・五位鷺志津馬。常人離れした剣技の冴えを持ち、平然と幕府への批判を口にする彼の正体は、真田幸村の遺児だった。徳川幕府への復讐と天下大乱を望む志津馬は、駿府の徳川忠長に接近、忠長を旗頭に倒幕の狼煙をあげようとする。が、彼を取り巻く人間たちの情念は、事態を意外な方向に導こうとしていた。

 江戸時代前期の江戸と駿府を舞台に、幕府打倒を狙う者たちと幕府の体勢を盤石にせんとする者たちの暗闘を描いた、南條範夫先生の作品です。
 主人公は真田幸村の遺児で美剣士、ストイックで剣の達人という、時代劇の主役になるために生まれてきたような青年なのですが、しかしその目的は徳川忠長を利用して天下を覆そうという暗い情熱を秘めたキャラクター。その他の登場人物たちも、この手の時代小説の定番的な設定ながらも、どこか暗い陰と、滅びへの予感を秘めた人物造形となっています。

 というのも、この作品自体が、武魂…つまり武士の魂の滅びを、言い換えれば武士が「武」をもって存在していた時代の終焉を描いたもの。
 史実通り、忠直は将軍の弟とは思えぬような最期を遂げ、志津馬の野望は一端は終わりを告げるのですが、その後志津馬が姿を現したある戦場とその結末を見れば、彼と彼の仲間たちが、「最後の武士」の世代として描かれていたことがよくわかります。
 果たして武魂を失った武士という階層に支配された江戸時代とは何だったのかと、考えさせられる作品でありました。

 ちなみに何故今頃この作品を手に取ったかと正直な事を言えば、かの名作にして「シグルイ」の原作である「駿河城御前試合」の最終章「剣士凡て斃る」で唐突に、しかもわずか数行で物語られた車大膳なる怪剣士の乱入事件の詳細が、実はこの作品において描かれていたから。
 初めて「剣士凡て斃る」を読んだ時以来、一体これは何のことなのかとずっと心にひっかかっていたエピソードだったのですが、その疑問がようやく解決してスッキリしました。いや本当に。


「武魂絵巻」(南條範夫 光文社文庫全2巻) Amazon bk1

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2005.01.22

今週発売の伝奇時代劇関連アイテム

陰の絵図 上 (1)
「陰の絵図」全2巻(新宮正春 集英社文庫)

かぶき奉行―織部多聞殺生方控
「かぶき奉行」(えとう乱星 ベスト時代文庫)

SAMURAI DEEPER KYO 30 (30)
「SAMURAI DEEPER KYO」第30巻(上条明峰 週刊少年マガジンKC)

遮那王義経 12 (12)
「遮那王 義経」第12巻(沢田ひろふみ 月刊少年マガジンKC)

幕末双雷伝 1 (1)
「幕末双雷伝」第1巻(小川悦司 週刊少年マガジンKC)

八犬伝 5 (5)
「八犬伝」第5,6巻(碧也ぴんく ホーム社漫画文庫)

にらぎ鬼王丸 4 (4)
「にらぎ鬼王丸」第4巻(坂本眞一&荒仁 ヤングジャンプコミックス)

シグルイ 3 (3)
「シグルイ」第3巻(山口貴由&南條範夫 チャンピオンREDコミックス)

ベステイア~流月抄完全版~ 3 (3)
「ベステイア~流月抄完全版」第3巻(池上遼一 DXKC)

犬夜叉 特別篇 めぐり逢う前の運命恋歌(さだめのこいうた)
「犬夜叉特別篇 めぐり逢う前の運命恋歌」(エイベックス DVD)

猿飛佐助 闇の軍団(2)地の巻
「猿飛佐助 闇の軍団 地の巻」(東映ビデオ DVD)

サムライチャンプルー 6
「サムライチャンプルー」第6巻(ビクターエンタテインメント DVD)

風雲 幕末伝
「風雲 幕末伝」(元気 プレイステーション2用ソフト)

サムライウエスタン活劇侍道~ミュージックコレクション~
「サムライウエスタン 活劇侍道~ミュージックコレクション~」(サイトロン・デジタルコンテンツ)

風雲 新撰組 オリジナル・サウンドトラック
「風雲 新撰組 オリジナル・サウンドトラック」(デックスエンタテインメント)

風雲 幕末伝 オリジナル・サウンドトラック
「風雲 幕末伝 オリジナル・サウンドトラック」(デックスエンタテインメント)

 
 …手間がかかる割にはあんまり面白くないなあ、この記事。

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2005.01.21

1月の伝奇時代劇関連アイテムスケジュール再び

 ふと思い立って、1月の伝奇時代劇関連アイテム発売スケジュールにCDとDVDを追加しました。

 調べるの大変だった…来月以降も気力が続けばやります。CDはともかく、DVDがこんなに出ているとは思いませんでした。
 個人的には、26日発売の「THE 八犬伝」「THE 八犬伝~新章~」が気にかかるところです。どちらも一枚(一パッケージ)に全話収録されているようなので、まとめて買ってもいいかも。

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2005.01.20

「シグルイ」第3巻

 発売が一ヶ月延期になっていた第3巻がついに発売。この巻ではほとんど一冊丸々使って、虎眼の、虎眼流の清玄への仕置きが描かれるという異常展開(いつも)。
 無惨、残酷、悽愴、異常、狂気…といった単語が読者の誰もの脳裏に浮かぶであろうこの作品ですが、しかしそれが単なる悪趣味な残酷絵巻で終わっていないのは、確かな描写力に裏付けられた人物描写と、剣戟描写が備わっているからなのでしょう。
 …それはまさに、原作者である南條範夫先生の作品にも言えること。巻末のチャンピオンRED編集部の言にあるように、形は違っても、まさに同じ色がそこにあります。

 そして冷静になって読み返してみれば、この作品の中で描かれる幾多の狂気・惨劇が、いわゆる「武士道」というものの裏返し――いわばネガティブサイドの結晶であり、二つが同じ淵源から生まれたものであることに気付きます。< 果たしてこの作品がその狂気をより深めていくのか、それとも人間性というものがわずかな反撃を見せるのか――そしてその答えは、この巻のラストの藤木の表情にあるように思えます。
 これからが真章というこの作品の行く先、楽しみに見届けたいと思います。

 しかし人様の日記を拝見するまで発売されていたと知らなかったとは、伝奇時代劇ファンサイト管理人を標榜する者としてあまりの不覚。もし虎眼流の門人であったら、どんな目に遭わされていたことか…と戦慄を禁じ得ません。「じゅうう」


「シグルイ」第3巻(山口貴由&南條範夫 チャンピオンREDコミックス) Amazon bk1

 

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レッツゴー!忍法帖

http://www.e-oshibai.com/ninpocho/

 ちょうど一年前に上演されていた劇団☆新感線の舞台のDVD。今年一番最初に観たDVDであったりします。

 この作品、いわゆる「ネタもの」というやつで、とにかくおバカなギャグとパロディのオンパレード。髑髏城の七人のような「いのうえ歌舞伎」にもギャグは相当量含まれていますが、あくまでもあれは調味料。こちらは、調味料どころか原材料から全てギャグ。ギャグのためのギャグ、バカのためのバカという、良い意味で頭の悪い作品となっています。

 ストーリー的には「隠し砦の三悪人」の世界に「仮面の忍者赤影」をぶち込んだようなものになっていますが、そんなマジメに分析するなど野暮の骨頂。つまらない理屈はどこかに捨てて、ひたすら頭をカラッポにして楽しむのがこの作品との正しいつきあい方と言えましょう。
 もちろん、この手の作品は、一歩間違えると取り返しのつかないほどスベった代物になりかねないのですが、さすが新感線だけあってその辺りは心配御無用。芸達者なメンバーが集まって、真摯に、それでいて自分たちも大いに楽しみつつ、のびのびとお笑いを演じています。
 役者だけでなく、オープニングアニメ(って、舞台にそんなものがある自体ムチャクチャですが)はタツノコプロが制作していたり、変なところにリキが入っているのがまた愉快。

 個人的には、敵方の地獄谷七人衆のネーミング(無敵闇童子・鳥魔右近・招鬼黒猫・怒鳴吐入道・不動魔愚南無・鋼鉄ふぐり丸・十六夜無明之介)とビジュアルが、あまりにも見事に「仮面の忍者赤影」していて、非常に嬉しくなってしまいました(副音声のオーディオコメンタリーを聴いたら、やはり狙っていた線とのこと)。

 DVDでは、CGで特殊効果が追加されていたりして(雨あられと飛ぶ手裏剣とかキラーンと目が光るとか)、演劇DVDとしてそれはどうなの、と思わないでもないですが、それもまあ、この作品ならば許容範囲。

 本当に、唯一残念なところを挙げれば、この作品をナマの舞台で見れなかったことぐらいでしょうか…と、何だかクサい宣伝文句みたいなことを書いて、一巻の終わり。


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2005.01.19

妖異七奇談

 その名の通り、七編の時代ホラー、時代SFを収録したアンソロジー。
 収録作と作者は以下の通り。

「黒川主」   夢枕獏
「飛鏡の蠱」  朝松健
「あやかし」  山田正紀
「小袖の手」  宮部みゆき
「両口の下女」 東郷隆
「幕末屍軍団」 菊地秀行
「清太郎出初式」梶尾真治

 ご覧の通り、なかなかのラインナップ。「あやかし」「幕末屍軍団」など、名作なのに今では微妙に読みにくい(手に入れにくい)作品も収録されているのがポイントが高いところです。

 と、お一人だけ非常に意外というか、作品の存在を知らなかったのが梶尾真治先生の「清太郎出初式」(「地球はプレイン・ヨーグルト」すら読んでいなかったのがモロバレで非常にお恥ずかしい)。
 かのウェルズの「宇宙戦争」の火星人が日本は九州にも来襲していたという設定の人情話(!)。ベタではありますが、いかにも70年代日本SFらしい手触りの作品でありました。

 と、このアンソロジー、非常に堅いと言えば堅いチョイスではありますが、これまで時代ホラーにあまり触れてこなかった純粋時代小説ファンの方、あるいはこれまで純粋時代小説にあまり触れてこなかったホラーファンが、新しい世界に触れる、その入り口としては非常に適した一冊だと思います。

 ただ一点、無粋を承知の指摘。巻末の解説で「幕末屍軍団」が遂に書き継がれることはなかった旨書かれていますが、まさに今、「メフィスト」誌で長編版が連載されているわけで、ちょっとこの点だけ気になったところです。

「妖異七奇談」(細谷正充編 双葉文庫) Amazon bk1


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2005.01.17

艶書屋又十郎 降魔剣膝丸

 元は剣の達人で隠密回りでありながら、今は禄を離れて艶書屋で食いつなぐ又十郎。家主の福右衛門に質草に取られた腰の胴太貫をネタに強請られ、又十郎は彼の回りで次々と起こる猟奇事件の陰で蠢く悪鬼たちを叩き斬る使命を負わされる羽目になるのだった。

 「必殺」+ホラーという印象の連作短編集。「必殺」に超常現象を持ち込んだ作品と言えば、「翔べ!必殺うらごろし」がありますが、あれから少しオカルト分を抜いて、主人公を常人にしたような内容と言えばよいでしょうか(…って、全然違うものになっている気がする)。
 登場する事件の不気味さ、二転三転するひねった展開などは面白いのですが、正直なところ、あまりに内容が陰惨すぎる上に、主人公がさほど強くないため、今ひとつ爽快感に欠けるのが残念なところではあります。

「艶書屋又十郎 降魔剣膝丸」(坂岡真 トクマ・ノベルズ) Amazon bk1


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2005.01.15

立川文庫 三好清海入道

 同じ立川文庫の「猿飛佐助」「霧隠才蔵」では脇役だった三好清海入道が主役になっての一編。出羽国亀田三好家の若様だった新左衛門(清海)が、城を滅ぼされ(まあ、清海が若様って時点で…)、遠縁である真田昌幸を訪ねていくまでの珍道中を描いております。

 ここで清海の相棒となるのは、由利鎌之助。似た者同士の二人が、あちこちの大名の元で事件を引き起こしては大暴れ、という趣向なのですが、正直あまりすっきりしない印象。
 というのも、清海も鎌之助も似たようなタイプのため、展開にメリハリがないのですね。佐助や才蔵は忍者ですし知恵も使うタイプなので、清海と組み合わせるとよい緩急がつくのですが、この作品では、良く言えばボケだけでツッコミがいない状態、悪く言えば暴力バカが止め役がいない状態で暴れているという状況で(水滸伝ファン向けに言えば、黒旋風李逵と喪門神鮑旭の二人旅、と言えばわかってもらえるでしょうか)、うーむという感じでした。

「立川文庫 霧隠才蔵」(野花散人 「歴史と旅臨時増刊 立川文庫傑作選」所収)


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立川文庫 霧隠才蔵

 猿飛佐助と並ぶ真田十勇士中の忍術使い、霧隠才蔵の冒険譚。この作品では、才蔵の出自(同じ立川文庫の「猿飛佐助」では蘆名家の浪人でしたが、こちらでは浅井家の侍大将の息子に)と、前半では関ヶ原の合戦での活躍、後半では三好清海入道との珍道中が描かれています。

 才蔵のキャラクター的には、正直言ってほとんど佐助のコンパチキャラという状況、つまり才蔵が佐助に入れ替わってもほとんど支障のない状態であって、そこが不満と言えば不満なのですが、そこは今の読者の目というものでしょう。何よりも、後半の珍道中があまりにも面白く、そんなことはどこかに吹っ飛んでしまいました。
 何せ、才蔵&清海コンビの活躍というのが、もう良い意味でメチャクチャ。一応、関ヶ原後の諸大名の動向を探るという名分はあるのですが、そんな目的はどこへやら。不幸な女性のため、塙団右衛門や薄田隼人らを巻き込んでの大殺陣から始まって、徳川方の大名のところに真っ正面から乗り込んでは無理難題を吹っ掛け、大暴れした挙げ句に軍資金を掻っ払うという、どっちが悪党だかわからないような暴れっぷりで、いやはや、まさに「痛快」の一言でありました。
 この辺りのノリを見ると、やはり講談の主人公たちは、水滸伝の豪傑たちの遠い子孫なのだなあと思わされます。

「立川文庫 霧隠才蔵」(雪花山人 「歴史と旅臨時増刊 立川文庫傑作選」所収)
 

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真田十勇士(NHK人形劇原作版)

 かねてより読みたくて読みたくて仕様のなかった、柴練の手になるNHK人形劇の原作版小説が運良く古本屋で手に入ったので、年末から今までかかって読了。いや、これがもう聞きしにまさる色々な意味でもの凄い作品でありました。
 内容的には、猿飛佐助の誕生から、大坂夏の陣の後までの時代を扱った冒険アクション伝奇時代劇。御存知の方も多いと思いますが、ベースとなっているのは、かの名作伝奇連作「柴練立川文庫」の一連の真田・猿飛もの(っていうのでしょうか)。それを子供向けに再構成したのがこの作品(と人形劇)なのですが…

 いや、子供向けということでそういう作風にしたのか、はたまた柴練先生のタガが外れたのか、良く言えば天衣無縫、悪く言えば行き当たりばったりの豪快すぎる超展開の連続。とにかくテンポが良すぎるほど良く、キャラクターやアイテムの出入りが非常に激しいので、油断すると話から置いていかれる――しかしそれでも何だか十分楽しい――という状態。
 キャラの方も、死んだと描写された人物が実は生きていて再登場、というのは序の口。死んでも幽霊になって暴れ回るキャラもいて(というかほとんどかも知れぬ)、その意味でも油断できません。登場する数々の忍術も、むしろ妖術魔術と言った方が良い超絶の技ばかりで、いや、こんな連中が揃っていても勝てなかったんだから、やはり徳川家康の天運はもの凄いものがあったのだな、と妙な感心をしてしまいました。
 万事この調子なので、正直に言って、伝奇キチガイや柴練マニア(以下参照)、とにかく何でも派手で面白い話好きの方以外――特に生真面目な方が読んだらむしろ怒りだしかねない作品ではあるのですが、しかしよくよく考えてみればこのノリは、柴練立川文庫がその名を借りた立川文庫の持ち味に極めて近しく感じられるもの。
 立川文庫の世界をより現代的に、よりスマートに描いてみせたものが柴練立川文庫とすれば、この「真田十勇士」は、それをより“原典”の世界に近づけて描き直してみせたもの、と言えるかもしれません。

 …と、それはさておき。この「真田十勇士」、柴練マニアにとっては必読の作品と言っても過言ではないかと思います。
 というのも、登場するキャラクター、設定の数々が、柴練立川文庫(の真田・猿飛もの)以外の柴練作品から引用されている、いわばスターシステムをこの作品では採用しているのです。
 佐助が武田勝頼の子、才蔵がイギリス人で清海が石川五右衛門の子で超美形というのは柴練立川文庫の設定のままですが、同じく真田十勇士の一人である高野小天狗は、熊野の忍者集団からす党の頭領。つまり「忍者からす」
 柴練立川文庫では一話のみの登場だった怪忍者・地獄百鬼は、木曾谷で究極の忍者「影」を育て、その「影」の正体は実は女…とくれば、これは「赤い影法師」の冒頭のエピソード(ちなみに十勇士の一人・穴山小助は、「赤い影法師」の冒頭で「影」に滅ぼされた風盗族の頭領という設定)。
 佐助たちの前に幾度となく現れる剣豪・宮本武蔵の生い立ちは、「決闘者 宮本武蔵」のそれだし、佐助たちが追い求める宇喜多秀家の隠し財産を守っていたのは黒井大膳亮の木乃伊…とくればこれは「木乃伊館」!というわけで、ざっと気付いただけでもこれだけのネタが。
 頭の悪い例えをすれば、いわばスーパー柴練大戦とでもいうべきこの作品、いや、柴練マニアとしては本当にたまらない快作でありました。


「真田十勇士」全5巻(柴田錬三郎 日本放送出版協会)


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なまはげ太鼓 in 八景島シーパラダイス

 なまはげ太鼓 in 八景島シーパラダイス(赤兜
http://park18.wakwak.com/~tengu/z_nama.htm

いや、たれ込んだ本人が言うのもなんですが、期待以上にリキの入ったレポートが最高でした。
特に「惚れんなよ!!」と「――そして神々の黄昏。」を見て行かなかった事を後悔。

一体何がそこまで駆り立てるのか、と思う方もいるかもしれませんが、狐行列にエキサイトしまくって、行列が始まる前にデジカメの電池が切れたアタシとしては何となくわかるような気がします(悟ったような瞳で)

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2005.01.10

1月の伝奇時代劇関連アイテム発売スケジュール

 もう月は始まってしまいましたが、1月の伝奇時代劇関連アイテム発売スケジュールをアップしました。

 以下、個人的な感想(敬称略)

 えー今月も全体的に漫画の方が元気がありそうなです。中島かずき原作の真田十勇士vs里見八犬士「ジェノサイド」がついに第1巻発売になります。

 小説の方では、先月の上田秀人に続き、今月は牧秀彦が光文社文庫に初お目見え。非常に楽しみです。

 また、伝奇かどうかタイトルを見ただけではわからないのですが、ハルキ時代小説文庫に曽田博久の名が。この方の名前を聞くと、どうしても「ダイナマン」とかの脚本が頭に浮かびますが、今はフラグシップでゲームの脚本書いてらっしゃるそうで、「鬼武者」もこの方だったんですね。

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2005.01.07

「伝奇城」発表

 朝松先生のところでついに発表になりましたが、光文社文庫から来月中旬「伝奇城」という伝奇時代小説アンソロジーが発売されます。

 お馴染みの方の作品あり、伝奇時代ものは久しぶりじゃないかな? という方の作品もあり、一読者として非常に楽しみなアンソロジーではあるのですが、えー、何と言いますか、上のリンク先にもありますとおり、この私めが付録の伝奇年表を担当しております。

 うちのサイトの方でも年表は公開していますが、新ネタが相当含まれる予定ですし、実際の印象も少し異なったものになるのではないかと思います。ぎゅっと圧縮している分、中身の濃いものに…なればいいなあ。
(実のところ、この年末年始は大半をこの作業に充てていました…)

 付録ではありますが、アンソロジーの平均水準を引き下げるようなことにならないよう、頑張る所存です。

 詳しくはまた、実際に本が発売されてからでも。


「伝奇城」(朝松健&えとう乱星編 光文社文庫) Amazon

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2005.01.05

新春時代劇

 そうそう、「国盗り物語」といい「大化の改新」といい、新春時代劇は渡部篤郎の一人勝ちの感がありましたね。どちらも滅ぼされる役ですが。

 「国盗り物語」は、ぶっちゃけ芹沢秀明さん演じるところの織田信忠目当てで見ましたが、肝心の信忠の出番が一分間もない罠。「ええい、腰の入ってないチャンバラを見せる森蘭丸(織田信長も)はいい、信忠の死に様を映せ!」とか思っていましたが、信忠の死はナレーションで済まされるというトラップが。
 とはいえ、芹沢氏の宇宙人にさらわれて帰ってきた池田秀一のようなボイスは相変わらずで、白菜頭に次ぐ破壊力の茶筅髷も見れたので満足しました。
 しかし、真っ当なチャンバラができる若手俳優って、もの凄く貴重なのね…

 そして「大化の改新」は、事前に雑誌とかで見ていたところでは、渡部篤郎のマフラーキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! という点だけが個人的見所だったのですが、マフラーの前に、青と紫のストライプの衣装(ナイトキャップチックなお帽子付き)という思わぬ伏兵があって完敗しました。
 いや、古代史ってあんまり興味なかったですが、あんなオサレさんたちが支配していた時代ならば、きっと素敵な時代だったのだと思います。山口祐一郎のムダな迫力も素敵でした。


 

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正月休み

 すっかり更新をさぼってしまいました。
 この年末年始は、雪が降ったりしたこともあってひたすらダラダラと過ごすふりをしつつ、水面下でバタバタとあがいたり一日1.5冊くらい本読んだりしていました。

 年越しには、以前書いたように王子の狐の行列に行ってきました。当日は昼間に雪が降ったりして人出はどうなのかなあと思っていましたが、行列の出発となる午前0時には、装束稲荷の周辺の通りが一杯になるほどの人の数で、賑やかかつ妖しげなイベントとなり、大満足でした。
 私らは、狐のお面だけ買って、あとは見物するつもりだったのですが、有耶無耶のうちに気が付けば行列に加わって王子稲荷まで歩いていました。まさに同じアホなら…状態。
 私は浮かれて「王子市民(そんなものはない)になりてぇー」とか「こんな狐になら騙されてぇー」とか頭の悪いことを言いながら狐コスをした参加者の皆さんの写真を撮りまくっていたら、行列がスタートする前にデジカメの電池が切れるという罠。(髪型が)ツインテールの狐がいる! と個人的に盛り上がるも、よくよく見たら三つ編みがガッカリした(失礼な)のもいい思い出。
 しかし、いい分別した大人たちが狐のお面かぶったり狐メイクしたりして夜の街を練り歩くというのはまさしく祝祭空間ならではの異世界の風景で、そうした催しを地域ぐるみで盛り上げ、継承している(子供の姿が多いお祭りというのは、伝統の継承されていく様を目の当たりにするようで楽しいものです)というのは、実に素晴らしいことだと思います。

 その後の三が日は、ご飯食べる→本読み始める→眠くなって寝る→起きる→ご飯という永久コンボ(時々ゲームとDVDの二択あり)で鬼のように自堕落な時間を過ごしました。あーあ

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