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2005.04.27

眠る鬼 鬼悠市風信帖

 陸奥は松ヶ丘藩の足軽・鬼悠市を主人公とした連作シリーズ。
 寺の竹林にひっそりと住む悠市は、その魁偉な風貌に似合わず江戸にまでその名を知られる鳥籠作りの名人ですが、その裏の顔は、奏者番から直接密命を受ける暗殺者で恐るべき剣の達人という次第。その鬼悠市が、次々と望まぬうちに事件に巻き込まれ、複雑な事態に翻弄されつつも事件を解決していく様が描かれています。

 悠市自身は、あくまでも奏者番の命のままに動かねばならぬ立場にあり、また、鳥籠作りを隠れ蓑に、世間から隠れ住んでいるような状態。命ぜられる使命も、周囲で起こる事件も、そのほとんどが、何のためなのか、また何が起こっているのか、悠市には不明のままであり、そのような(ある意味読者と等しい)立場での悠市の目に映るもの、心の動きといったものが、物語を読んでいるこちらの方に静かに伝わってくる、なかなか面白い作品でありました。

 ただ残念なのは、一話一話がかなり短いため、物語がブツ切りになっている印象があること。全体として見れば一つの続きものなのですが、個々で見ると少し食い足りない気もします。長編の中で、のびのびと悠市の暴れる様も見てみたいものです。

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