再び動き始めた物語 「無限の住人」第18巻
一時期は延々と人体実験話が続いて、何だかすっかり講談社の長期連載漫画の悪いパターンにはまった感のあったこの「無限の住人」ですが、この第18巻に至って、物語が猛烈な勢いで奔り始めた感があります。
この巻では、拉致された万治を追って遂に凛と瞳阿の凸凹コンビが江戸城に突入(その前に挿入される、百淋と儀一の会話が切ない冒頭の一話も味わい深いものがありました)。
そこから先は、潜入劇あり美少女百敲きあり(流石エロ雑誌でSM画描いたりするだけあるなあ)、逸刀流の隠し球・怖畔の大活躍あり、思いも寄らぬゾンビ・ホラー的展開があったり、そしてラストにはどうしようもない悲劇ありと――次のページで何が飛び出すかわからない(それでいて絵や描写のクオリティはバカ高い)という素晴らしい玉手箱状態。
特に中盤、変態武士・咲楽による百敲きと、それに続く(ある意味最高のネタキャラ)怖畔の乱入の辺りの描写は、この作品のごく初期のノリを思い出さされて、何だか懐かしくなりました。
また、凛が万治と離れて活動するのは、この作品では既に珍しくない展開ですが、以前の道中編では、状況に振り回されているばかりという印象があった凛が、この巻では積極的に状況を切り開くように行動しているのは、彼女の大いなる成長をうかがわせて印象深いものがあります(凛で印象深いと言えば、黄金蟲がようやく役に立ったのもまた印象深かったり)。
さて、「アフタヌーン」誌最新号では、遂に凛と万治が再会、これまでの溜飲を一気に下げるような凛の大暴れもあり、これからの展開がいよいよ楽しみであります。
「無限の住人」第18巻(沙村広明 アフタヌーンKC) Amazon bk1
| 固定リンク
コメント