ビギナー向け古典怪談名作選? 「新編百物語」
仕事の内容が個人的にいつも不思議でならない志村有弘先生による怪談選集。
ここ数年の怪談ブームで、百物語の名を冠した書籍も決して少なくはありませんが、この本は、平安~江戸期の怪談集・説話集・随筆から選ばれた怪談百話が収録されています。
そこで採話元を見てみれば、「今昔物語集」「宇治拾遺物語」「耳嚢」「新著聞集」と、平安時代・江戸時代のメジャーどころからが中心。その中でもかなり有名なエピソードが数多く収録されているため、この手の話が好きな人にとっては、聞いたことがある話にかなりの確率でぶつかることになるのではと思います。
もちろん、それはあくまでも熱心な怪談ファンにとっての話で、普段あまり怪談に触れないビギナー読者にとっては、一冊でメジャーどころの古典怪談にまとめて――それも百物語というスタイルで――触れることができるのは、なかなか面白い企画だろうな、と思った次第です。
ただ一点気になるのは、訳文が生真面目すぎるということで…京極夏彦の「旧耳袋」くらい、とは言わないまでも、もう少しいじってもよかったのではないかな、という印象が正直あります。
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