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2005.08.04

白獅子仮面 第一話「青い目と赤い目の狼」

 時は享保。江戸の町を脅かす怪物・狼仮面の脅威に立ち向かうため、大岡越前は懐刀の青年与力・剣兵馬を頭に武装同心隊を結成した。その頭脳と行動力でたちまち狼仮面を追いつめ、倒した兵馬。しかし狼仮面は一体ではなかった。狼仮面の頭目は、越前の妹・縫を誘拐して兵馬をおびき出し、生き埋めにしてしまう。と、絶体絶命の窮地に陥った兵馬の前に現れる獅子面の神。その神の力を借りた兵馬は白獅子仮面に変身、越前爆殺の陰謀を未然に防ぎ、狼仮面一党を壊滅させるのだった。

 突然ですが(本当に突然…)時代劇ヒーローの第一話シリーズ。第一回は、もうすぐDVDも発売の「白獅子仮面」。
 たぶん数ある特撮時代劇ヒーローの中で、「魔人ハンターミツルギ」とタメを張るくらいにマイナーであろうこの作品ですが、実際に観てみると、特撮番組というより時代劇番組のフォーマットできちんと作られていることに驚かされます。
 舞台となるのは、大岡越前の時代ということで江戸中期。特撮時代劇ヒーロー番組のほぼ9割9分(というかこの番組以外)が戦国時代~江戸初期を扱っているのに比べて、独自性十分であります。時代が時代、しかも主人公は町奉行所の同心ということで、当然のことながら舞台は江戸八百八町。なかなかセットを用意するのも大変なんじゃないかな、という気もしますが、その辺りも手を抜いていないようで好印象です。
 そして剣兵馬(演じるは三ツ木清隆)も、一人で派手な(時代劇離れした)格好をしているのはまあご愛敬として、いかにも切れ者、といった凛々しさで、まさに「時代劇ヒーロー」そのもの。二丁拳銃ならぬ二丁十手というのも、なかなか面白いアイデアだと思います。
 その他のキャラクターも、頼りがいのありそうな大岡越前に、男勝りなその妹・縫、コメディリリーフコンビの同心・田所&目明かし・一平と、定番ながら楽しい配置となっていて好感が持てます。

 更に面白いのは今回の敵である狼仮面。造形的には正直今ひとつですが(むしろ犬か狐チック)、一体ではなく複数登場するのが素晴らしい。一体倒したと思ったらワラワラ登場、という意外性もさることながら、敵はワンオフの怪人ではなく、妖怪という一つの種族である、というこの作品の設定を感じさせてくれて感心しました(この、一妖怪が複数登場というのは、第一話に限らずこの先のエピソードでも同様で、この作品の特長の一つと言えます)。

 で。兵馬が変身する白獅子仮面なんですが…問題はこの人かもしれません。何故って、怖いんだ。本当に。
 ビジュアル的には、歌舞伎の獅子頭なんですが、顔が灰色というか…つまり死体色。そしてしかめっ面。これだけでも十分にヤなインパクトがあるのですが、恐ろしいのは変身シーン。
 兵馬が「獅子吼ーッ!」と叫んで二丁十手を打ち合わせる、というなかなか格好いい変身シークエンス、ここまではいいんですが、そうすると飛んでくるんですよ。そのおっかない白獅子仮面の顔が! 顔だけ!

 と、余計なことも書いてしまいましたが、時代ものと変身ヒーローもののミックスのさじ加減が絶妙のこの作品、変格の痛快アクション時代劇として観ても十分楽しい作品ですし、今般の妖怪ブームとDVD化を機に、もっと評価されても良いのではないかな、と思う次第です。

 …ちょっと褒めすぎちゃったかな。


おまけ:今回の怪人 狼仮面
 江戸征服を狙う火焔大魔王の命を受け、八百八町を騒がす怪人。西洋風の服とマントをまとった狼人間で、赤い毒ガスと目からの催眠光線が武器。一体だけでなく、青い目の頭目と、赤い目の手下複数が存在する(これが第一話のタイトルの元)。倒されると、赤い光を放って消滅。
 兵馬をおびき出し、生き埋めにした上で、越前の妹を操って越前を爆殺しようとしたが、白獅子仮面の登場で全員倒される。


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