いざ、出陣! 「コミック戦国マガジン」第1号
もう第2号の発売も目前という時期に今さらながらで恐縮ですが、メディアファクトリーから新創刊された「コミック戦国マガジン」第1号を紹介。
メディアファクトリーと言えば既に三国志もののコミックで雑誌を出していますが、こちらは一冊丸ごと戦国時代。それ自体であればリイド社のコミック乱の増刊などで出ていますが、こちらで目を引くのはその執筆陣。
矢口岳、島崎譲、玉置一平、北崎拓、池上遼一…これまで時代もの漫画を描いているものの、時代もの専業ではない作家、そして(池上遼一はともかく)主に十代~二十代向けの雑誌で活躍している層がメインとなっています。少なくとも、他の時代劇コミック誌ではまず見られない、なかなかユニークなチョイスの作家陣と作品であり、その独自性は大いに買いたいと思います。
とはいえ、表紙には「全世代に贈る、決定版戦国コミック誌誕生!!」と謳われておりますが、全世代に受けるかは微妙で、少なくともフツーの時代劇劇画を読んでいるお父さん層にはちょっと合わないだろうなあ…という印象。その代わり、ゲームで戦国ものに触れている層には十分アピールできる内容ではないかな、と思います(その意味では、表紙が池上遼一というのはどうかな、という気もしますが)。
ちなみに第2号は9月15日発売(本当に目前…)。もちろん第2号も読みたいと思います。
以下、特に印象に残った作品を(ほとんど全作品になってしまいましたが)。
「新 鬼武者 TWILIGHT OF DESIRE」(矢口岳)
カプコンから発売予定の「新 鬼武者 DAWN OF DREAMS」の公式プレストーリー。鬼の籠手を守る浄化師・南光坊天海が主人公で、幻魔の力を得た豊臣秀次との戦いが描かれます。個人的には矢口先生は「甦りし蒼紅の刃」のコミカライズがかなり良作で、期待している漫画家の一人なのでここで読めて嬉しいですね。
「戦、売ります! 雑賀孫市伝」(島崎譲)
破天荒な自由人・雑賀孫市の一代記。木下藤吉郎に請われて出陣した孫市ですが、自儘(=自由)を旨とする孫市は、自分の配下になれと言う信長に昂然と反抗して…(以下次号)というストーリー。さすがベテランだけあって登場人物のキャラと絵柄が見事にマッチしているのに感心しました。
「朧月 風林火山の後継者」(玉置一平)
信玄没後一年に起った武田勝頼を主人公にした短編。勝頼と言えば武田家を滅亡させた凡才というイメージがついて回りますが、ここでは信玄以上の才を秘めながら時代の流れに苦しむ青年武将として描かれ、スタイリッシュな絵柄と相まって実に印象的な作品でした。「痣丸」続き読みたいなあ…
「乱風半蔵」(ゆづか正成)
桶狭間の戦を背景に、服部半蔵正成を、忍びとしてではなく一人の武将として描いたフレッシュな短編。忍びの統領としての自分と武松としての自分の間で揺れる正成の姿が爽やかに描かれていて好印象でした。また、正成の主君としての度量を見せる家康のキャラクターも面白く、今回初めて触れた漫画家さん(の一人)ですが、他の作品も読んでみたいという気持ちになりました。
「殿といっしょ」(大羽快)
戦国武将たちを主人公にした4コマ。ベタな作品ではあるんですが、何だか面白いんだなあ。秀吉と三成の漫才(事前打ち合わせ済み)とか正宗とホトトギスとか禁断の愛に目覚めた信玄とか。
「コミック戦国マガジン」第1号(ダヴィンチ9月号増刊 メディアファクトリー)
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