ユニークな存在感の雑誌に 「コミック戦国マガジン」第2号
先日紹介したメディアファクトリーの「コミック戦国マガジン」の第2号、前号に引き続き、なかなかユニークな執筆陣が揃っていて、決して少なくない時代劇コミック誌の中でもユニークな存在感を感じさせる一冊となっています。
以下、目についた作品を。
「俺たちの戦国」(神崎将臣)
しばらく休筆していた作者の久々の新作。羽柴秀吉に憧れる小作人の子供たちが、秀吉に出会うも…というストーリーで、まあ、可もなく不可もなしという感じですが、絵に乱れがないのはなにより。短編の中でも様々な顔を見せる秀吉の表情が印象に残りました。
「満腹大名徳川。」(日高建男)
ある意味今号最大の爆弾。「コミックバンチ」誌の「満腹ボクサー徳川。」のセルフパロディというか…いやこりゃ反則だろ、というほかないのですが、内容的には実に面白い。一見、天下を狙う気概もなくただの大飯喰らいに見えた家康が実は天下取りのための方策として、「健康」を己の武器にしようとしていた、という視点が見事で、単なるネタで終わらない内容でした。半身脱いで見せた家康の肉体描写も流石。
「戦、売ります! 雑賀孫市伝」(島崎譲)
全二回の後編。ついに敵対することとなった孫市と藤吉郎ですが、孫市は何と藤吉郎の陣に忍んできて酒盛りを…という破天荒ぶり。一見ムチャクチャをやっているようでいながらも、限りある領地が戦の元であり、銭の力で富と平和をもたらそうと考える孫市の人物像が魅力的でありました。
「殿といっしょ」(大羽快)
前回ほどのインパクトはなかったかもしれませんが、信長の鬼神のような対叡山戦略や、すっかり今川氏真に洗脳された太原雪斎のキャラクターが面白すぎ。
「新 鬼武者 TWILIGHT OF DESIRE」(矢口岳)
連載第二回の今回は、天海のパートナー・阿倫(出雲の阿国)と傀儡師舞いの美女・雛菊が魔殿と化した聚楽第に潜入する展開。雛菊が細川ガラシアの元侍女ということで、天海・ガラシアと登場人物に明智関係者が増えてきたのはニヤリとさせられますが、驚いたのは秀次の懐刀として前野景定が登場したこと。秀次の謀反に連座して自刃した実在の人物ですが、ガラシアの娘婿だったという史実を物語に絡めてきたのには感心しました。
と、いうわけで、今号もなかなか面白い雑誌になっており、満足。第3号は9月15日発売、連載陣に加えて、怒濤の戦国ギャグまつりと題して、ほりのぶゆきや安田弘之の作品が掲載されるようです。
しかし表紙はあくまで「信長」でないといかんのかなあ…
「コミック戦国マガジン」第2号(コミックフラッパー10月号増刊 メディアファクトリー)
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