陸奥三代と闘った男 「修羅の刻 雷電編」第3回
さて、短期集中連載の「雷電編」も遂に最終回。前回の記事で、前回は起承転結の承と転か、と書きましたが、とんでもない、今回は転の連続、驚かされっぱなしでありました。
雷電と対峙する葉月ですが、哀しいかな女の身では圧倒的に身体的パワーが足りず(まあ、なんだかんだ言って九十九もパワーファイター的側面あったからなあ)、実は陸奥を継ぐことができなかったことが判明。そして葉月の父・左近も実は病死していたと意外な展開となります。
そして刻は流れ二十年後。既に力士を引退していた雷電の前に現れた葉月の傍らには、新たな陸奥――陸奥兵衛の姿が。それに対する雷電も、年齢を感じさせぬ凄まじいまでのグッドシェイプの肉体でがっぷり四つの大勝負と相成ります。
この雷電vs兵衛の仕合シーンは、格闘描写の巧者たる作者ならではの格闘表現が縦横無尽に炸裂、雷電が一発の凄みをいやというほど見せつければ、若き陸奥・兵衛(他の陸奥とちょっと違う印象の顔立ちなのは、やはり…の血が入ったせいか)もまた一歩も引かずに修羅の修羅たる由縁を発揮して真っ向からぶつかるという、格闘漫画ファンとしてはたまらない展開でありました。
今に始まったことではないですが、血や汗、筋肉といった描写を最小限に抑えつつも、迫力ある肉体と肉体のぶつかり合いを描くことができる川原先生の筆には感心します。
そしてついに雷電と陸奥の永い永い闘いにも終わりがやってきます。そしてそれと同時に語られる、雷電が力士となった――闘いを続けてきた理由。これには唸らされました。
詳しくは書けませんが、一種妄執すら感じられた雷電の闘いへの執着の原点が、あんなところにあったとは――と驚かされると共に、鬼神の如き力を持ちながらも、あくまでも優しい人間であった雷電の心映えというものがしみじみと伝わってきて、感動させられたことです。
格闘アクションとしては言うに及ばず、人間ドラマとしても優れた作品だった今回の「修羅の刻」。三代の陸奥(正確には二代ですが)と闘うという、おそらく空前絶後の偉業を成し遂げた偉大な力人に心からの敬意を。
…あと、この二ヶ月ずっと男じゃないかと疑ってた葉月さんには心からお詫びを。何故か前回の記事のラストで名前間違えてるし。
そして雷電の奥さんは、今回も素敵にイイ女でありました。
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コメント
Hyoe no oyaji.... dare nanoka....
投稿: kei | 2005.10.11 03:42