消えゆく命と受け継がれる魂 「今週のSAMURAI DEEPER KYO」
吹雪より早く立ち上がった狂。狂は、紅の王なぞそんな小さなことにこだわっていられるか、オレはオレの求める最強を目指すと言い放つ。そして、狂になおも向けられる吹雪の太刀を止める辰怜。他の者たちを踏みにじらなくとも壬生一族は生きていけると辰怜は訴え、ほたるたちもそれぞれの言葉で未来を語る。その言葉を耳にした吹雪は、辰怜の刀で自らを貫く。最後は自らの命を持って悪行を清算するつもりであった吹雪。吹雪もまた、道こそ違え、壬生一族の未来を考えて行動していたのだった。と、そこに時人たちが現れる――
ついに吹雪もまた塵に帰る時がやってきました。ひしぎに続き、「死ぬ間際にイイ奴になってんじゃねえ」的展開ではありますが、その魂を受け継ぐ者として辰怜を対比することにより、そんなひねくれた見方をしてしまう人間にとっても読み応えのある内容となっておりました。
正直、辰怜は力でもって吹雪を超える(もちろんその上で和解する)のだろうと、ずっと考えておりましたが、このような形で吹雪と和解し、その心を知ることになるとは、少々意外であったと共に、こういうやり方もあるかと感心させられました。
そして、自決に等しい形で吹雪が辰怜の刃を受けた後に、水舞台で舞う辰怜の姿や、少年時代の辰怜の「なりとう存じます。吹雪様のような一族を愛する真の侍に」という台詞が描かれるイメージシーンはもう反則級。
と、これで丸く収まるかと思いきや、もう一人吹雪と因縁――それも特大の――を持つ時人が登場。さて、時人と吹雪の間にどのようなドラマが生まれるのか、作者の腕前に期待します。
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