「闇を斬る 刺客変幻」 堅実な作りが光る剣豪小説
「闇を斬る 直心影流龍尾の舞い」に続くシリーズ第二弾。主家を捨て、妻と二人江戸にやってきた直心影流剣士・鷹森真九郎の死闘が再び描かれます。
前作ラストにほんのわずか姿を見せた暗殺者集団「闇」が本格的に登場、偶然「闇」の秘密の一端に触れることになった真九郎は執拗な襲撃を受けることになります。さらに真九郎出奔の原因を作った悪家老・鮫島兵庫も懲りずに真九郎抹殺を企み、二つの敵を向こうに回して真九郎は剣を振るうことになります。
前作でも感じられた文章・展開の生硬さは、正直なところまだ少し感じるのですが、しかし剣戟描写が達者で面白く、次から次へと様々な敵が襲い来ることもあって、剣豪小説として最後までだれることなく一気に読み終えることができました。
ちなみに前作でも目立った真九郎の律儀さは今回も健在。襲いかかってきた敵を斃すたびにきちんと同心(知人ではありますが…そうそう、前作から登場のこの八丁堀の同心・桜井琢馬は、べらんめえ喋りの好漢で、真九郎と対照的な面白さがあります)に届け出る時代劇ヒーローというのも、ある意味斬新であります。
また、愛妻の雪江さんとの仲も相変わらず睦まじい…のですが、今作では敵の魔手がこちらにも迫ることになり、そちらもハラハラさせてくれるところです。
何はともあれ、ひとまず強敵を退けた真九郎ではありますが、ついに「闇」と鮫島兵庫が手を結ぶことになり、まだまだ真九郎の苦闘は続く予感。さらに「闇」には単なる暗殺者集団以上の素顔があるらしく、こちらも気になるところ。
安心して読める堅実な作りの中で、今後の展開が気になるシリーズになってきました。
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コメント
無料で読める本をたくさん見たいですね。
投稿: 増田辰雄 | 2007.03.30 17:13