「takeru-SUSANOH~魔性の剣より-」第1巻 三人のタケル、ここに出逢う
劇団☆新感線の座付き作家・中島かずきの3作目の――ある意味氏の本拠である双葉社以外では初めての――原作コミックの第1巻が発売されました。
舞台は古代の日本――を思わせるファンタジックな世界・大八州。その大八州の制覇を目論む天帝国と、それに抗する蛇殻国との戦が繰り返される中、大陸から蛇殻国にあるというスサノオの剣を求めてやってきたのは、脳天気で人なつっこい笑顔を見せながらも底の知れぬ青年・イズモノタケル。
そしてそのイズモと戦いの中で出会い、行動を共にすることになるのは、豪快で強力の大男、クマソノタケルと、寡黙ながら恐ろしい腕の冴えを見せる、訳アリの美青年・オグナノタケル――この、奇しくも行動を共にすることになった三人のタケルが、本作の主人公であります。
そんな彼らの前に現れるのは、また個性豊かな、いずれもいわくありげなキャラクターたち。誰が味方で誰が敵か、誰が善で誰が悪か、わからぬままで展開される物語は、スリリングで魅力的です。
その物語を形にした唐々煙氏の画は、アクションシーン――特に乱戦――では、正直何が起こっているかわかりにくいという大きな欠点はあるものの、しかし上記の個性的なキャラクターの描き分けはしっかりとしているので、まずは物語を楽しむには十分な画力があるといってよいでしょう。
…と、この作品、他の中島かずき原作コミックと異なり、新感線の舞台「SUSANOH~魔性の剣」が原作という扱い。恥ずかしながらこの舞台は観ていないのですが、それだけに新鮮な気持ちで楽しむことができそうです。
第1巻は、三人のタケルが蛇殻国に潜り込み、女王の課した三つの試練を突破して、剣の神の予言に謳われた三人の益荒男として認められるまで。物語的には序章といったところか、まだまだ謎と秘密だらけで全く先が読めませんが、これから先の物語が非常に楽しみです。
おまけでどうでもいい話。本作を読みながら舞台でのキャスティングを想像してみたんですが、イズモとクマソのキャストは当てることができた(というよりこの二人しかいないでしょ、という方々ですが)、オグナは当てられなかったよ…てっきりサグメの役をやっているものだと思っていました、あの方は。うう、やっぱり舞台も観たい。
それとも一つ。単行本の左ページ上に入っているタイトルが全て「SUSAHOH」になってた…
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