「怪~ayakashi~ 化猫」大詰め もしかして神作品?
前回は憎まれ口を叩いてしまいましたが、いよいよ今回で「大詰め」の「怪~ayakashi~」の「化猫」。放送直前まで全三話と気付かなかった自分の間抜けっぷりは置いておくとして、起承転結ならぬ序破急の呼吸で一気に過去の因縁と現在での決着を描いてくれました。
大詰めで語られた過去の因縁については、ここで詳しくは述べませんが、想像を遙かに上回る陰惨なもので、見ている最中、胃にズドンと来る重い重い真実(これ、リアルタイムで見たら次の日暗ぁい気分で会社に行くことになるとこでしたよ…)。
こういう言い方は不謹慎でありますが、時期によっては放送できなかったんじゃと思わされる題材でありますが、この作品の独特のキャラクターデザインと美術で、「毒」は「毒」として残しつつも、悪趣味な部分は最小限に抑えられていたかと思います(美術と言えば、ラスト近くで描かれる地獄絵図と化した「壁」の描写は特筆ものの見事さかと)。
物語的にも、何故昔の因縁が今、甦ることとなったのか、その「理」をきちんと見せてくれて納得いたしましたし、ラストまで見て、もう一度序の幕から見返したくなるストーリー設計となっていたのに感心しました。
序の幕のコミカルな印象を根底から覆すかのような結末でしたが、最後の最後に救いを見せることで、切なくも美しく、儚くも温かい余韻を残して終えてみせた点も見事でありました。
ここでマニアの中途半端な視点で語らせていただければ、例えば鍋島の化猫は御家騒動絡みで現れた、封建社会ならではの怪物でありましたが、本作での化猫は、舞台こそ江戸時代であったものの、現代にまで通ずる人間の心の中の暗黒(実際にあったし、ねえ…こんな事件)により生み出された存在と言うべきもの。
その点で古典怪談を現代人の視線と精神で甦らせてみせた(と私には見える)「怪~ayakashi~」に相応しい作品だと思います。
と、そんなわかったようなわからんような話はさておき、もう一つ触れておくべきは、狂言回しとも探偵役とも言うべき「薬売り」のキャラクター。ネットで本作の感想を見ると、まずほとんどの方が絶賛していますが、確かにこのキャラクターはいい。
キャラ自身のビジュアルや術描写の見事さに加え、声の櫻井孝宏氏の好演も光り、この陰惨な因縁の理を解きほぐす存在として――一歩間違えればご都合主義になりかねないところを巧みに回避しつつ――その正体などほとんど全てが謎の存在ながら、実に魅力的な伝奇ヒーローとして描かれておりました。
いや、このキャラクターをこれだけで終わらせるのは勿体ないでしょう。続編(「薬売り」もの)は作られるべきであろうと強く感じた次第。
さて、この「化猫」で「怪~ayakashi~」も無事終了。放送開始前は不安半分でお手並み拝見というところでしたが、既に取り上げたように「化猫」で記録的高視聴率をマーク、さらにDVDの売り上げ(予約)も好調のようで実にめでたいことであります。このblogにも本作絡みでいらした方もたくさんいるようです。
個人的には「天守物語」がかなりもにょりましたが、「四谷怪談」はなかなかお気に入りの作品でありますし(感想は近々アップしますです)、この「化猫」は言うまでもなく非常に楽しめましたしね。
あと、ヒップホップに乗せて目にも綾な映像を展開して見せたOPも見事でしたな。作品のことを知らないでOPだけ見て、思わず本編が見たくなるという点では実に理想的なOPかと。
深夜アニメでホラー、それも和物の怪談ということでどうなることかと思いましたが、いや見事に化けやがったな、という印象です。和物好き、怪談好きとして実に嬉しく目出度いことであります。
関連記事
「怪~ayakashi~ 化猫」序の幕 ポップでカラフルな凄玉
「怪~ayakashi~ 化猫」二の幕 やっぱり深夜アニメ…
今日の小ネタ 視聴率と問題児
| 固定リンク
コメント