「鬼神降臨伝ONI」 鬼追う者、鎌倉に見参
2月頭にインフルエンザで寝込んでいる間、どうにも暇で、しかしじっと寝ているのが我慢できない貧乏性だったため、今まで買い込んだ時代ものゲームを少しずつプレイすることにしました。…で、今頃になってクリアしたのが、このスーパーファミコンソフト「鬼神降臨伝ONI」。レトロゲームファンには懐かしいゲームボーイのONIシリーズが、スーパーファミコンに進出した第一作であります。
舞台は鎌倉幕府成立直後の頃。由比ヶ浜で拾われ、源頼朝の子・頼遠(架空の人物。源頼親の子で前九年の役で戦死した同名の人物がいますが、そちらとはもちろん別人)に育てられた少年・北斗丸が、頼朝の命により頼遠と二人、妖怪退治の旅に出る…という導入部で、これだけ見るとファンタジーものRPGの世界を日本に移し替えただけ、のように見えますが、曲者パンドラボックスの作品だけに、それからは意外な展開の連続。
主人公の出生の秘密とは(勘のいい人なら上の文章だけでわかると思いますが…)。伝説の「天下五剣」に秘められた力とは。義経の死に秘められた怨念とは。源氏の一族に秘められた力とは。本当に悪いのは妖怪と人間どちらなのか。そして真の敵とは一体――この時期のRPGは、単純な善悪二元論から脱して、それぞれにデザイナーの主張が込められた作品が多くなっていましたが、この作品もその一つとして(つうかONIシリーズは昔からこんな感じという気もしますが)楽しむことができました。
もっとも、物語で重要な位置を占める妖怪側の副将格がぬらりひょんでちょっと興醒めだったり、ラスボスが――よく考えるとなかなか深いものを感じる存在ではあれ――かなり唐突に登場してきた感があったりと、つっこみどころやもったいない点も多いのは事実。
とはいえ、1994年というスーパーファミコンのゲーム全体が技術的にも内容的も円熟期にあった時期の作品であるだけに、コンピュータRPGとして見れば実に標準的な――それでいてプレイアビリティは相当高い――作品に仕上がっているため、ストレスなくスムーズにプレイできた点は大きく、全体として見れば、水準以上の作品になっているのではないでしょうか。
スーパーファミコンのONIシリーズは、この後にもう一作、幕末を舞台とした「幕末降臨伝ONI」という作品もあり、こちらも手元にあるのでこれからプレイの予定。どうやら本作とも密接に関わる内容のようですので、楽しみです。
と…このゲームについて色々と調べていたら、シナリオを担当した早川奈津子氏の手によるノベライゼーションがあったことに今頃気づいてしまいました。これは探さにゃあ。
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