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2006.05.02

「闇を斬る 残月無情」 そろそろダッシュしては…


 「闇を斬る」シリーズ第四巻の本作は、とある商家を襲った「闇」一党の陰謀に、主人公・鷹森真九郎と同心・桜井琢馬が立ち向かうという内容。
 そこに、前作で登場した美貌の深川芸者・染吉が絡んできて、どうする真九郎! というのが本作の趣向と言ったところでしょうか。

 以前書きましたが、これまでの本シリーズは
真九郎の日常→琢馬に呼ばれて事件の話→情報収集→敵の襲撃→琢馬と話す→日常→情報収集or襲撃…
というのが基本パターンですが、それは本作も同じ。 パターンではありますが、バランスよくチャンバラと真九郎の日常が平行して描かれていくのは、物語に適度な刺激と同時に安定感を与える結果となっており、これはこれで嫌いではありません(真九郎さん刀もらいすぎ! とか大商人に慕われすぎ! とか突っ込みたくなることもありますが)

 ただし、正直なところを言えば、前作で折角「闇」の大きな動きが出てきたのに対し、本作はミステリー的部分にバランスを割きすぎたか、スケール感で言えば一歩も二歩も劣るというのが残念なところです。
 ホップ・ステップと来て、またホップに戻ったかなあ、という印象で、せめて内容的に前作と本作が逆の順番であったら…というのはもちろん無理な注文ですが、ちょっとシリーズ構成としてどうなのかな、という気はしました(タイトルでラストの展開も予想できますしね…)。

 ルーチンをこなしながら物語全体のドライブ感を少しずつ高めてきた本シリーズ、そろそろ全力疾走に移ってもいいのではないかな、というのは読み手の方の勝手な言いぐさかもしれませんが、期待の裏返しと思っていただければ。


「闇を斬る 残月無情」(荒崎一海 徳間文庫) Amazon bk1


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