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2006.10.25

「幕末機関説 いろはにほへと」 第三話「石鶴楼都々逸」

 第二話ほどは遅れずに見る事ができました、「幕末機関説 いろはにほへと」第三話。前回で両親の仇・針尾を討った赫乃丈と一座ですが、まだまだ仇討ちは終わらず。更に超有名な実在の人物は出てくるは、美形の新キャラは出てくるはと、シブい味わいながらも波瀾万丈の展開となっております。

 さて、一座を離れて一人飄然と耀次郎が向かったのは高麗の里なる地。そこで師匠(兄弟子?)の手荒い出迎え(ここで耀次郎が見せる、鞘に刀を収めたままでの剣戟がなかなかよろしゅうございました)を受けつつも、高麗の聖天なる老人に、「首は斬ったが首の思念は斬り得なかった」と報告する耀次郎。なるほど、何がどうなったか今ひとつわかりにくかった第一話のラストですが、ようやく何となく状況が飲み込めました。
 ちなみに初登場の聖天老、何者かはまだわかりませんが、耀次郎の使命の事を熟知している様子。たくあんの切り損ねてつながったのを引き合いに出して、首を斬りきれなかった飄々と耀次郎を慰める(?)シーンが何とも味わいのあるお方でありました。

 そして耀次郎が悩んでいる頃、赫乃丈一座も仇を討ったことでその先の身の振り方に悩んでいましたが、しかし、事件には裏の裏があることを指摘したのは蒼鉄先生。前回の仇討ちの際に、何者かが針尾を狙撃したのを気付いた蒼鉄先生は、黒幕を引きずり出すためにかつて赫乃丈の一家を襲った悲劇を芝居にして上演しようとします。
 それにまんまと引っ張り出されたのは当の黒幕・中居屋重兵衛、邪魔となる赫乃丈を暗殺するために、かの鉄砲集団雑賀衆の末裔・雑賀孫蔵に最新式のライフルを与えます。ライフルの癖を確かめるために試射を重ねる孫蔵、立派にスナイパーしています。

 そしてまた…同じ横浜で、天下国家の先行きを左右しかねない会談を持つのは、あの勝海舟と英国公使パークス。史実では薩長と結んだパークスと、幕府側の中心人物たる勝の会談とは穏やかならざる話ですが、そこでパークスが勝の身を案じて連れてきたボディーガードが、また実に素晴らしいキャラクター。
 金毛隻眼で当然美形、使う得物は拳銃のこの青年、名は(EDによれば)神無左京之介。今回は出番こそ多くありませんでしたが、素晴らしいキャラ立ちぶりで、実に印象的でありました。物語中の立ち位置はまだ不明ですが、おそらくは耀次郎のライバルになるのでありましょう。耀次郎、蒼鉄とはまたベクトルの違った美形ぶりで、ネット上の評判も上々のようです。
 個人的には幕末で隻眼混血のガンマンと言えば七号丸市松を思い出して(´;ω;`)ウッ…(勝もいるしな)

 それはさておき、琴波太夫の太夫道中の最中、新作芝居の宣伝を始める赫乃丈一座を狙う孫蔵の銃口。危うし赫乃丈! …と思いきや、そこに駆けつけたのは秋月様。前回に続く白馬の騎士ぶりで孫蔵を追撃、超長距離攻撃キャラの常で接近戦は弱い孫蔵はあっという間に耀次郎と一座に追い詰められますが、さて…というところで以下次回。

 さてこの第三話、冷静に考えてみるとそれほどアクションシーンが多いわけでもなく、ある意味前回以上に地味なお話ではあるのですが、耀次郎・赫乃丈らのミクロな伝奇世界と、勝海舟らのマクロな歴史(史実)の流れが横浜の地で交錯する様が楽しく、(伝奇)時代劇として、なかなか見応えある作品となっておりました。
 見ていてちょっとシブすぎるかな、という気がしないでもありませんが、左京之介みたいにケレン味が服着て歩いているようなキャラも現れたことですし、そこはいま心配することではないのでしょう。
 次回ではおそらくスナイパー孫蔵との決着となるかと思いますが、日本刀vsライフルという異次元対決がどのように描かれるかに期待したいと思います。


 しかしこれは今回隻眼混血のガンマンが出てきたから言うわけではなく、第一話の時点から密かに思っていたことではありますが――このスタッフで「サムライガン」を見たかったよ…ここで他の作品のことを言うのも何ですが、本当につくづく思います。


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