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2006.10.28

「幕末機関説 いろはにほへと」 第四話「裏疑獄異聞」

 何だかあっという間に一週間は終わり、もう「いろはにほへと」の第四話の配信が開始されています。今回は、悪鬼羅刹の其ノ二・雑賀孫蔵との決着編。前回ラストで孫蔵を追い詰めながらもあっさりと逃げられてしまった耀次郎ですが、果たして孫蔵のスナイプから赫乃丈を護ることができるか!? というのが今週の眼目であります。

 ストーリー的には、前回あらましが語られたとおり、真の黒幕を炙り出すため赫乃丈一座が演じる芝居と、その口を封じるために放たれた孫蔵の暗殺計画が描かれており、内容的には単純と言えば単純なのですが、静かにそこまでの過程を見せていって、クライマックスで一気に盛り上げる構成の妙に感心しました。
 そのクライマックスでは、現実と芝居、双方の復讐劇がメタに重なっていくのが実に面白い展開(舞台上の衣装も目にも綾で楽しいですね。特に和装の赫乃丈)で、遂には暗殺者たる孫蔵まで芝居の中に乱入して遂に虚実が重なり合うのは非常に面白い趣向だと思いました。

 その孫蔵、天井裏に忍び(気付かれなかったのか放置されていたのか)、黙々と飯を食いながら腕に布を巻き付けて狙撃の準備をする様は、いかにも用意周到な暗殺者的で面白かった(…が、あの細工に何の意味があったのか、作中ではよくわからなかったのが残念。サイレンサーっていう解釈で…いいのかな?)のですが、しかしあれだけプロフェッショナルに徹していたのに、最後には舞台上で自分の本名まで名乗ってしまうのは、バカ正直なのかアドリブが利かないのか、はたまた家名を背負いつつ歴史の陰を歩んできた男の最後のプライドか…やられ役ではありましたが、なかなかユニークなキャラクターでありました。

 しかし脇役がキャラを立てている一方で、相変わらず何を考えているのかわからないのが耀次郎。その鉄面皮はある意味キリコ以上で、何を考えて行動しているのか、そもそも何故赫乃丈を助けたのかはっきりわからないのがちょっとすっきりしない(まあ、根底にはかつて護るべきものを護れなかった後悔というものがあるのだとは思いますが)のは、演出としてもちょっとマイナスなのではないかなと思います。

 と、そんな寡黙ながらも仕事は着実にする主人公の見せ場を、最後の最後にミラクルショットでかっさらっていったのは、前回初登場の隻眼混血のガンマン・神無左京之介。冷静に考えると地割剣以上に有り得ない絶技ですが、仕方ないよな、サムライガンだし。
 …と、しつこいオタの戯言はともかく、公式サイトのキャラ紹介によれば、左京之介は耀次郎のライバル的存在になるようなので、美形同士の対決を今から楽しみにしましょう。

 そして美形といえばもう一人の美形、蒼鉄先生は相変わらずの謎めいた大人ぶり。第一話冒頭の剣戟シーンから、既にただ者ではないことはわかっていましたが、「覇者の首」のことすら知っている様子で、耀次郎を驚かせます。が、それ以上に気になったのは、芝居に五人の悪鬼羅刹を登場させていたこと。なぜ蒼鉄は敵の数を知っていたのか――日本の明日を憂えているのはわかりましたが、さてそれではどうするつもりなのか。
 そもそも彼は何故、赫乃丈一座で座付きの戯作者となっているのか。耀次郎と赫乃丈一座の出会いは偶然だったとしても、その後の展開は果たして偶然なのか、気になってきました。

 そして次回。この番組の次回予告は毎回絵が入らない、ナレーションだけなので今ひとつ寂しかったのですが、第五話の予告は、悪鬼羅刹の其ノ三から五までがひたすら名乗りを上げるという内容で、絵が付いていないのがかえって想像力をかき立ててくれて良かったですよ。公式サイトの予告を見ると、いよいよ「覇者の首」の力の一端が現れるようで楽しみです。


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