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2006.11.25

「幕末機関説 いろはにほへと」 第八話「仇討本懐なる」

 このままでは歴史が変わる…という展開で終わった前回を引き継いで始まった「幕末機関説 いろはにほへと」第八回。中居屋一味の陰謀あり蒼鉄の暗躍あり、そして美形同士の激突(追いかけっことも言う)あり、赫乃丈一座の敵討ちありと、盛りだくさんの内容で、第一部完と言えそうなエピソードを盛り上げています。

 薩摩屋敷に乗り込んできた中居屋一味の操る覇者の首の力により、一触即発となった勝と西郷。覇者の首の毒気に当てられたようにいきり立つ二人は、それぞれ幕府への、島津家への恨み(西郷どん、入水自殺までしたもんな)を露わにして刀を交え、首はそのどちらかに取り憑いて世を混乱に導こうとしますが…
 その薩摩屋敷に潜入してきたのは耀次郎と赫乃丈一座。薩摩屋敷と言えば、時代ものでは難攻不落のイメージがありますが、事件が起こる前は和平ムードで酒盛りだったし、ええじゃないかの流れの中でもぐりこんできたのは頭脳プレーの勝利というべきでしょうか。

 そして耀次郎の前に立ち塞がるのは金髪碧眼のガンマン・左京之介で――耀次郎は赫乃丈を先に行かせ、ここから始まる美形対決。全般的に作画は微妙でしたが、まずはファーストコンタクトの超至近距離からの刀対銃のアクションはなかなか見応えがありました。刀の柄で左京之介の腕を払い、捌いて銃口を躱す耀次郎の動きは、なるほどこういう戦い方もありかと感心したり納得したりしましたが、これはまだ戦いの序の口。
 その後は延々と薩摩屋敷の中を走り回りながら、撃っては躱し、斬っては躱しの刀対銃のマラソンマッチ。ざっと見たところでは、こういう戦いでの経験値は上らしい耀次郎が押していたように思いますが(というより、銃弾二連発を刀で止めてみせた耀次郎が異常。刀身で受けるのは心得としてどうかと思いますが、そんなこと言っている場合じゃないか)、とにかく屋敷の中を立体的に、小道具も使いまくって展開されるバトルは実に面白い。二丁拳銃構えて飛び出しておいて一発しか撃たない(しかも躱される)左京之介は実はかなりへっぽこなのでは…という疑惑も生じましたが、それはともかく、ラストの耀次郎三角飛び斬りに左京之介十字受け、互いに武器を失ってからの隠し武器勝負という流れは実に良かったと思います。

 と、その頃、物置に籠もって怪しげな香を焚いていた蒼鉄。充満したその煙は竜の如き姿となって覇者の首を絡め取り、前回登場した壷の中に首の力を見事封印…なるほど、前回中居屋に接近したのは何故かと思いましたが、彼らをのせて直接行動に出させておいて、発現した首の力を横から奪うとはなかなかの策士ぶりであります。
 その勢いで中居屋の配下を次々と斃し、そのまま怪人・覇多冥風も蹴り飛ばした刀で串刺しにして(ずいぶんあっさりと退場したなー)そのまま脱出。追いかける耀次郎の前には無数の亡霊剣士が現れ…なんだか早くも首の力を有効利用しているようです。

 そして得意の絶頂から一人裸で放り出されたのは中居屋。折良く(折悪しく)そこに赫乃丈一座が現れ、遂に復讐の刃が叩き込まれることになりますが、止めを刺そうとした赫乃丈の刀を撃ち飛ばしたのは左京之介――なんだか格好良いことを言っていましたが、もしかしたら赫乃丈の手を汚させたくなかったのか、とも思えます。赫乃丈が屋敷に潜入してきた直後、彼女の容にロケットの中の女性(たぶん母)の面影を見てためらうシーンもありましたしね(赫乃丈を見たのは初めてかねえ? と思いましたが、舞台上は化粧してたしなあ)。

 それにしても本作、最近(特にアクションの面で)失速が感じられましたが、今回のアクションは本当によかった。毎回これくらいやってくれると神なんですが(無茶言うな)。あと、不知火小僧のおっぴろげジャンプズバットアタックには驚かされましたよ。よく見たら一番露出度高いしな、不知火。

 さて、怒濤の勢いで中居屋一味も退場して全く先が読めなくなりましたが、次回は――沖田総司登場!? おりょうさんも登場しましたが、そういえば今回のラストでは、竜馬が唯一、覇者の首の魔力に屈しなかった男だったとさらっと語られておりましたね。


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