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2006.12.03

「黄金の忍者2 根来忍軍の野望」(再録)

 絶対の死地で伝説の「黄金の忍者」の奥義に触れた青年忍者・江ノ市之丞は、不思議な魅力を持つ男、秀吉の元に身を寄せる。一方、市之丞の宿敵にして戦友・鳶尾左近は、服部忍軍との死闘で重傷を負ったところを、謎の忍者たちにより拉致される。この二人の周囲に次々と起こる怪事件。その背後には、根来忍軍の邪悪な野望があった…。

 前巻のラストシーンから始まる続編たるこの作品、以前は周囲の思惑に振り回されまくっていた市之丞君も配下を背負い込むこととなってリーダーとしての苦労を味わうのに加えて、我がものとしたはずの黄金の忍者の境地も…と、相変わらず悩みは尽きず。お人好しぶりも相変わらずで、今回も窮地に陥りまくっています(こりゃもう一種の芸風ですな)。

 と、ストーリー運びは相変わらず達者なのですが、物語の中核となる仕掛けの方もひねってあって楽しめます。
 ネタバレになりかねないので詳しくは書けませんが、この作品の中で示された秀吉像は、なかなかに斬新で、おそらくは今までなかったアイデア。そのインパクトは、今回の敵である根来忍軍の存在が一歩間違えるとぼやけかねないほどのものでしたが、その根来忍軍の方にも色々とひねった仕掛けがあり、一筋縄ではいかないクライマックスが用意されていて楽しめました。

 思いっきりラストは後に引いていますので、続編も期待しましょう。


「黄金の忍者2 根来忍軍の野望」(沢田黒蔵 学研M文庫) Amazon bk1

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