「天保異聞 妖奇士」 第十六話「機の民」
何者かに狙撃された勘定奉行・跡部能登守。小笠原は妖夷の存在を疑い、奇士たちは調査にあたる。その頃、アビは町で機の民マスラオと再会するが、マスラオはアビを掟を破った者として殺そうとする。姿なき狙撃犯とマスラオの関係を疑う往壓たちは彼の元に向かうが、マスラオを追う中でアビの姉・ニナイがかつて妖夷に攫われ、アビはそれを追って奇士になったことを知る。マスラオは、薬種問屋の山崎屋でニナイを見たと告げるが、その寮には、奇しくも宰蔵たちが用心棒として張り込んでいた…
○音も火薬の匂いもしない鉄砲で狙撃される跡部能登守。犯人らしき男は銃を火にくべていますが…
○山崎屋で不思議な甲骨文字を見せられる小笠原様。往壓も読みとれないそれは今後の展開につながっていくのでしょうか…。しかし、往壓を門前の小僧扱いする小笠原様は結構見栄っ張り。そして主人は小笠原様に用心棒周旋の依頼を。
○新しい仕掛け扇子を手に入れて喜ぶ宰蔵。一方、宰蔵についてきたアビはどこかで見たようなファッションのメガネ青年に目を留めて…と思えばそれは宰蔵の扇子を作ってくれたマスラオさん。
○逃げ出したマスラオを追いかけたら、実は罠にはめられたのは自分、変な器具に緊縛されて吊されてしまうアビ。よくもこんなものを持ち歩いていたものだ…と思ったら、おお、絡繰り応用の器具のようです。地の神=妖夷を倒しているアビを、掟を背いた者だと罵り、殺そうとするマスラオ。大したテクノロジーを持っているのに意外と信心深いんだなあ。というよりアンタ後に思いっ切り掟に背きまくるくせに…
○と、さも当然な顔をして円盤馬七に乗ってアビを助けにくるアトル。便利すぎる。
○火器のスペシャリストのえどげんでもわからない狙撃者の正体を推理する奇士たち。相変わらず絵がへたくそな小笠原様は、狙撃者の正体を鳥居の手の者、しかも妖夷の力を使ってるかも…と、素人目にも見当違いとわかる推理を展開します。
○阿部老中のの護衛に回る小笠原様と往壓・アビ。一方、宰蔵とえどげんは山崎屋に用心棒に。相変わらず男前すぎるえどげんは、何故か襟巻き着用です。それにしてもこの男、ノリノリである。
○警護空しく狙撃事件発生。捜査に当たる一行の前に、何故かバーローこと狂斎登場。馬七とアトルまでやってきて、もう隠す気ないだろ小笠原様。
○池に捨てられた紙を見つけて、紙製の鉄砲ならば…と思いつく狂斎。空気鉄砲のこと知ってるのに今まで気付かなかった小笠原様って…
○やたらと行動力と推理力のあるバーローは芝居小屋で小道具を作っていたマスラオ様のところに。また主人公が誰だかわからない状態に…
○先を越されたくせに偉そうなアビはマスラオさんを追いかけるも、プロペラこけしで襲われて転落。しかし再び円盤馬七に救われるアビ。本気で便利だ馬七。
○走りながら拾った木材で何か細工して…と思ったらいきなり絡繰り人形ですよ! 先行者みたいな絡繰り人形に押し倒されて腰カクカクされるアビはカッコ悪過ぎる。主役エピソードなのに…
○アビをかばって飛び込む往壓に驚くマスラオさん。仲間だからとさらりと言っちゃう往壓にアビメロメロですよ(多分)。そこに追いついたアトルは、ニナイという名を呟きます。
○妖夷と身近に暮らしていたというアビ。…が、ある日超美形のニナイ姉さんは妖夷に攫われて、それ以来アビは山を捨てて妖夷を追う身となったのでした。
○山崎屋の寮にニナイがいると告げるマスラオさん。その頃、二人仲良く(?)床を並べていた用心棒のえどげんと宰蔵は、部屋の天井に張り付いた妖夷を発見して…
○それにしてもこの番組のすぐ後にカッパ映画のコマーシャルは勘弁していただきたい
アビ篇スタートの今回は、早くも山の民であるアビが、何故江戸の町で妖夷退治に加わっているのか、その理由である過去の事件が語られました。
しかしそれ以上に目立ったのはマスラオさんの活躍。走りながら木材拾って絡繰り人形を作ってしまうのにはひっくり返りました。真面目に色々推理した小笠原様たちがかわいそうになるほどのオーバーテクノロジーぶりです。さすが、幕末に変形巨大ロボを作る人は違うよな。
ちなみにマスラオ役は浪川大輔氏。「いろはにほへと」の耀次郎役であります。氏は何だか最近時代劇アニメ常連になりつつある…ってのは言い過ぎか。
しかし次回予告で国津神いう言葉が出てくるのが気になります。仮に妖夷が国津神――おそらくはマスラオの言う地の神――と呼ばれる古き神の眷族であるならば、この物語は、単なる妖怪退治ではなく、神殺しの物語であるということでしょうか。
だとすると、江戸と明治という、古き時代と新しい時代の切り替わりが迫っている天保という時代にこの物語が展開されることにも、意味があるのかもしれません。
一方で気になったのは、アトル・雲七・狂斎の三人(?)組が便利な存在として活躍しすぎていること。往壓たち奇士が、それぞれの形で、時代の制約に縛られた存在として設定されている一方で、こちらの三人は束縛から自由な形で――本来であれば一番不自由なはずのアトルも含めて――動かされている感があります。
様々なキャラクターがいるのは良いのですが、あまりいきすぎると折角の奇士の設定が霞むのでは…と、余計な心配をしてしまった次第です。
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コメント
コメントでは初めまして、TBでいつもお世話になってる『月の砂漠のあしあと』の涼木です。
国津神>妖夷という分類があまりの幅広すぎるので、どう捉えていいか迷いますよね。
国津神という言葉が出てきましたけども、この言葉一つとっても色んな意味で非情に複雑なだけにこの作品がそれをどういう風に捉えてるのか解らないうちはウカツな事が書けないのでちょっと困惑気味です(笑)
前島聖天が祀っている神が解れば、ヒントになるかなぁと思うんですけども。
妖夷が自然に関りの深い存在が多いので、元閥が銃器を使っているのにも意味があるのかなぁと。
アトル達>2クールに入って、アトルを軸に持ってくる動きが活発なので、雲七や狂斎はその為に居るんじゃないかと考えています。
雲七はレーダー、足、何でも知ってる情報源として、主にアトルが関るキッカケとしてほぼ必ず関ってますし、狂斎の推理力はアトルが核心に近付く為に必要なんじゃないかと思っています。
この便利な二人(?)とオフタイムの自由っぷりがないと、フェードアウトしそうですし。
前回の遊女の話では特に簡単にホイホイ堀を越えちゃうアトルの存在が、一番の疵だったんではないかとヒソカに思っています(爆)
投稿: 涼木 | 2007.01.31 23:35
すいませんちょっとだけ付けたしです。
異界は取り合えず、『生命の原初の混沌』と考えています。
投稿: 涼木 | 2007.01.31 23:43
涼木様はじめまして。こちらこそいつもお世話になっております。
妖夷の起源については、正直なところ単一なものではなく(というのはこれまでの物語からも明らかですが)、その意味では国津神という言葉に妖夷の全てがあるように考えてしまうのは危険(というのは大げさですが)ですし、物語の幅をかえって狭めてしまうのではないかな、といまになってはちょっと反省しています(笑)
元閥にしても、神官という立場ですが特にその手の力を使ってくるわけでもなく、謎が多いですね。
アトルについては。あの二人がいなければ物語からフェードアウトしてしまう、というのは確かにおっしゃるとおりですね。改めて、難しいキャラだなあと思います。なまじほかの部分がきっちりと描写できているだけに、素顔でホイホイと出てきてしまうアトルの存在が浮いていると言えば浮いているのですが、そこを突っ込むのは野暮というものかもしれませんね。
何はともあれ、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
投稿: 三田主水 | 2007.02.01 00:19