「シグルイ」第八巻 剣戟の醍醐味ここにあり
ウワサにはなっていたけれどもまさか本当にアニメ化されるとは思わなかった「シグルイ」ですが、その発表とタイミングを合わせるように単行本第八巻が発売。いよいよ藤木vs伊良子の最初の真剣勝負開始、というところで、全編これ決闘血闘、ただただ二人の剣士が激突するというチャンバラファンにはたまらない内容となっています。
内容的には本当に藤木vs伊良子の決闘のみ。単なる野試合ではなく、正式の仇討ち試合として行われるこの勝負、これまで登場した(そして生き残ってきた)登場人物の多くが一堂に集い、二人の死闘の行方を見届けることとなりますが…
その死闘の様は、まさに一進一退、剣戟の醍醐味ここにありとしか言いようのない見事なもの。普段は過激な描写や独特の台詞回しといった、いわばネタ的部分で人気を博している面も否めない本作ではありますが、決してそれだけが本作の魅力ではないことを、この巻ははっきりと示しています。
まったく、現在の漫画界で剣戟を描かせたら五本の指に入るのでは――と言っても決して大げさではないことは、本書をご覧になった方であれば皆わかってくれるのではないかと思います。
個人的に強く印象に残ったのは伊良子の星流れを藤木が秘術・茎受けで迎え撃ったシーン。
藤木の表情は、前の巻から、それまでの描写と明らかに異なる何だか仏様のような透き通った表情に描かれていて違和感を感じていたのですが、それはやはり意図して描かれていた様子。そんな静謐な表情が、一転、獰猛なものに転じる様は、藤木という、普段は分厚い殻に己を潜めた(その意味ではまさに「貝殻野郎」であります)男が内に秘めたものを顕したものであり、圧巻でありました。
この先の展開は、原作ファンとしては見たいような見たくないような…ではありますが、常にファンの期待をいい意味で裏切ってきた本作、最新刊を読み終えたばかりですが、早くも次が楽しみでなりません。
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コメント
私もはまってます。
小説も、改訂版 と 旧版と両方穴があくほど
読み込んでしまいました。
がま剣法キャラがまた今後のストーリーに食い込んで
きますな
楽しみに9巻を待とうと思います。
投稿: sadaijin | 2007.03.27 20:48
sadaijinさんこんにちは。
これだけ原作から改変されているのに、原作ファンにも受け容れられている漫画も珍しいですね。
がま剣法に限らず、できれば全勝負描いていただきたいですね。
投稿: 三田主水 | 2007.03.28 01:19