「柳生十兵衛七番勝負 最後の戦い」 第七回「柳生の剣」
さて、「柳生十兵衛七番勝負 最後の戦い」も残すところ今回を入れてあと二回。今回は冒頭から母との対面-実の弟である兵衛との対決と雪崩れ込み、その一方でいよいよ由比正雪の決起が近づいて…と怒濤の展開であります。
が、残念ながら兵衛は最後までちょっとすっきりしないキャラだったなあ…という印象があります。設定的には実においしいキャラではあったのですが、正雪・忠弥・頼宣・そして各話のライバルとただでさえ十兵衛と対立構造にあるキャラが多すぎる今シリーズにおいては、今ひとつ、存在感をアピールできていなかったように感じます。
ぶっちゃけてしまえば、あまり強そうに見えなかった(これは役者と演出と双方に原因があると思いますが)というのが最大の理由ではあるのですが…でも、又十郎には勝てそうだけど。
同じような立ち位置にあった、第五回に登場した水野美紀様演じる笙との絡みがもう少しあれば…要するに水野美紀様がレギュラーだったら…また違った印象のキャラクターになったとは思うのですが。
となんだかんだ言いつつも、やむなく十兵衛に斬られた後に、その腕の中で息絶えるシーンはグッときました。
…しかし、この展開で一番割り喰ったのは、シリーズ第一作からのレギュラーなのに、あっさり殺されてフェードアウトした寛平さんだと思います。
そして後半では、本作の裏主人公(俺ビジョン)と言うべき正雪の決起が迫りますが、ここで正雪が暴走。伊豆守の間者や頼宣らの裏をかいて一日早く決起というのは、なるほどと感心させられる策ですが、そこで全部燃やし尽くしてやるのだ! と言い出したものだから配下はドン引き。
ことにただでさえ人の良い忠弥は己の良心と正雪への愛忠義との板挟みになって苦しむわけですが…そこで忠弥は十兵衛に本当の決起日を明かしてしまって――バカ! 忠弥のバカ!
…いや、忠弥はこれでいいのでしょう。正雪と十兵衛、二人の友(と敢えて表させていただきます)のために、己が裏切り者の汚名を着たとしても、あえて二人の想いを遂げさせるように行動したのでしょう。
それにしても、一度は正雪を斬ってでも止めようとしていた忠弥がそれを思いとどまったのが、正雪の熱い抱擁母のことを(そして忠弥のことを)嬉しそうに語る正雪の姿を見てというのが何とも…
事破れた後のことを考えるとあまりに可哀想なので、そのままフェードアウトして欲しかった母のことを言い出すのは反則です。もはや引くに引けない状態とはいえ、この辺り、何らかの救いを用意してくれたら嬉しいのですが…
何はともあれ、次回最終回。タイトルはもちろん「最後の剣」ということで、出来る限り多くの人間が幸せになれる結末であって欲しいものです。
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