「立体忍者活劇 天誅 忍凱旋」 忍者RPGの一つの到達点
この年末年始はまとまった時間があったのでゲームも色々とできたのですが、その中で思わずはまってしまったのが、この「立体忍者活劇 天誅 忍凱旋」。今なお続く忍者ステルスアクションシリーズの第一作(の完全版)ですが、発売から約十年も経っているにも関わらず、今やっても面白いのには驚きました。
今頃になってシリーズ第一作に手を出したのは、今まできちんと扱っていなかったのを思い出したからなのですが、グラフィックのクオリティやシステムの洗練度合いで見れば、到底最近の作品には及ばないものが、これほど面白いというのは、やはりゲームの根本の部分がよくできていたのだな、と感心させられます。
冒頭にも書いたとおり、本作はジャンルで言えばいわゆるステルスアクション。敵と真っ正面からバリバリ戦うのではなく、むしろ正面からの戦いは避けて、隠密活動を旨として任務を達成する類のゲームであります。
しかし「メタルギアソリッド」シリーズのように、このジャンルの作品のほとんどが現代~近未来を舞台とした軍事アクションなところに、時代もの、それも忍者の世界をもってきたのは、まさにコロンブスの卵。考えてみれば至極当たり前の組み合わせではあるのですが、やはりこれはスタッフの着眼の妙を讃えるべきでしょう。
時代ものファンとしても、誰でも子供のころ興じた(…もしかして最近はやらない?)忍者ごっこを何百倍もリアルに、スリリングに実現してくれた本作の登場は、ちょっとした驚きでした。
役柄を演じるという意味において、忍者RPGの一つの到達点とすら言えるのではないでしょうか。
ちなみに私の場合、精密動作性:E(超ニガテ)なので、隠密どころか、すぐに敵に見つかって、真っ正面から斬り結ぶバイオレンス忍者になってしまうのですが、これはこれで一種の忍者のあり方だ(?)。
あと、モテモテ王国のファーザーの如く犬の群れに追いかけ回されて瀕死になったり。
もちろん、リアルという点では、ポリポリした粗い画面はさすがに今となっては見劣りがしますが、闇夜が背景のほとんどを占める本作においては、不思議な味わいを醸し出している…というのはひいきの引き倒しが過ぎるでしょうか。しかし、闇夜に雪が降る中の任務など、これはもう時代劇の美学が横溢、と言ってもいいように思います。
いずれにせよ、十年間にわたり、三世代のゲーム機で脈々と続いているシリーズの人気の理由を、今更ながらに感じた次第です。
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