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2008.03.31

「マーベラス・ツインズ 2 地下宮殿の秘密」 第二のライバル登場?

 ライトノベルレーベルからの邦訳出版ということで、ファンの間でも賛否分かれた(けれどもそんなのとは無関係にやっぱり面白いものは面白い)古龍の武侠小説「マーベラス・ツインズ」の、第二巻が発売されました。
 いやはや、こうして見ると第一巻はまだまだ序の口、古龍節はいよいよ冴え渡って大変なことになっております。

 古龍といえば、個性的(すぎる)キャラクターの大量投入・大量退場と、超展開とすら言える起伏に富みすぎたストーリー展開が特徴であり、魅力かと思いますが、それはこの第二巻でも健在。というより全開。
 何故か自分を殺そうとする完全無欠の美少年・花無缺から何とか逃れたか主人公・小魚児が冒険の末に飛び込んだのは、十大悪人の一・色妖女(この渾名でキャラがわかるかと思いますが…)が美少年たちを侍らして君臨する地下宮殿。小魚児は、色妖女の奴隷にされていた陰険狡猾(しかしヘタレ)の美少年・江玉郎とともに宮殿を脱出して、その更に地下に広がっていた謎の迷宮に迷い込むのですが――と、大体この辺りで第二巻の半ば辺りであります。

 ここで登場する江玉郎は、花無缺とは別の意味で小魚児のライバル的雰囲気を持つキャラクター。花無缺が、小魚児とは性格も行動も正反対の持つ人物だとすれば、江玉郎は、行動は同じベクトルながら、性格は(花無缺とは別の方向で)小魚児とは正反対のイヤ~な奴という形に設定されています。
 小魚児は、主人公にしてはかなりダーティーな言動を見せながらも、しかしその一方で英雄の気質を持つ複雑なキャラですが、その小魚児のキャラを際だたせる、似て非なる存在として江玉郎は設定されたのかな、と感心した次第(こっちの勝手な思いこみのような気もしますが…)。

 さて物語の後半では、地下宮殿を脱出したものの、ある事情から手鎖で繋がれてしまった小魚児と江玉郎の道中記が繰り広げられた末に、ラストには再び花無缺とヒロイン鉄心蘭が登場。あまりに意外な(というより意外すぎる)形で命を救われた小魚児の行く先は…と思えば!
 駆け抜けた武林の果てに、時は流れた! と言わんばかりにいきなり三年経過するラストに唖然としたところでどうもこれからが物語の本編となる様子。まさかこんなところでまで一杯食わされるとは…

 どこが伏線でどこがハッタリなのか、主人公のキャラそのままに謎だらけの物語ですが、果たして三年後の登場人物たちはいかがあいなりますか。来月発売の第三巻も楽しみです。


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