「太王四神記」 第01話「神の子 ファヌン」
私は個人的には韓流ドラマというものにはまるで興味はないのですが(母が見ていた「チャングム」は、横で結構楽しく見てしまいましたが)、そんな私にとってもどうにも気になる作品が一つ…それが昨日からNHK総合テレビでも放送が開始された「太王四神記」であります。何せ、舞台は四世紀の高句麗(と超古代の朝鮮)、物語は天から下された四神の力を巡る大活劇ということで、時代伝奇に国境はない(ってフレーズをいま思いついた)私にとっては、これは見るしかない、と。
その第一話は…いや、色々な意味で想像以上の出来でありました。
第一話で描かれるのは、メインの舞台となる時代から実に二千年前、地上の民を導くために降り立った神・ファヌンと、強大な火の力でもって侵略を続ける虎族の火の巫女・カジン、そしてその侵略に立ち向かう熊族の女戦士・セオの三人の物語。ファヌンがセオを、カジンがファヌンを、セオがファヌンをそれぞれ愛したことから起きた悲劇が、火の力=朱雀を暴走させ、遂には世界を一度は壊滅させるという壮大な(壮大すぎる)お話であります。
――って、内容的にもビジュアル的にも、あまりにもド直球のファンタジーで、ヨン様目当ての方はついていけるのかしらん、と余計な心配をしてしまいましたが、しかし三人の気持ちの行き違いでドラマをぐいぐいと引っぱり、それがこの作品ならではの一大クライマックスにつながっていくというドラマ構成には、なるほどな、と感心しました。冷静に考えれば(特にこの手の作品には馴染みのない方にとっては)結構入り組んだ設定ではあるのですが、それをこうしたドラマ展開で、一時間強の中で全て説明してしまうのは、さすがは、と言うべきでしょうか。
(何となく作品を通しての終盤の展開まで予想できてしまうのは、これは狙っているのでしょうね)
そしてビジュアルについても、かなり…いや相当気合いが入っていて、私的には大満足でした。基本的にCGバリバリではありますが、特に人間同士の乱戦シーンなど、見せ方使い方を心得ている印象でこれも感心。
そしてクライマックスの黒朱雀(というネーミングもたまりませんな)vs三大聖獣(こちらも白虎=風伯、青龍=雲師、玄武=雨師というネーミングがうれしい)の大決戦は、これでもかと言わんばかりの気合いの入った映像で、掴みの、そして予算も潤沢にあるであろう第一話ということを差し引いても見事な映像で、まさかこんなところでここまでの怪獣バトルを見ることが出来るとは、と唸らされました。いや、どう考えても第一話だけの出番だと思いますが。
…まあ、よりによってファヌンとセオの間に生まれた子供が檀君(ってファヌンって桓雄のことか!)だったのにはのけぞりましたが(この第一話の元ネタについてはこの辺りを参照のこと)、まあこの辺りはあまり難しいことを考えずに見るのが吉でしょう。
にしても檀君といい大怪獣決戦といい、ラストに登場する主人公の宿敵・火天会の大長老がどこからどう見ても朝鮮妖術師以外の何ものでもなかったことといい、どこぞの時代伝奇小説家が「我が世の春が来たぁっ!」と喜んでいるのが目に浮かぶような気がします。
いや、まさかNHKでこんな世界観のドラマを見ることができるとは思いもよらなかったですよ。
と、そんな間違った見方は置いておくとして、これだけ第一話で頑張ったのを見せられると、これは第二話以降も見ざるを得ないな、というのが正直な感想です。この二千年前の因縁が、巡り巡って四世紀の朝鮮を舞台に果たしていかに展開していくのか。個人的には大長老と、まだ登場していませんがいかにもいかにもすぎる白虎と青龍の継承者に期待しつつ、この先を見守りたいと思います。
関連サイト
NHK 総合テレビ公式
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