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2008.06.30

「無限の住人」第23巻 これまさに逸刀流無双

 いよいよ七月より放送開始のアニメにタイミングを合わせるように「無限の住人」最新巻が発売されました。最終章に突入してから、剣戟アクションシーンがぐっと増えた感のある本作ですが、この第23巻では、今までにましてのアクションシーン満載であります。

 前巻で江戸を離れることとなった逸刀流ですが、もちろん彼らが今更おとなしく幕府の言うことを聞くわけもない。加賀編のように、陽動作戦に出た天津たちの向かう先は…というわけで、この巻の主役は、完全に彼ら逸刀流であります。
 久々に登場した(といっても、まだ早過ぎるんじゃない? という感も正直ありますが…)ある人物と万次との対話から、本作のテーマらしきものがぼんやりと見えたり、凛と凸凹くノ一コンビの漫才があったり、何だか作者の分身のように思えてきた尸良の鬼畜ショーありと、その他のキャラクターたちの動きも色々あるのですが、その後、単行本の八割方を費やして描かれる逸刀流の大暴れぶりの前には霞みます。

 逸刀流――天津影久、凶戴斗、馬絽祐実、怖畔と、残った中ではほぼ主力というべき四人の剣士が向かう先は、何と江戸城。それもその大手門を堂々と突破して、群がる城侍を斬って斬って斬りまくる様は、まさしく逸刀流無双とも言うべきもの(しかしどうやったら怖畔は殺せるんだろうね)。

 特に印象に残ったのは、馬絽祐実の大暴れ。
万次に似ているくらいしか印象のある馬絽ですが、刀身に穴を空けて軽量化した野太刀という本作ならではの得物を振るい、鬼神の如き大活躍であります(さすがに爆裂弾はずるいと思いますが)。

 そして血戦に次ぐ血戦の果てに、天津らが取った行動、彼らの江戸城乱入の目的とは――おそらく時代もの史上でも屈指の馬鹿馬鹿しくもとんでもない、そして痛快極まりないもの。
 普通で考えれば、全くもって正気の沙汰とは思えない行動ですが、しかし彼らの存在意義を考えれば十分に頷けるものがあります。そしてそれと同時に、そうせざるを得なかった彼らの姿に、何とも言えぬもの悲しさを覚えるのですが――

 しかし、行きはよいよい帰りは――というわけで、さすがに帰りは行きのようにはいかず、満身創痍となった逸刀流の中で、ただ独り残って追っ手に立ち向かうのは馬絽祐実…
 さてはあの大暴れは死亡フラグであったか!? とまでは申しませんが、さてこの先彼を待ち受けるドラマは、というところで次巻に続くきます。


 しかしさすがにネタキャラとはいえ大番組頭の名前に雲霧仁左衛門はないよな。


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