「大江戸ロケット」(漫画版)第2巻 リフトオフはまだ遠い?
つい先だってDVD最終巻が発売された「大江戸ロケット」、こちらはまだまだ続く漫画版の第二巻が登場です。
お話的にはまだまだ序盤の印象、第一巻で鉄十との龍勢対決に勝ったものの、清吉のロケット開発はまだまだ孤立無縁。舞台やアニメ版ではわりあいあっさりとロケット開発に着手できた清吉ですが、先はまだまだ長そうです。
しかし、そんな孤独な清吉の描写があるだけに、彼と、それ以上に孤独な存在であるソラとが惹かれあっていく様が、なかなかいい感じに描けていて、本作のリアルなタッチが、良い形で作用していると感じられました。
(この二人に限らず、登場人物の背負ったやるせなさというか煤けた感じは、この漫画版独自のテイストでしょう)
その一方で、この巻のハイライトと言うべきは、空の獣と黒衣衆の総力戦。本作での黒衣衆は、いかにも特殊能力者、というビジュアル&能力でなかなか楽しいのですが、そんな彼らでも及ばぬ空の獣の猛威たるや…
何しろサイズがちょっとした怪獣サイズに巨大化、江戸の街を破壊しながらの激斗は、普段のタッチが静かめだけに、なかなかインパクト大であります(そしてその戦いがまた、清吉の無力感に繋がっていく展開がまたうまい)。
しかし個人的に最も驚かされたのは、幕府が――というより水野忠邦が――既に空の獣の存在と力を知っており、それを手に入れんと、虎視眈々と狙うという展開であります。
舞台やアニメでは、鳥居様がこの役割を担っていましたが、こちらではワンランク上の水野忠邦が出張ってきたわけで、ギャグやナンセンスでごまかせる作風でもなく(?)、さてこの先ソラと清吉の運命がどうなることやら、案じられます。
案じられると言えば、物語の展開ペースがかなりゆっくりなのは、ちと心配になりますが、描くべきを一つ一つ描いているゆえとは思います。
もう一つの「大江戸ロケット」がリフトオフするまで、こちらも腰を据えてじっくりと付き合うとしましょう。
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