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2008.09.24

「絵巻水滸伝」 第七十三回「天意」 納得の行方は――

 月に一度のお楽しみ、「絵巻水滸伝」が更新されました。最新回では、朝廷が、梁山泊を招安、すなわち朝廷せんと働きかけて来ることになります。朝廷とは因縁浅からぬ者も多い梁山泊にとっては、晴天の霹靂ともいうべき出来事ですが…

 招安とは、大まかに言ってしまえば、朝廷が賊徒に対して身の安全と身分の保証と引き換えに投降し、国軍となるように求めること。朝廷にも賊にとっても、ずいぶんと虫のいい話に聞こえますが、それはすなわち、双方にとってメリットがあるということであります。
 歴史上も、このシステム(?)が適用されたケースは多いようですし、「絵巻水滸伝」でも、前回顔を見せた節度使は、これによって罪を許された者です。

 しかしながら、梁山泊の好漢たちが、今更こんなエサで動かされるわけがない。ましてや、元官軍組にとっては、成り行きもあったとはいえ、自ら失望して飛び出してきた古巣に、何故戻らねばならないのか、ということになります。

 さて、現代の読者の目から見て、水滸伝の原典には、ちょっと素直には納得出来ないような展開が何箇所もあります。この招安のくだりはその最たるもの、黙って梁山泊で楽しく暮らしていれば良かったものを、何ゆえわざわざ朝廷にこき使われ、揚げ句斃れていかねばならないのか…と思わなかった読者はいないのではないでしょうか。
 この「絵巻水滸伝」は、これまで原典の納得がいかない部分に、本作ならではの解答・改変を行うことで、水滸伝ファンの溜飲を下げてきましたが、さて、この招安をどう扱うのか…

 幸い(?)今回の招安は不発に終わりましたが、今後の展開の中で、どのように我々を納得させてくれるのか――それは、梁山泊の面々を納得させるのよりもある意味難しいかもしれません――大いに気になります。

 さて次回は、招安が決裂して高キュウ軍と梁山泊軍が正面衝突、梁山泊の二大軍師、呉用と朱武をも苦しめる官軍側の軍師が登場とのことですが――やはり、よそ様の水滸伝でも大活躍したあの人物が登場でしょうか。楽しみです。

 しかし、よそ様の水滸伝と言えば、「梁山泊は山賊だけど、“反乱軍”じゃないんだな」という台詞が、何とも痛烈な皮肉に見えてしまった…のは穿った見方かしら。


公式サイト
 キノトロープ/絵巻水滸伝


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