「箱館妖人無頼帖 ヒメガミ」第3巻 いよいよ物語は核心へ!?
残念ながら掲載誌の「マガジンZ」は休刊が決定してしまいましたが、作品自体は絶好調の「箱館妖人無頼帖 ヒメガミ」第三巻が発売となりました。
この巻では、いつかは登場すると思っていた幕末の有名人二人がついに登場、さらに第二巻ラストで登場した新たなるヒメガミたちも加わって、更なる大乱戦、大混戦が描かれることになります。
この第三巻で舞台となるのは、黒後家楼なる妖しげな外国人娼館。通常では成り立たないような経営で客を集めるこの娼館が出来て以来、かなりを倒したはずの妖人たちが大幅に増加、しかもその正体は、何の変哲もない町の日本人たち…
この異常事態に彪とヒメカは、黒後家楼に潜入することになりますが、そこに壬生狼=彪を追う箱館警察の警部長も潜入、さらに新たなる三人のヒメガミまで再び登場時…と、実に良い具合に賑やかな展開となっています。
しかし何と言ってもこのエピソードの目玉は、黒後家楼に現れた二人の男。「明治」で「新選組」と言えば、この人とこの人、いつかは必ず登場するだろうと思っておりましたが、それぞれ実に「らしい」役どころとビジュアルで登場、かつての盟友の娘である彪と肩を並べて、妖人たちと死闘を繰り広げることとなります。
さて、キャラクター面だけでなく、ストーリー面でも盛り上がっていくこの巻。
父・歳三と彪、そしてヒメカの出会い。新選組と妖人たちとの意外な関わり。細かいところ(?)では彪の師匠の存在や、警部の二重に意外な正体(一つはともかく、もう一つはまだほのめかす程度ですが…)――これまで物語の背後で伏せられていた事実が一つ一つ明かされていき、いよいよ物語が核心に入ってきたことが感じられます。
ここで個人的な感想として正直なところを申し上げれば、これまでの本作は登場人物・舞台設定がある程度伏せられたまま、物語が勢い全開で走り出していて、エンジンが暖まる前にギアがトップに入っていた印象があったのですが、ここに来て、エンジンの回転とギアがガッチリと噛み合った感があります。
かつて幕末の京で繰り広げられた戦いと、明治の箱館で繰り広げられるこの戦い。二つの戦いが交わるところに存在するであろう巨大な謎の全貌が描かれる時が、そしてもちろん、今はまだ未熟――どころか、暴走の兆しまで見えている――彪の成長が、大いに楽しみなのであります。
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