「無限の住人」 第三幕「恋詠」
ずいぶん間が空いてしまいましたがアニメ版「無限の住人」第三話…凛の復讐行の第一歩として万次と対決することとなるのは逸刀流統主・天津の片腕にして空前の変態剣士・黒衣鯖人であります。
天津が逸刀流を結成する前から傍らにいたという、立場的にはかなり重要な位置にいながら、原作冒頭にあっさりと倒された(まあこの頃はこんなに長期連載になるとは思っていなかったわけで…)鯖人ですが、このアニメ版では、鯖人が自分の妻を斬るシーンなど、幾つかのエピソードを追加して、一本丸々、対鯖人戦が描かれています。
この鯖人、異装の剣士が多かった初期のキャラクター(最近でも白髪蟹男とかいますが)の中でも群を抜いた変態剣士。太平の世だというのに鎧兜を身につけた巨漢というのはまだいいとして、何よりも特徴的である両肩の巨大な突起の下は、かつて自分が恋し、殺害した二人の女性の首の剥製…それも上述の自分の妻と、そして凛の母という既知外っぷりです。
このように猟奇もここに極まれりと言うべき鯖人ですが、その行為の根幹を成すのは、己の愛した女性をいつまでも美しいままに保ちたいという想い。それは「永遠」を求めたいという想いの裏返し――嘘か誠か、凛に対しては、凛を殺した後に自分も剥製となるとまで告げているのですから――と言えるのですが、彼の前に立ち塞がる万次は、実にその「永遠」を生きる男であります。
この構図は、アニメオリジナルだったと思いますが、実に面白い。己の求める永遠のために人を斬る男と、求めざる永遠から逃れるために人を斬る男の戦いというは、実に皮肉かつドラマチックではありませんか。
死闘のラストで万次が叫ぶ名台詞「死ねるテメェはしあわせ者だっ!!」が、このアニメ版では、より響くこととなったかと思います。
尤も、そのドラマを描き出すアニメーションとしての絵と動きは今ひとつ…剣戟アクションについては既に期待していませんが(諦め早すぎ)、母の首を見せられて激昂する凛の叫びの画に迫力がないのはいかがなものか。声の方は頑張っていたのに、実に残念であります。
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