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2008.11.29

「デアマンテ 天領華闘牌」第2巻 ユニークな世界の中で

 長崎を舞台とした時代サスペンスコミックの第二巻であります。表の顔は丸山遊郭一の遊女、裏の顔は長崎奉行の密偵である美女(?)・金剛の禿となった少女・かなが、金剛とともに様々な事件に直面し、活躍(はあまりしないかな)することとなります。

 第一巻がプロローグとすれば、今回は、かなと金剛をはじめとして、そこで登場した人物たちがいよいよ動き出す導入編というところでしょうか。物語の本筋であろう、かなの父が濡れ衣を着せられた偽金作り事件については今回は直接は触れられませんが、かなが丸山遊郭で様々な人々、様々な出来事と触れ合う様が、丁寧に描かれていきます。

 この第二巻に収録されたエピソードは、大きく分けて三つ。嫁盗みから逃れた小町娘たちが無惨な亡骸となって発見される事件、夜な夜な丸山近辺に出没するという顔なしの怪人の事件、そして出島の商館に潜入した金剛とかなが出会う哀しい抜け荷事件…
 いずれも派手さはないのですが、それぞれに江戸時代の長崎、江戸時代の遊郭という特殊な世界ならではの物語となっており、興味深い内容となっています。

 そんな世界の中で、かなが戸惑いつつも少しずつ適応していく一方で(碧也先生の絵は、思春期の少女の可愛らしさ、賑やかさを巧みに描きだしています)、相変わらず謎の存在なのが金剛の方。丸山遊郭一と謳われる美貌の持ち主ながら、その正体は実は男。通詞も及ばぬほどの完璧なオランダ語を操り、奉行の密偵として活躍する彼は一体何者なのか――
 それはおそらく、いや間違いなくこれからのお楽しみということだと思いますが、しかしかなに対してひどくぶっきらぼうなようでいて、誰よりも優しいその姿は、本作のもう一人の(真の?)主人公として、大いに好感が持てます。

 もちろん本筋の方も楽しみではあるのですが、もう少し、ユニークな世界とキャラクターたちの姿をゆっくりと眺めていたい…そんな気持ちになる作品です。


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