「主水之助七番勝負 徳川風雲録外伝」 七番勝負「剣鬼 主水之助 対 善鬼」
全七話の番組も今回でいよいよ最終回。ついに主水之助と、宿敵である大峰ノ善鬼が激突するクライマックスを迎えたわけですが…
正直な話、今ひとつ盛り上がりに欠けたかな、という印象でありました。
前回のラストで、これまで仇討ちの旅を続けてきたレギュラーである信太郎が善鬼に返り討ちに遭い、そして今回、善鬼に対して主水之助への刺客依頼(頼み主が何と第二話「人斬り斑平」の回の悪役の兄弟とは…色々な意味でちとびっくり)があり――15年前の因縁に加え、主水之助と善鬼に新たな戦う理由が生まれて…というドラマ展開は盛り上がるのですが、ちょっと15年前の因縁話が弱かったかな、と感じました。
善鬼と完全に正面から対決して敗れた主水之助が、その直後に師までが善鬼に斬られたことに深い悔いを残すのは、主水之助の性格を考えるとよくわかりますが、その際の事実をお勢伊さんに黙っていた理由がちょっと弱かったような。
善鬼は師匠(伊藤一刀斎というのはやっぱり違和感あるなあ…)を殺したのは主水之助と、お勢伊に語っていましたが、どうみても完全な悪人の善鬼がそれを語っても、フェイクとしか感じられなかったので…
もっとも、ここで本当に一刀斎を殺したのは主水之助だった、などの捻りが過去のドラマにあれば、意外性だけでなく、現在の主水之助と善鬼の行動に深みが出たのではないかな…と、誠に僭越ながら思ってしまった次第です。
まあ、柴錬ファン的には、剣鬼としての善鬼が、単なる殺人狂的な描かれ方なのが何よりも残念でしたが…
もちろん、クライマックスの決闘シーンは、過去の決闘の展開をなぞりながらも一瞬の逆転で決まるのが良かったですし、斬られた善鬼の病んだ笑顔と、斬った主水之助の沈痛な表情の対比も、さすがに大ベテランは違うと感じましたし、主水之助もまた剣鬼、というラストはベタながら良い結末だとは思うのですが――
(ここで今回のサブタイトルが「主水之助 対 剣鬼 善鬼」ではなく「剣鬼 主水之助 対 善鬼」なのを思い出してグッとくるわけで…)
何はともあれ、「剣鬼」シリーズをベースとして連続時代劇を作るという、実にユニークかつ野心的な試み――こういう作品を見ると、テレビ東京の時代劇枠は本当に大事だな、と今更ながらに再確認いたします――を見せてくれた本作。最終回でちょっと厳しいことを書いてしまいましたが、まずはラストまで楽しむことができました。
ネット上の感想を見てみると、原作の方まで読んでいる方は少ないようにも感じましたが、これをきっかけに、少しでも柴錬作品を手にとって下さる方が増えてくれれば、嬉しいのですが。
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