「浪花の華 緒方洪庵事件帳」 第6回「北前船始末」(後編)
スタジオパークに、主演のお二人が出演したのに気付かず見逃して己涙目、という個人的な事情はさておき、「浪花の華 緒方洪庵事件帳」第6回、「北前船始末」後編は、ほとんど全編が見所という中身の濃い30分でした。
北前船でやってきた老船頭・卯之助と孫娘のおゆきを巡る今回の物語。前回ラストでおゆきが何者かにさらわれ、ついに卯之助が抜け荷について重い口を開くのですが…
この辺りは原作小説でも同じトリック(?)を用いているので詳細は伏せますが、卯之助の「抜け荷」の正体は、実に意外かつ、この時代の医学事情を考えれば納得のいくもの。
原作でもこの辺りは感心したのですが、ドラマの方では、前編にオリジナルの描写を挿入することにより、この「抜け荷」を求める人々の切実さが、うまく強調できていたかと思います。
しかし、人を救うためのその「抜け荷」は、同時に金儲けのためのものであり、またその手段は、人命を軽視したものであります。
そこで章の怒りが爆発! これまで見たことのないような剣幕で、人の命に関わるものを商売の道具にする者への怒りを爆発させるのでした。
いやもうこれが今回最大のハイライト…初期の情けない表情、最近の向学心に燃えた表情とはまた全く別の表情に驚かされると同時に、また頼もしくなったなあと、何だか嬉しくなりました。
あっ、デレた! 左近がデレた!
と、この後も今回は怒濤の展開。割って入ってきた長州の田舎侍に撃たれる左近殿、意を決して(というか左近と若狭に半ば強制されて)左近から弾を摘出する章、師に逆らってまだ左近を庇う章、そして医師となって種痘と戦う決意を固める章…
特にラストの章の決意は、原作でははっきりとは描かれていなかった部分と記憶していますが、後の洪庵に続くものとしてうまいアレンジであり、このまま最終回でも思わず納得してしまいそうな――
と思っていたら、ラストにもう一回クライマックスが。左近の兄から、面と向かって左近との交際を却下される&若狭が左近の許嫁と聞かされる章…なんかこう、原作とはだいぶノリが変わってきましたが、残り三回、果たしてどんなことになるのか、これはちょっと気になる展開となってきました。
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