「無限の住人」 第七幕「三途」
後半戦に入った「無限の住人」第七幕、前回を受けて閑馬永空編の後編であります。
前回は無骸流のエピソードが挿入されましたが、今回は全編対閑馬戦、微妙に原作と異なる演出がなかなか面白い回でした。
前回のラストで万次が毒に犯されたため、直す手だてを求めて一人飛び出し(このくだり、あれだけ万次が悲惨なことになっているのに意外と取り乱していない凛ちゃんに激しく違和感。にしても独断専行癖はこの頃からですな)閑馬に捕らわれた凛。
彼女に対して閑馬が語る自身の過去と、独自の人間観が今回のハイライトの一つ。
戦国時代、主君のために全てを擲ちながらも、残ったのはただ、蟲に生かされ、死ねない体となった閑馬――彼にとっては、己を含めた全てが地を這う蟲同然であり、空しい命であります。
もう一人の万次とも言うべき閑馬の語る内容自体は、微妙に中二病的ではありますが、しかし原作では台詞のみで語られた彼の過去を、ビジュアライズして描いてみせるなどして、彼の不気味に達観した――達観しようとしている――想いを、それなりにうまく描き出していたかと思います。
そして復活した(この辺り、原作のかなりのご都合主義っぷりを何とかフォローしようとしているのが微笑ましい)万次との対決では、原作では茶屋でのファーストコンタクトで万次が投げかけた「唯な 人の上に立つ事だけは諦めたほうがいい」という言葉がお互いズタズタになりながらの血闘の中で発せられることになるのが、なかなかうまいアレンジ。
この会話がなかった分、前回の茶店でのシーンが薄味に感じられたのですが、しかし、今回この場面でこの言葉が出てくる方がなるほど通りが良く、そして何よりも、この言葉を受ける形で、あの凛ちゃんのヒドイ名台詞「二百年も生きてきて 一度も人の上に立てなかったというなら……」が出てくるのはなかなかよい構成であったと思います。
アクションも――相変わらず大して動いてはいないのですが――見せ方を工夫していて、本作の中ではかなりの健闘ではないでしょうか。特に烏で閑馬の短刀(黄金蟲)を弾いた後の万次の見得がなかなか良いのです。
しかし…今回アニメで改めて見直してみればこのエピソード、「無限の住人」という作品を考える上で実に示唆に富んだ内容であったと今更ながらに気付くのですが――今の作者の筆で描けば、また全く異なる様相を見せたのではないかとも感じます(不死力解明編は、変な方向にすっ飛んでいってしまいましたが)。
そういう意味では、アニメではもっともっと踏み込んで欲しかった…という気持ちもあるのですが、それは贅沢の言い過ぎというものでしょう。
それにしても今回一番のセクシーショットは、緊縛されて舌を出させられる凛よりも、半裸でのたうち回る万次さんだったと思います><
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