「裏宗家四代目服部半蔵花録」第4巻 更に化ける忍者活劇
久々に登場の「裏宗家服部半蔵花録」は、前二巻より「忍狩り」の章が引き続いて展開。
謎の敵による残忍な忍狩りがなおも続く中、お花・慎吾・十兵衛の関係も進展していき、いよいよ作品として化けてきた感があります。
これまでと同様、台風の目となるのは柳生十兵衛。相変わらずウザいほどの人なつっこさと明るさでお花にまとわりつき、お花と周囲を困惑させるものの、しかしもちろんそれはあくまでも仮の顔。
お花こそが服部半蔵花録であるといち早く見破った十兵衛と、弥文&黒岩のベテラン忍びの対決が、この巻のクライマックスとなっています。(このシーンのアクション描写はそれなりに楽しいのですが、もう少し謡をそれっぽくしてくれれば…)
結局お花たちと十兵衛は、和解したとも手を組んだともいえぬ、微妙な関係のままですが、そこに十兵衛自身のお花への想い――彼女の前では十兵衛が微妙に純なところを見せるのがまた微笑ましい――が絡んでいくのも面白い。
さらに、非道な忍狩りに対し、無力な自分から脱するために慎吾が何と十兵衛に弟子入り、お花を挟んでの三角関係はややこしくなるばかりです。
実のところ、今回はお花の活躍(変身)シーンはごくわずかで、彼女の預かり知らぬところで物語が動いている部分が大きいのですが、それでも十分面白いのは、お花周りの人間関係と大仕掛けな謎の部分と、双方のドラマ運びによるものでしょう。
ことに、ついに判明した黒幕の正体と、十兵衛の父・但馬守が語るその黒幕の「描写」には、なかなかうまいものだと感心いたしました。
失礼を承知で申し上げれば、ここにきて更に化けてきたという印象の本作。掲載誌が変更となったとのことですが、これからも変わることなく、いやこれからもどんどん化けていただきたいものです。
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