「水滸伝」 第06回「梁山泊の夜明け」
高求の厳命による必死の捜査の結果、十万貫強奪が露見してしまった晁蓋。宋江らの尽力により逃れた晁蓋らを林中は梁山泊に迎え入れる。しかし十万貫を梁山泊のものにせんとする王倫と、林中は激しく対立する。一方、高求は、昔なじみの閻婆惜を使って王倫を罠にかけ、内応を約束させる。しかし偶然居合わせた阮三兄弟により事は露見、王倫は林中に討たれ、晁蓋が新たな首領に推されるのだった。
TVドラマ「水滸伝」は、第六話の今回で王倫が退場。晁蓋が梁山泊の首領となり、新生梁山泊としてのスタートを切ることになります。
基本的にあらすじは原典とほぼ同じで、晁蓋の犯行の露見→宋江・朱仝・雷横の協力で逃れる晁蓋→阮三兄弟の活躍で官軍撃退→梁山泊に迎え入れられるも、王倫と険悪なムード→怒りを爆発させた林中が王倫を討つ→晁蓋が新首領に、という流れです。
しかし、このドラマ版では一応は世直しのために梁山泊に集った王倫を、色々と行き違いがあったとはいえ、ヒーローたる林中がただ斬るのはマズい、という配慮でしょうか、ここで一ひねり。原典では宋江の運命を狂わせることとなった閻婆惜が、ここでは王倫の昔なじみとして登場するのが面白いところです。
かつては役人を目指したものの、閻婆惜にはまって身を持ち崩したという王倫。その過去を知った高求は、妓楼で閻婆惜を使って美人局的罠で王倫を捕らえ、命を救い、官位まで与えるという餌をぶら下げて、王倫を寝返らせてしまいます。
しかし天羅地網、その一部始終を、宋江の元に礼状を届けに来たついでに妓楼に遊びに来た(こいつらしょうもなくて素敵)阮三兄弟が立ち聞きしてしまったおかげで全てご破算。最後は林中に無理矢理一対一の決闘(林中地味に鬼や)をさせられた末に生首に…
(ちなみに今回、劇中で「阮小三兄弟」と呼ばれているのにはやっぱり違和感…)
この辺り、普通に見ていると王倫の情けなさが目立つ――のかもしれませんが、大人になって見てみると、北方水滸伝チックな(?)追い詰められ方をされる王倫は王倫でちょっと可哀想だったな…という印象もあります。まあ、裏切りは弁護できないのですが…
さて、閻婆惜が王倫の方に行ったおかげで(?)今回は何事もなかったのは宋江。それどころか、刑部としての有能さに目をつけられ、近衛軍参謀に誘われるのだから、原典に比べるとちょっと驚きではあります。
その他、キャラクターがそろそろ増えてきて、一人一人を追うのもなかなか難しくなってきますが、印象に残ったのは、ようやく女子禁制が解けて梁山泊入りできてもんのすごく嬉しそうな扈三娘。しかしその前で前の妻が一生忘れられんとか言っちゃう林中マジ朴念仁…
また、前回気になった通り、原典とはキャラクターが入れ替わっていた朱仝と雷横も別の意味で印象に残りました。髭が短くて冷静な方が朱仝、髭が長くて豪快な方が雷横というのは、これは横光水滸伝で公孫勝ではなく劉唐が妖術使ってた的なミスのような気もします。
が、晁蓋を捕らえに行った際に雷横が、晁蓋殿は恩義があるし捕らえるわけにいかん、お前らそこで居眠りでもしとれ! と、いきなり配下にぶっちゃけるシーンは愉快でした(捕り手を気付かせるためにわざと大声を出した雷横に対し、「どうしたのだ」と声をかけちゃう晁蓋の呑気さも楽しい)。
…あ、よく考えたら公孫勝が出てきてない。
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