「変身忍者嵐」 第16話「ロボット! 飛行ダコ! 大作戦」
火薬とからくり細工の名人・作兵衛に火薬の製法を聞くため秩父にやってきたハヤテ一行。折しも化身忍者ノミドクロが村を襲撃、作兵衛は発明品の人造人間・鉄人大王を出撃させる。ハヤテ一行も血車党撃退を助けるが、血車党は鉄人大王の威力に目を付けて作兵衛を誘拐。さらに村人を脅して鉄人大王を差し出させる血車党だが、それはタツマキとツムジが化けた張りぼてだった。ハヤテも空から大凧で駆けつけてノミドクロを嵐旋風斬りで倒し、作兵衛を救うのだった。
血車党編もいよいよ終盤(ですが特にそんな印象はない)に入った「変身忍者嵐」第16話は、非常にユニークなゲスト(キャラ)が登場する娯楽編。
そのゲストキャラとは、発明家の作兵衛。往々にして時代劇の発明家はプレシャス扱いされそうなオーバーテクノロジーの持ち主だったりしますが、この作兵衛が発明したのは、何と人造人間だというのだから恐ろしい。
その人造人間・鉄人大王は、血車党の下人どころか、化身忍者ノミドクロまでいいパンチで吹っ飛ばす腕力に加えて、指先からはロケット砲という恐るべき戦闘能力の持ち主。潜望鏡から地上を窺っていた作兵衛の命令に従い、鉄人大王が出撃した場面は、何の番組を見ているのかわからなくなりました。
一体作兵衛は何を考えてこんな剣呑な奴を作ったのか、大いに気になりますが、とにかくこの作兵衛の存在感が異常で、ノミドクロの特撮史上屈指の情けないネーミングの技「カイカイ攻め」のインパクトも霞むほどであります。。
この作兵衛、何か特に面白い言動を見せるわけでもないのですが、そのニタニタ笑いは見ていて何だか不安になってくるほどの印象度(救出された後に、鉄人大王の張りぼての頭部を自分の頭の上に載っけてニタニタする表情などちょっとマズすぎる)。
血車党に捕らえられても、牢の中から吸うと炎が出るキセルを下忍に勧めて驚かせたりと、全く懲りない爺さんぶりに、こちらの目は釘付けです。
さて、作兵衛がそれだけ存在感があるのもある意味当然、演じているのは柳家金語楼、戦前から落語界・喜劇界の大スターだった人物なのですから――
しかも面白いのは、金語楼師匠が実生活でも発明家だったということで、あの小学校の体育の時間の赤白帽を発明したのは師匠だというのですから驚きです。本作への出演も、同じく発明家だった折田至監督との縁だったとか…
そんな師匠に対し、作中で息子から「き○がいじみた物造り」と言わせちゃうのも何というか――と思ったら、作兵衛の息子を演じているのは本当に師匠の息子の山下敬二郎なのですから、いやはや、何ともすごいお話であります。
(放映のほぼ三ヶ月後に亡くなっていることを考えるとちょっと粛然とした気持ちになるのですが…)
と、金語楼師匠の話で終わりそうですが、今回は単純にアクションヒーロー物としても、十分以上に楽しい展開。とにかく数分おきに状況が変化して、次々とガジェットが飛び出してくるのが、単純に面白いのです。
もっとも、クライマックスで、作兵衛発明の飛行タコ(という名のハングライダー)で空から駆けつけたハヤテが、あっさり下に飛び降りてしまったのはちょっと興ざめですが…(隠密行動のつもりだったのかもしれないですが、この飛行タコ、何故か飛行中にモーター音をさせているんですなあ)
それでも、久々難しいこと抜きで楽しめる回でありました。
一つ残念だったのは、冒頭に出てきた龍勢花火が物語に絡まなかったことですが…これはネコマンダラの回の飛竜星とネタかぶりになりそうだからかな。
今回の化身忍者
ノミドクロ
蚤の能力を持つ化身忍者。ギザギザの穂が付いた槍を得物にし、口から吹き出す粉を浴びた者をかゆさでもだえ苦しませる「カイカイ攻め」を操る。常にピョンピョンジャンプして移動し、大ジャンプ時の高さは空を行く飛行タコに匹敵する。
秩父の村人をカイカイ攻めの実験台にしていたところを作兵衛の鉄人大王に撃退されるが、その威力に目を付け、鉄人大王を血車党の戦力にしようと作兵衛を狙ったが、ツムジの大きな団扇にカイカイ攻めを跳ね返された隙に嵐旋風斬りをくらい、崖から落ちて爆発した。
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コメント
ご無沙汰しています。
今年の初めに、山下敬二郎氏も亡くなられましたね。
劇中、父親の「発明【一部自粛】」ぶりに頭を悩ます息子のシーンは、あとから事情を知って見返すと、あれは結構地の演技だったのかなあ、とほほえましかったのを思い出します。
投稿: 楚星蘭三 | 2011.02.01 15:23
楚星蘭三様:
こんにちは。お久しぶりです。
そうか、山下敬二郎氏はこの回に出演されていたんですね…訃報と結びつきませんでした
それにしてもお父様との出演は、背景事情を知っていると面白いですね…またイイ表情をしてるんですよね、これが
投稿: 三田主水 | 2011.02.05 23:44