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2010.03.18

「義風堂々!! 直江兼続 前田慶次月語り」第6巻 兼続・慶次いよいよ見参!

 いつの間にかすっかり時代漫画比率が高くなっていた「コミックバンチ」誌。その筆頭とも言える「義風堂々!! 直江兼続」第六巻であります。
 この第六巻に至り、ついに樋口与六から直江兼続と名が変わり、さらにあの男を初めとして新キャラ次々登場と、想像以上に盛り上がってきた感があります。

 前の巻で御館の乱がほぼ集結し、ようやく景勝を中心となるかに見えた上杉家。
 しかし、混乱――その中でお船の夫・直江信綱が死に、与六が直江家を継ぐことになった事件もその一つ――が未だ収まらぬ中、信長軍の侵攻が開始されます。
 それに対して乾坤一擲の策で臨む兼続…

 というわけで、この巻の中心となるのは上杉軍と織田軍の激突となるわけですが、その中で暴れ回る兼続の姿は痛快の一言であります。
 織田軍を迎撃に出た景勝が戻るまでの間、ごくわずかな手勢で春日山城を守るという任を引き受けた兼続――この漫画を読んでいるとわからなくなりますが、彼はまだ二十歳を過ぎたばかりの、家中ではまだ若輩者。
 そんな彼が、兵たちをまとめ上げ、困難なミッションを成功させるにはどうすればよいか?

 …答えは自分が率先して大暴れしてみせる!

 と、冷静に考えれば無茶苦茶な理屈で突っ込む兼続ですが、だがそれがいい。
 豪快に槍を振う兼続のるってリアル無双状態な暴れっぷりは、講談の豪傑たちの活躍を現代に甦らせたかのような、プリミティブな興奮を感じさせてくれます。
(さすがに「北斗の拳」のゲイラみたいな敵はやりすぎだと思いますが)

 そしてこの戦いを盛り上げてくれるのは、兼続のみではありません。
 後に兼続の終生の友となるあの男…大河ドラマには出てこなかった最強のいくさ人・前田慶次がついに本編に登場であります。

 本作は、僧形となった後の慶次による回顧録のスタイルを取った物語ですが、今回登場したのは、もちろん若き日の(前田家を出奔する前の)姿。
 登場するなり鉄砲隊の銃撃を鋼鉄の傘で受けとめて見せるという心憎い演出で、思わずニヤリとさせられます。
 両者の直接対決は次の巻に持ち越しですが、さてこのファーストコンタクトがいかがなりますか、これは期待するしかありません。

 また、伝奇ファン的に嬉しかったのは、やはりこの巻で初登場の乱裁道宗。
 本作では、秀吉と結ぶ山の民の長にして最強の忍びとして登場しますが、ここでこの人物が登場するとは…と正直驚かされました。

 そしてこの道宗の造形がまたイイ。忍びらしく得体の知れぬ部分は持ちながらも、茶や花を好む風流人にして、人の情に深く通じる男(煙管を手にした姿はダンディに過ぎる)。
 当然、敵ながら兼続とは不思議な交誼を結ぶのですが…このくだりもまた、胸に来るものがあって良いのです。
(それにしても、この道宗をはじめとして、今回もまた兼続出生の秘密を知っている人間が登場したのには苦笑)


 豪傑怪人を向こうに回し、兼続がいかに傾きぶりを見せてくれるか…男泣きテイスト溢れる大活劇を期待したいところです。

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