「殿といっしょ」OVA 無双の飛び道具、その名は…
「コミックフラッパー」誌で連載中の「殿といっしょ」のOVAが発売されました。
あの方があの人物の声を…というものすごいサプライズがあった本作、私も元々原作の大ファンゆえ、早速観てみました。
今回アニメ化されたのは、原作に数多く登場する武将のうち
・伊達政宗
・武田信玄
・上杉謙信
・織田信長(明智光秀)
・直江兼続(上杉景勝)
・長宗我部元親
・浅井長政
のエピソード。秀吉は!? アニメ映えしそうな島津四兄弟は!? そして原作の半ば主人公(主観)の信幸兄さんは!? と、ツッコミたいところはありますが、しかしこうして書き出してみると結構な人数、まずは納得です。
その武将の声の方は、既にドラマCD化されていることもあり、ほぼ皆はまり役と言って良いような内容。特に長宗我部が能登麻美子というのはほとんど反則。そりゃあ国中が元親かわいいよ元親にもなるでしょう。(そしてそれを見事に逆手に取った本作オリジナルの風邪ネタにも爆笑)
と、声の部分は良かったのですが、しかし、それ以外の点は、正直なところ私にはちょっと…な印象。
ネタのチョイスに史実ネタが少なかったというのはまあ良いとして、アニメなのにどうにも動きが少ない…というのはいかがなものか。
もちろん、原作的にぐりんぐりんキャラが動き回る作品ではないのですが、それ以前に演出が微妙。見ながら何か違和感があるなあるな…と思っていてようやく気付きましたが、芝居の大部分がキャラのバストアップと口パクなんですね。
まことに失礼ながら、コンピュータRPGなどの会話シーンを思い出しました。実は本作の浅井長政パートは(何故か)RPGのパロディなのですが、それ以上にRPGっぽい。
エンディングロールを見たら、声優の方が作画関係のスタッフより多かった、ということはありますが、それ以上に、コメンタリーで衝撃の告白があったように、監督が初めて人間ものをやったというのが大きいのでは…と思わされました。
しかし、本作には、そんなあれこれをたった一人でひっくり返す無双キャラがおります。
それはもちろん、GACKTさんが演じるところの上杉謙信、というよりGACKTさんそのもの。
いや、声優も芝居も初めてではない(って謙信やってたんだよ!)とはいえ、原作のちょっとお茶目な謙信がGACKTさんの声で喋るだけでもうもの凄いインパクト!
本作に収録されている謙信パートは実は一本、あの「ビシャえもん」ネタのみ(おまけでGACKTさんネタはありますが)なのですが、しかし、謙信があの美声で、モザイクかけないと(躇錯剣的に)とてもお見せできないようなネタを繰り出してくるとは…しかも、これまたギリギリ危険すぎるテーマソングまで。
確かにこれは飛び道具、反則としか言いようのないネタではありますが、しかし、それも作品の一部であることには変わりない。
あの戦国武将がこんなことを! というのが原作からのコンセプトだとすれば、ある意味それを最も忠実に体現していると言っても過言ではありません…ごめん言い過ぎた。
トータルで見れば、買いとは言い難いですが、(謙信パートだけは)ぜひ見ておくべき作品でしょうか。GACKTさんファンは当然購入すべきなのは間違いありません。
いや、次はぜひ酔っ払いバージョンの謙信もGACKTさんにやっていただきたいものであります。
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