「仮面の忍者赤影」アニメ版 第08話「激突!! 赤影VS赤影」
堺の会合衆・但馬屋が赤影に襲われ、拉致された。見に覚えのない赤影は、探索の最中に但馬屋を発見するが、背後から不意打ちを受けて深手を負う。赤影を助けたやまぶきは、その正体を変幻自在の忍者・くぐつの甚内だと教える。その間に、堺で次々と会合衆を襲う甚内。警戒に当たっていた白影・青影も窮地に陥った時に、本物の赤影が参上、二人の赤影の対決は、本物の方に軍配が上がったのだった。
今回のエピソードも、ヒーローものの定番、ヒーローの偽物登場編。しかし、前回同様、今回も定番でありながらも、面白い一ひねりが加わっています。
それは、ニセ赤影が襲うのが、堺の会合衆であることであります。
戦国時代の堺は、特定の領主を持たず、一種の自治都市として機能していたことはよく知られていますが、その評議機関的存在である商人の集まりが、この会合衆。
堺に拠点を置いて活動する赤影たち影一族ですが、これまでのエピソードの中でも、堺の商人たちと接点を持つことが折に触れて描かれてきました。
なるほど、そうであれば、影一族と会合衆の間に密接な繋がりがあっても不思議ではありませんが、そこをついてきたのが、今回の幻妖斎の作戦というわけで、単に偽物が暴れ回るよりも、お話として説得力があります。
それにしても、今回の作戦をたった一人で遂行するだけあって、くぐつの甚内はかなりの強敵。
その変装は、何も知らない商人たちや兵士はともかく、白影や青影たちも欺く完成度です(ここで、基本的に他の影一族にも赤影の正体が秘密になっている=四六時中一緒にいなくても不思議ではない本作の赤影の設定がうまく機能しているものだと感心します)。
さらに、本物の赤影を襲撃した際には、但馬屋に化けて、襲いかかるその瞬間まで、赤影に悟らせず、ほとんど致命傷に近いダメージを与えることに成功するほどですから、これは単なる変装術の使い手というレベルではありません。
ちょっと面白かったのは、そのあまりの真に迫った赤影ぶりに、「貴様本当にくぐつの陣内じゃろうな」と、幻妖斎まで軽く疑ってしまうシーンがあることですが、ここでの甚内の返しがなかなか面白い。
甚内、目の前の幻妖斎に変身して、「見事だ甚内、褒美は何なりと取らせよう」などと、しれっと言ってしまうのですから、気が利いています。
ちなみにこのくぐつの甚内、ほぼ同じ名前で特撮版に登場、やはり無双の変身能力を披露していますが、アニメの方では、配下の人形を操る術を披露していないのがちょっと惜しい。
おかげで、どの辺りがくぐつなのか、わかりにくくなっています。
閑話休題、赤影が瀕死となっている間にも、殺人・放火と悪事の限りを尽くす甚内のおかげで、赤影はほとんど鬼か悪魔のような恐れられ方をするはめに。
ついにニセ赤影を追いつめる白影と青影ですが、なんと偽物は、飛騨忍法「みだれ髪」まで披露、二人とも逆に窮地に陥ってしまいます。
しかし――ここでもちろん響きわたるのは、本物の「赤影、参上!」の名乗り。
巨大な満月をバックに、屋根の上に立つ赤影の姿は、まさに千両役者であります。
そのまま、満月をバックに激しく切り結ぶ二人の赤影ですが、もちろんここで勝つのが本物であることは、言うまでもありません。
(ここで、勝って背中の鞘に刀を収める赤影が、背中の傷の痛みで顔をしかめることで本物であることを示すのがまたうまい)
ニセ赤影である甚内は死してその骸骨めいた素顔を晒し――本当はここでニセ赤影が甚内であったことを宣言しておく必要があったんじゃ…という気もしますが――まずはめでたしめでたし。
源之介さんが、寺を空けていたことを怒られたり、背中を触られて痛がったりしてましたが、きっと偶然でしょう。
ちなみに今回、ニセ赤影が警護の兵を襲うシーンで、やたら気合いの入った断末魔の画があったのですが、原画に森下圭介さんの名前があったことと関係あるのかしら…
| 固定リンク
コメント